日
本金属工業はクラッド材、高強度鋼、高機能材料など開発鋼種の事業展開を拡充する。今年度からスタートした三カ年の第五次中期経営計画で掲げられた高付加価値化、高収益化を念頭に、特殊材料による用途開発を積極的に推進し、未開拓領域で新たな市場創出を図る。
主力製造拠点の衣浦製造所で導入された新熱延設備によるフレキシブル生産を生かし、新鋼種の市場投入を加速、事業拡大に結び付ける。ニッケル・クラッド材をはじめとするクラッド材や高強度鋼、軟質ステンレス鋼など新鋼種の拡販、形鋼やラス材など加工品の育成、研究開発から市場開発までのリードタイム短縮の三点を基本路線に拡充策を遂行。特にクラッド材では、鉄・クラッドを除いたクラッド材を月間数トンから百トンレベルにまで引き上げ、事業の中核に据える。一連の施策によって、中期計画期間で開発鋼種の事業規模を全社売り上げの二〇%(約百六十億円)にまでアップ、二百億円レベルへの拡大を志向する基盤を構築する。
同社は第五次中期経営計画で、「変革」「創造」「スピード」をキーポイントに体質強化を打ち出した。この中で収益力向上や高付加価値化など高度化を促す新規部門の一角として、開発鋼種の事業拡大を位置づけ、拡充を進める。特に、主力製品のSUS三〇四が市況品種の色彩が濃く、収益力が弱いことを考慮、開発鋼種ではより高級領域での展開を広げていく。
具体的には新鋼種として、クラッドなどの複合材料や、需要家の加工工程など工程省略のできる高機能材料の事業化を加速。ニーズ対応力を高め、販売促進する。新技術による差別化も実行。独自開発した高純度フェライト系ステンレス鋼管の製造、検査技術の戦力化を進め、シームレス鋼管の代替など新たな需要を狙う。戦略商品に置くクラッド材ではニッケル・クラッドで屋根材、ニッケルメッキ製品の代替分野や電池材料向けを伸ばす。次世代の発電技術として期待される溶融炭酸塩型燃料電池材料、海洋開発など将来の需要も視野に入れ、ニッケル・ステンレス・チタンクラッド、ステンレス・ステンレスクラッドなどと用途開発を手掛け、生産量アップにつなぐ。高機能材料としては高級度鋼の「S―4」、軟質ステンレスの「Dシリーズ」なども成形加工性などの特性をポイントに販路開拓。
高付加価値化では、フォーミングによる形鋼類などの二次加工品から、ラス材など最終製品まで網羅。ラス材ではチタン製品も商業ベースに乗せる計画で、より需要家との距離を縮め、販売増を目指す。
これらに加え、研究開発から営業までも効率アップなど強化し、市場投入までのサイクルを早める。第四次計画で同事業部門の売り上げは三〇%増の百二十億円、構成比で一三%レベルに達した。さらに、技術ノウハウや市場動向のデータ蓄積も並行し、開発鋼種の中から年間二十億円レベルの独立事業として運営できる製品を育てていく方針だ。
環
境エンジニアリングの潟oイオメイク(本社=那覇市曙、東江美佐子社長)はこのほど、同社微生物研究所(東江幸信所長)が所有する“アガリエ菌”によるバイオ・システム化を中核とする「起業化事業」(ノウハウを起業者に提供して当該企業による事業化)で、新潟県の叶V栄と茨城県の潟Rスモ工機の二県・二企業を加えた。
すでに地元沖縄県がバイオヨミタン(松田昌吉社長)と沖縄経済連で連携したバイオ農業を軌道に乗せたのをはじめ九州や四国などで“一県・一起業”が実現、さらに本州を東進し今回、関東地区を初めて加えて全国十八県の起業化ネットワークとした。こうした動きに対し、各地域の関係企業・団体も連携への動きを活発化させつつある。
