鉄鋼関連
1998年6月29日
[バックナンバー]

  1. 仏ユジノール、ブラジルに生産拠点

  2. 金材技研、強度・寿命2倍の超鉄鋼材開発にメド

  3. 中国鋼鉄、淀鋼などとベトナムで冷延合弁

  4. 通産省、地球環境技術で海外機関と共同研究

  5. 新社長・トピー工業の杉山修美氏

  6. 関東金属、シュレッダーダスト発電は有望

  7. 鉄鋼主要品種の市況展望



仏ユジノール、ブラジルに生産拠点


ランスのユジノールは、ブラジルのアセジッタの株式35%を取得することで合意。同時にアセジッタと共同で、アセジッタが持つツバロン株29・1%分を保有するホールディングカンパニーを設立する。このホールディングカンパニーの49・9%をユジノールが、50・1%をアセジッタが持つ。これでユジノールは実質的にツバロンへの経営参加を実現する。

 アセジッタは、こうした一連の資本移動をバックに2000年に新ホットを稼働させる計画のツバロンに、年間20万トンのステンレスホットの委託圧延を実施し、現在のステンレス年産15万トンを倍増させる。ユジノールは、これでブラジルに生産拠点を確保し、南米戦略を確固たるものにする。

 アセジッタは年産75万トンのステンレス、電磁鋼板メーカー。ステンレス部門は、ステッケルミルでホットを生産しているため品質が悪く、4億ドルを投入して建設したゼンジマーの能力が発揮できないでいた。経営面でも厳しい状況にあった。これに対し、世界戦略を強化させているユジノールが系列化に乗り出し、アセジッタの35%の株式を取得することで合意した。

 同時に、ホット進出を計画しているツバロン株もホールディングカンパニーに出資することで、事実上掌握する。これでツバロン経営への影響力を確保すると同時に、ホットミルの活用でアセジッタのゼンジマーの戦略的な使用を進める。

 一方、ツバロンの資本構成は、昨年度初めの川鉄連合25・3%から20・5%に低下し、リオドセと並んだ。この結果、アセジッタ(39・2%)の影響力が相対的に高まっている。


金材技研、強度・寿命2倍の超鉄鋼材開発にメド


属材料技術研究所フロンティア構造材料研究センターは、97年度から強度2倍・寿命2倍の超鉄鋼材の開発を進めているが、微小サンプルでフェライト粒2・3μmのフェライトパーライト組織の作製に成功した。また、100nm以下の微小領域の力学特性を評価できるナノ硬さ試験法を確立。超鉄鋼材の開発の方法論として、これまでの路線で進めていくことで、当初の目的の材料を開発できるメドを付けた。

 超鉄鋼材「STX・21」は、21世紀初頭のインフラ更新と環境対策を目的に開発が進められているもので、耐熱鋼、150キロ鋼、耐食鋼の3つのテーマで進められている。金材研の中にフロンティア研究センターが設置され、97年度から研究者および研究支援者120人でスタートしている。

 これまでの研究で、フェライト粒2・3μmのフェライトパーライト組織の作製に成功。フェライト粒の方位はランダムに近く、組成は普通鋼成分。オーステナイト低温域で大きな歪みを加え、制御冷却することで製造した。

 また、100nm以下の微小領域の力学特性を評価できるナノ硬さ試験法の確立で、バネ鋼中の微小介在物の製造に活用することが可能になり、今後の研究の進展が期待されている。

 ケルビンフォース顕微鏡による純鉄観察では、腐食に伴う表面形状および電位分布の連続観察に成功し、錆の進行を形状と電位変化から確認できた。これらは耐食鋼の開発の大きな技術的背景になると評価されている。


中国鋼鉄、淀鋼などとベトナムで冷延合弁


湾からの情報によると、中国鋼鉄は25日、淀川製鋼所などとの合弁事業としてベトナムに冷延プラントを建設することを明らかにした。投資金額は1億3000万米ドル、年産能力は21万トン。ベトナムの国営鉄鋼ミル、中国鋼鉄がそれぞれ30%ずつ、淀川製鋼所とその台湾子会社Sheng Yuスチール社が30%を出資すると伝えられている。7月2日に合弁企業設立の調印式が現地で開催される予定。