同社と同研究所は、環境保全をはじめ産業廃棄物処理、畜産・農業復興、鉱工業など広範な産業分野に貢献する「起業化事業」を全国展開中だ。これらのバイオエンジニアリング対応は、すでに数分野にわたって沖縄県内で実証段階から実用化に入り、ユーザーの事業採算を好転させているばかりか、自然体力・環境の回復、作業の機能化などにも実効を上げて好評。増殖工場や実験農場など研究体制はもとより処理装置・プラントの充実化を背景に今後、起業化ネットワークを積極的に整備促進していく計画である。
今回の全国ネットワークは、農業分野にバイオ技術を採用した起業化を中心とした普及事業。たとえばゴルフ場経営の残波ゴルフクラブにより設立されたバイオヨミタンは、バイオメイクの支援を得て養豚糞をバイオ処理し肥料化、これを沖縄県経済連が販売する事業を展開中で、このバイオヨミタン方式をモデルとして九州・四国の全県を含む十六県で事業化が行われてきた。
今回、新潟県と茨城県の企業が、自然環境の保全と有機系廃棄物のリサイクルでアガリエ菌システムを導入したことで、これまで畜産廃棄物(糞尿・汚泥)、食品残渣(さ)、ビール・酒造・コーヒーの滓などの処理を、物理的処理や化学(農薬・肥料・飼料)処理に大半を頼っていた関東甲信越でも、同バイオシステムの普及活動が一気に活発化することが予想される。
これでバイオヨミタン方式″採用により起業化した県は、沖縄県をはじめ九州七県、四国四県と本州の山口県、兵庫県、長野県、山梨県、新潟県、茨城県の合わせて十八県。
一県・一起業は、一企業が一県内で起業化すれば、他の企業は同じ県内では原則起業化できないため、アガリエ菌システムによる製品(有機肥料・飼料など)を買うしかない。あるいは各産業も自社の産業廃棄物をリサイクル有効利用するためには、同窓口企業の協力を得る必要があり、特殊な産廃処理の場合にはバイオメイク微生物研究所に相談することになる。問い合わせはバイオメイクホ〇九八―八六七―〇〇四七。
小
棒市況は上伸基調が本格化してきた。原料の鉄スクラップ価格の高値推移により、電炉メーカー各社が採算回復を狙って販価引き上げに本腰を入れたことが要因。これまでならば、商社・特約店などの流通筋はショート(先安を見越して思惑による空売り)して利ザヤを稼ぎたい局面だが、メーカーの採算意識が強いこともあって、今回はショートすれば流通筋が損失を被る危険性が高い。
小棒の主要需要地である関東市場では八月からメーカー販価がベース三万七千円、細物が一三ミリで三万八千円、一〇ミリで四万円へと移行してきた。細物エキストラは一三ミリでベース比一千円、一〇ミリで同三千円を確保している。
「あくまで価格を重視して、売れない物はつくらない」(ベースメーカーの東京鉄鋼)、「大幅な減産強化で需給のタイト化を図り採算ラインを確保、再生産が可能な価格を浸透させていく」(細物メーカーの向山工場)、「七月、八月に続いて九月も減産を継続して需給調整を続ける」(合同製鉄)。三社に代表されるように、メーカー各社は原料価格の上昇で悪化した採算を回復するために不退転の決意だ。
商社の試算によると、全国の電炉メーカー約五十社の業績は悪化の一途をたどり、過去三年間で合計一千百億円の損失を記録するまで、至った。さらにこのペースで赤字基調が続けば、あと二年で財政状態がひっ迫することになるという。
関東地区の前年同期の鉄スクラップ価格は一万一千円。ところが今年は一万五千円以上となっているうえ、トーア・スチール、東京製鉄の二大ミルの購入量も増えていることから原料が安値になることは期待できない。このため、減産を強化して販価を引き上げ、採算回復を狙うしか方法がないのが実情だ。
これに対して足元の市況は大手ゼネコン直送価格でベース三万六千円どころ。流通側の採算は逆ザヤとなっており、このままではショートでもしなければ利益が出ない。「普段なら八割以上の確率でショート場面のはずが、現状は五割以下とみる経営者が多い」(特約店)というように、メーカー側の不退転の決意が徐々に伝わり、足元はショートに対するリスク感が流通筋で高まってきた。