通産省、地球環境技術で海外機関と共同研究


産省は今年度から地球環境技術国際共同研究事業をスタートさせる。地球温暖化、酸性雨、オゾン層破壊など地球環境問題で国際協力の必要性が高まっており、海外の研究機関と共同研究を実施、環境関連技術を向上させる。産学官連携のもと、国内研究者を先端的研究を行う海外の研究所や、協力の必要な途上国の研究機関に派遣、得られた成果を新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)で手掛ける研究開発にフィードバック、技術レベルのアップを促進する。

 第1号案件としてこのほど10テーマが内定、うち鉄鋼関連では住友金属工業、資源環境技術総合研究所、阪大などによる「低純度二酸化炭素(CO2)気泡の非線形界面特性および混相乱流構造の研究」が選ばれた。海洋と大気の間でCO2を循環させ、海中にCO2を吸収(溶解)させる新技術で、正式決定を経て住金などから人員を蘭・デルフト工科大学に派遣、今年度内にデータ収集、理論確立を行う。

 地球環境技術国際共同研究事業は、地球環境問題への取り組みが国際的枠組で進められる中で、国際協力体制の構築の一環として推進される。初年度予算1億2000万円で海外との共同研究を通して、環境技術について日本のレベルアップを図るとともに、国際市場の開拓にも結び付ける狙いだ。

 事業は、先端的研究を行っている先進国の研究所や協力の必要性が高い途上国の研究所などに、国内から研究員を数カ月間派遣。共同研究を行ったのち、この成果をNEDOの当該プロジェクトにフィードバックする。テーマは国際共同研究、研究協力の必要性があり、NEDOへの反映が見込まれる研究分野から、NEDO内の審査委員会が選定する。対象は温室効果ガスの除去、排出抑制、酸性雨・オゾン層破壊など大気環境問題への対策、海洋汚染防止、エネルギー資源開発と有効利用といった地球環境対策の分野。


新社長・トピー工業の杉山修美氏


子(財務)や参謀(企画)に徹してきただけに、4月上旬に社長昇格を打診された時は1週間迷った。しかし引き受けた以上は、絶えず変化する時代に柔軟に対応できる企業体質づくりのカジをとる。

 93年度から95年度までは、がむしゃらにコストダウンを進め、95年度にやっと黒字化。96年度から99年度は4カ年の中期計画「K―21」で、経営構造を均衡のとれたものにして、少々の景気変動では赤字にならない企業体質を目指している。

 4年間のうち2年間が終わり効果も出ており、方向は間違っていないことを証明した。ピーク時に1800億円だった売上高を1500億円、利益100億円を目指し、「人・金・物」を1500億円の規模に合わせていく。コストダウンは80%達成した。あとの20%が苦しいが、小さな努力を積み重ね高いハードルを越えて「K―21」の前倒し完遂に取り組む。

 さらに、その後をどうするかについて「ポストK―21」の計画づくりを1年がかりで進め、その後、実行に移す。ポイントは技術。今までの延長線上で新しいものを生み出していく。激動の時代だけに、逆にうまく乗り切ればチャンスもある。「変化をチャンスに変える」という意気込みで取り組む。

 合言葉は「スピード」。変化する時代にスピーディーに対応して、利益を生み出す。「この体質づくりが私の最大のテーマ。変化を嫌うことなく、変化の時代に、しなやかに、柔軟に対応する。そうしないと生き残れない」。電炉業界でのサバイバル競争のなかでは、収益を重視してヒモ付きと店売りの販売バランスの見直しも検討する。

 連結経営の時代を目前にし、そこにも焦点を当ててグループ経営の見直しに着手する。具体的には、子会社が多いため、99年度以降には統廃合を視野に入れ、同じ方向に動けるようにベクトルを合わせ、時代に対応していく。

 ▼すぎやま・おさみ氏=財務、企画の経歴が長いこともあって「バランス(中庸)」を重視する。「今までは黒子や参謀に徹してきたが、これからは表の顔として、変化の時代にスピーディーな対応ができる体質づくりがテーマ。ポイントになるのは利益を生み出せる技術力」。

 1938年2月、福岡県生まれの東京育ち。慶大法から62年に東都製鋼(現・トピー工業)入社。92年取締役。94年常務。97年専務。今年6月社長昇格。60歳。趣味はゴルフ(H26)。


関東金属、シュレッダーダスト発電は有望


東金属(本社=東京都江東区、村上一夫社長)は、岩手県でシュレッダーダストや一般廃棄物を熱源にした高効率発電事業を計画しており、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から平成9年度事業化調査の補助金の認定を受け、専門家に委託して事業化FS調査を進めていたが、このほど事業性が十分あるとの報告書をまとめた。

 同社は、関東地区の大手鉄スクラップヤード業者であり、関東では本社ヤードのほか、千葉県の市川市と小見川にもヤードを有し、小見川でシュレッダーを稼働させている。また、岩手県盛岡市でもシュレッダーを稼働させている。

 シュレッダー業界はダストの処理が96年4月から管理型に移行したが、ダスト処理費用が大幅アップし、また、処分場が年々不足している。このような情勢から、同社ではシュレッダーダストを焼却して発電する構想をかねてから検討しており、熱エネルギーを利用することで(1)ダストの処理を解決(2)発電事業による収益(3)地元の活性化――という一石三鳥が図れると期待している。

 調査のテーマは産業廃棄物系/一般廃棄物系RDFによる高効率発電システム導入の可能性調査(PKA―東芝熱分解ガス化方式の導入を前提として)で、技術面、経済面、環境面から検討した。調査結果の概要は以下の通り。

 (1)本計画のごみ組成(平均低位発熱量3665KCAL/s)の場合、PKA式熱分解ガス化炉方式で、ガスエンジンのみで発電した場合の発電効率が16・6%。熱分解炉から排出されるチャーを溶融するための溶融炉を設置し、溶融炉ガス等の熱回収を行う蒸気タービン発電を加えた場合の発電効率が21%となり当初の目標の20%をクリアした。

 国内の他の廃棄物発電の事例において、一般に高効率化の方法として、ボイラー・蒸気タービンの主蒸気条件の高温高圧化がとられるのに対し、本熱分解ガス化方式の特徴は、ガスエンジンのみで約17%、さらに蒸気条件を従来技術レベルの300度C、30気圧程度としたボイラー・蒸気タービンの併設により発電効率約21%を達成する。

 (2)本方式では、炉の腐食を生じることなく低ランニングコストで運転が可能なことがドイツでの商用運転で実証されており、またシュレッダーダストの処理上とくに懸念されるダイオキシンの再合成を抑制して、都市ごみ処理の排ガスのガイドライン基準値0・1ナノグラム(1立方メートル)を大幅にクリアする見通しが得られた。また、有価物の回収、少排ガス量などで優れた特性を有することが把握された。

 (3)本計画の採算性は、シュレッダーダストその他の廃棄物の受け入れ料金を、価格競争力を確保しつつ極大化し、また灰分比率の高いシュレッダーダストその他の残渣の埋め立て処分コストを極小化することにかかっている。建設費の低減化、補助制度の活用などを含め、さまざまなケーススダディーの結果、基本的に事業性は十分にあることが判明した。

 (4)本事業の売電の条件としては、現在考えられる方法として、卸供給方式と余剰メニュー方式の2通りがあるが、事業性評価における大半のケーススダティーで、余剰メニューの方がより良好な結果となり、余剰メニュー方式を選択すべきと考えられる。


鉄鋼主要品種の市況展望


棒は関東地区で強含みに転じている。メーカーの値上げから流通も唱えをアップしている。反転ムードが浸透しつつある。大阪は引き続き弱含み。H形は需要不振から下押しムードが続いている。扱い筋はユーザーの厳しい指い値に折れ合うケースが増えている。冷延薄板も弱含み。需要は軒並み低調で、コイルセンターの稼働率も不振だ。メーカーは減産に入っているが、流通の在庫も過剰気味。厚板は建築、機械向けともさえない。加工業者の受注も減っている。在庫もジリジリと増えている。