さらには、ここにきてゼネコンの与信問題が浮上してきたことで、ショート商いもこれまでのようにはできなくなってきた。そうなれば、メーカーの販価是正の動きに同調して市況の押し上げを図ることが現状では最善の策。「むしろメーカーが流通のショート商いに応じることをなくして、損失を被る流通業者が出れば、流通筋もやっと本気になるはず」(特約店)という声もあって、今回の小棒の販価と市況回復は従来になく本物。
「九月からはベース三万八千円以上に販価を引き上げ、早い時期に採算ラインの四万円を目指す。流通側はこれに適正な外口銭を上乗せして販売してもらいたい」(東京鉄鋼)というメーカーの本音が着実に流通側にも反映してきている。
コ
マツはこのほど、ゴムクローリアキャリア「CD三〇R」「CD一一〇R」を開発、このほど発売を開始した。販売目標は初年度「CD三〇R」が百二十台、「CD一一〇R」が八十台。
クローラキャリアは土地造成や林道工事、河川工事などの現場で使用され、根強い需要がある。最近は耐久性があって使いやすい製品のニーズが高まっている。今回の二機種は今年四月に開発した「CD六〇R」の系列機種として、シリーズ化を図ったもの。
特徴は上部が三百六十度自由に旋回することで、路肩などの側方への排土が容易に行えるうえ、排土のための方向転換が不要。また、ステアリング操作によるUターンや急旋回がほとんど不要なため、履帯の旋回で土壌を荒らさない。
さらに、建設省の排出ガス対策の規制値をクリアしたエンジンを搭載している。操作も油圧ショベルと同じ二本レバーで行え、ベッセネの上げ下げ操作は楽な姿勢で行える足踏み式ペダルを採用した。
清
水建設はこのほど、非線形波動理論を用いた「海浜変形予測シミュレーションシステム」をわが国で初めて開発した。同システムは海洋・海岸構造物の建設に伴う波浪・海浜流・海底地形の変化を高い精度で予測できる。今後、電源開発などにかかわる各種関連港湾施設や漁港・マリーナの建設工事向けでの採用を目指す。
港湾施設や海上空港などの建設は、計画段階で周辺の海浜環境へ与える影響を予測し、構造物の形状や平面配置を計画する。この予測には波浪を単純な正弦波とみなす「線形波動理論」に基づいた数値シミュレーションシステムを利用している。
ただ、実際の波浪は沿岸に近づくほど波形が正弦波で表現できない非線形なものになるため、シミュレーションが難しく、手間と時間を要する模型実験を併用しなければならない。このため、沖合から沿岸まで幅広い範囲の海域で、実際の波浪現象をより現実に近い形でシミュレーションできるシステムの開発が求められていた。
特徴は、非線形な波浪を表現できる「灘岡・ベジ理論」をシミュレーションシステムに初めて取り入れたこと。採用効果は構造物建設に伴う波浪・海浜流・海底地形の変化を現実に近い形で予測できるため、技術者は従来以上に周辺の海浜環境に配慮した建設結果を発注者に提案できる。シミュレーションから予測・図化まで自動化しているため、構造物の形状・平面配置のデータをさまざまに変えて複数の建設計画を立案できる。
通
産省・基礎産業局の新局長に前・経済企画庁物価局審議官の作田頴治氏が就任した。メガコンペティション(大競争時代)の到来、国際化の流れの中で同省の政策も一段と重要度が高まる。七月の機構改革で新生・鉄鋼課がスタートし鉄鋼行政でも安全、環境、国際化など新たなニーズへの対応を打ち出す。「多様なニーズをくみ取り、細かいところまで目配りする」と語る新局長に、今後の政策遂行について聞いた。
――政府は経済構造改革プログラムを打ち出しましたが、今後の政策遂行については。