【H形鋼】

 ▼東京=荷動きの低迷で流通の販売姿勢は引き締まりを欠いており、市況はジリ安で推移している。持ち込み運賃はほとんど確保できない状況で、需要家からの厳しい指し値に折り合うケースが増えている。

 6月の販売量は5月並みにとどまる見通しで、日量ではむしろ減少している感触。需要の低迷に加えて、信用不安による商いの委縮で、目先需要増の気配は見られない。荷余り感から弱含みの市況展開が続く見込み。

 ▼大阪=需要不振で流通の市況対策は腰折れ。市況はベース3万1000―3万2000円どころ。6月のときわ会在庫は前月比微減の6万9500トンとなる見通しで、流通筋によると「ほぼ在庫調整は完了」との見方。ただ、特約店筋の倉出し量が一向に上向かず、業界の胃拡張体質もあるため、需要家の厳しい指し値に折り合っている。

 7月以降も需要の期待は薄く、市況は当面、弱含みで推移。

【異形棒鋼】

 ▼東京=先週からメーカーが値上げしたため、流通は500―1000円唱えを引き上げている。今後夏季減産と輸出による供給減によって、需給が引き締まるとの見通しが基調を変えている。

 値上げ前の駆け込み発注によって引き合いが一段落したため、市況にはまだ反映されていないが、底入れから反転ムードが徐々に浸透している。メーカーは目先の受注残を抱えて販売姿勢は強気だ。市況は強含みで推移する見通し。

 ▼大阪=需要不振で依然として弱含み。市況はベース2万6000―2万7000円どころ。今月の引き合いは5月を下回る低調さで、流通筋では対前年同月比で2割減との見方をしている。

 明細量の減少で受注競争は激しく、依然、2万5000円台の安値が散見。回復傾向は見えてこない。電炉各社は中国、米国への犠打輸出を積極的に進めており、7月以降の値戻しを示唆している。

【厚 板】

 ▼東京=4万7000円どころで弱含み。国内メーカーはロールに余裕が出てきており、一般・店売り向けは出荷がスムーズとなっている。一方、需要は民間のS造建築が低調なうえ、機械も産機、建機ともに落ち込んでいる。

 大半の鋼板加工業者は受注残が大幅に減少しているうえ、稼働率も70―80%程度となっている。在庫もジリジリと増加しており、切板母材、定尺ともに過剰ぎみ。

 ▼大阪=造船は大手、中手とも4月から引き合いが出てきた。船台は2000年いっぱい確保。

 橋梁は政府の16・6兆円の補正予算効果で、7―8月からの発注に期待。建機、鉄骨は不調なままで、今後に期待する向きは少ない。

 輸入材は月平均7万と低水準だが、国内高炉のロールが緩んできたことで在庫タイト感はない。シャー、溶断業者はその日暮らしの状態。切板の軟化が顕著。

【冷延薄板】

 ▼東京=5万9000円どころで弱含み。国内メーカーは減産を強化しているが、輸入材は月間7万―8万トンとコンスタント。一方、需要は自動車が4―6月に230万台で、7―9月も低調に推移する見通しだ。電機も大型の白物家電が落ち込んでいる。

 コイルセンターの加工も稼働率が70%程度と不振。在庫もなかなか調整されず、コイル、シートともに過剰ぎみ。流通は弱気の販売が続いている。

 ▼大阪=荷動きは低調そのもの。薄板類の中で最も厳しいポジションにある。

 自動車は今年の生産が1000万台割れも予想されるほどの厳しい環境にあるが、唯一、期待感をかけているのが普通乗用車。14カ月ぶりの微増を好感してのもの。

 家電は冷蔵庫、エアコンがプラスに転じ、特にエアコンに注目。鋼製家具、建材は見通し難。メーカーは減産を強化しているが、在庫調整の完了は先の話。




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