作田 鉄鋼に関しては、技術開発も含む新規需要の創出と国際競争力の確保が柱となる。国際競争力確保では、諸外国と比べ高率にある法人税や電力コストなどがあげられる。税制面では持ち株会社の解禁のほか、連結納税制も最重要課題だ。政府の支援策では、競争条件の整備を貫徹しなければならない。電力も鉄鋼は自家発電のノウハウを持ち、これを生かしたIPPの拡大は多角化の観点からも評価できる。旧体質の商慣行の改善など、業界の努力も欠かせない。旧体質、過剰サービスになっているような慣行は改め、透明性のある国際的に通ずるものにするべきだ。技術、新規需要の創出についても成長十五分野で新たな用途としてメガフロート、スチールハウスがあげられ、実現に向け努力していく。技術開発も財政構造改革の中で科学技術振興を掲げ、政府も育成する方向にある。鉄鋼技術でも、この観点から力を入れていくことになる。
――十年度予算でも技術に比重を傾けることに。
作田 スーパーメタルの研究開発、新製鋼プロセス開発、電磁力利用金属製造プロセス開発、新コークス製造技術開発など、いずれも期待の大きい技術。将来の競争力確保を念頭に満額確保に努めるつもりだ。
――中小企業政策は。
作田 今年六月に施行された特定産業集積の活性化に関する臨時措置法では、鉄鋼業でも十九業種が指定されている。ものづくりネットワークによる技術・技能の伝承、発展などの形でバックアップを図っていくつもりだ。
――後進国の成長など世界的に鉄鋼業で大きな変化を見せています。
作田 日本の鉄鋼業でも川下分野で海外に拠点を擁する多様で複層的な対応が求められている。この動きは今後も米、東南アジアと加速していくものとみられ、必要に応じて後押ししていく。海外に出ていく国際化もあれば、国内に入ってくる国際化もある。この意味で競争力アップを促したいのだが。
――環境問題も焦点ですね。
作田 基礎産業局の所管する産業が二酸化炭素(CO 2)の約五〇%程度を排出しているといえ、今年十二月に京都で開催される気候変動枠組条約第三回締約国会議を控え、大きな課題だ。このほど開かれたベルリン・マンデート・アドホック会合(AGBM)の協議内容などを踏まえ対応策を具体化することになる。
――最後に、この七月一日付で旧・鉄鋼業務課と旧・製鉄課を統合し、鉄鋼課として新生スタートしましたが、機構改革の効果と期待を。
作田 二つの課をまとめ、鉄鋼課となったからといって、従来の原課行政を変更するつもりはない。従来からの体制に機構改革によって横の連携を加え、これまで以上にポテンシャルの高い布陣とした。
▽作田頴治(さくた・えいじ)氏=四十四年通産省入省。五十七年通商政策局通商調査室長、平成二年基礎産業局基礎化学品課長、五年経企庁長官官房企画課長、六年大臣官房審議官、八年経企庁物価局審議官。四十二年慶大経卒。十九年十一月生まれ。
H
形鋼は旧盆明け、特約店筋が唱えを上げていることから、ジリ高の展開。市況はベース三万八千円どころ。
特約店筋は逆ザヤとなる相場展開で採算悪化が顕著となっていたため、今月上旬から安値切り上げに動き出している。値上げムードが先行した東京、名古屋地区などにも影響された。
このため、市況は旧盆休み前から次第に三万七千円台を消し、一千円高となっている。メーカー側では来月以降、条鋼品種の販価是正の動きも出てきそうな雰囲気であるため、さらに強含みの展開が続きそうだ。
一方、流通在庫は七月までに四カ月連続で減少、八万トン近辺(ときわ会ベース)を推移している。とりわけ同地区は需要面での回復が遅れており、今後、秋需の後押しが焦点となろう。
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