秋
需の不発で景気の自律回復が乏しいといわれながらも、8、9月の鉄鋼需要産業の活動水準は着実に上向いてきている。活動水準が実需に結び付くまでには、なお時差を要するので「実需の急回復は期待できないまでも、月を追って底打ち感がでてきた」(猪熊研二・新日本製鉄副社長)との見方が定着している。
鉄鋼需要産業の活動水準のうち、主力部門のプラス指標をまとめてみると、まず建設のうち9月の新設住宅着工戸数が10万9000戸と前月比1・3%増、前年同月比では10・5%増と4カ月連続して前年実績を上回った。年率換算だと130万戸乗せの水準。また、日本建設業団体連合会が64社を対象に調査した民間の9月受注額は、前年同月比3・5%増と6カ月ぶりの増加に転じている。
ただ、最近の建築活動は持ち家やマンションが中心で、非住宅は民間設備投資の低迷で不振が続いている。このため建築着工面積に占める鋼構造建築の比率が低下している。なかでもS造比率が低く、RC造比率が相対的に上昇するという構造変化が生じている。これが小棒やH形鋼の需要に大きく影響しているものとみられる。
自動車は9月の販売台数が前年同月比2・2%増の56万台となり、7―9月でも1・2%増と2期連続して前年水準を上回った。生産も9月の四輪車台数は10・7%増の93万台と前年比2ケタの増加で2カ月連続増。軽四輪車が引き続き好調で、普通乗用車も2カ月連続のプラス。
造船は9月の新造船受注量(運輸省の建造許可実績)は、21隻(72万8000グロストン)で前月比25・7%増、前年同月比46・9%増。輸出船契約実績も9月は前年同月比2・7倍の135万総トンと2カ月連続して100万総トン台に達している。タンカーは韓国が受注を増やしているが、日本はばら積み船の増加が寄与している。
産業機械では農業機械の生産が大幅に増加しているのが目立ち、9月は前年同月比で31%もの増加。電気機械は9月の生産指数で同8・5%増と8カ月連続の増加となっている。
一連の鉄鋼需要関連の活動水準に明るさが見えてきたことを反映して、8月の普通鋼鋼材の国内受注量は429万8000トンと、前年同月比6・4%増と3カ月連続して前年を上回っており、9月も前年比増は確実とみられている。
大
同特殊鋼は4日、新プリハードン冷間工具鋼「CX1」と新快削冷間 ダイス鋼「DCX」を開発、販売を開始すると発表した。
CX1は業界では初となる硬さ50HRCを実現したプリハードン冷間工具鋼で熱処理が不要なうえ、油焼き入れ時のゆがみ発生が抑えられ、大幅な工程省略、工期短縮やトータルコストの低減が可能。自動車、家電の金型関連や治具・機械部品など新規需要の創出を図る。一方、DCXは同社の主力冷間ダイス鋼「DC53」(月間販売量700トン)よりも被削性を高めた。金型製作のリードタイム短縮、コスト低減などをポイントに準汎用鋼として拡販する。これら冷間工具鋼のラインアップ充実などを通じ同社の工具鋼シェアを伸ばしていく。
今回の新鋼種開発は、主要需要分野の金型製作で、コストダウン、工期短縮、多様化、環境対策といったニーズを加味して進められた。工作機械、切削工具の進歩などを踏まえ、工程省略や被削性向上などによる製作面でのメリットを追求した。特に、CX1では被削性と硬度面で既存のプリハードン工具鋼と冷間工具鋼との中間的特性を持たせ、既存鋼からの代替需要のほか、提案型の新鋼種とした新たなようと開拓にもつなげる。
「CX1」は、硬度ではプリハードン鋼の40HRCとSK、SKSなど冷間工具鋼の60HRCと中間の性能を持つ。さらに快削成分(硫黄、特殊元素)と合金元素の適正配分でSKSプリハードン(40HRC)と同等の被削性を擁する。これらの特性によって金型製作の粗加工、熱処理、ゆがみ修正の各工程が省略でき、工期で5日から1週間短縮され、コスト低減も可能となる。切削加工条件や工具選定などの情報も提供、販売を促す。今月11日から東京、大阪でメーカー在庫(初期在庫は平鋼のみ、寸法・厚み13―105ミリ、幅310ミリと410ミリ)を置き、販売開始する。価格はSKSの約30%アップとし、現状月間2500トン強のSKS市場で50%を占める同社シェアを新たに硬度領域をターゲットに拡大させる。薄物プレス用切刃、抜き型、熱間プレス型用スペーサーなど金型関連や治具、機械部としても展開、2001年で月100トンの販売を目指すほか、熱処理など金型製作インフラの整っていない東南アジア向けなど、海外市場にも販路を広げる。
一方、「DCX」は被削性と溶接補修性に優れ、金型製造のリードタイム短縮と、金型を削る工具寿命の向上などコスト低減に寄与する。冷間ダイス鋼SKD11より1・5倍以上の被削性と微細炭化物により高い靱性を有する。500度を超える高温焼き戻しでもSKD11と同等の硬度(58HRC以上)を持つ。すでにサンプル出荷に入っており、当面、平鋼のみ(寸法・厚さ25―300ミリ、幅205―565ミリ)を在庫する。価格はDC53並みを予定。2001年で月間200トンの販売を目指す。
現在、同社では月間約16億円(国内13億円、海外3億円)を販売しており、新鋼種開発や工具鋼事業での選択と集中を進め、高度化を実践させる。
ブ
リキメーカーは、中国の現地合弁ブリキ会社へのローモ(ブリキ用原板)のIL(輸入許可証)の発給見通し難に続いて、米国鉄鋼労使の日本製ブリキ、ティンフリー鋼板に対する反ダンピング(AD)提訴の、米中両国の輸入規制が重なって厳しい状況に追い込まれている。
新日本製鉄系の広州太平洋馬口鉄(略称PATIN)とNKK系の福建中日達金属の両社は、中国側と日中経済協会との協議の結果を踏まえて、10月末にも地元自治体から何らかの具体的措置が行われると予想し、中国側からのIL発給に期待を寄せていたが、現在のところ進展はみられていない」(新日鉄、NKK)。両社の現地関係者や本社の営業部門は生産正常化に向けて懸命の努力を続けているが、今のところ事態打開は見通し難。
米ウエアートンスチールなどのAD提訴は、米大手製缶メーカーへの長期の継続的輸出を主力とする日本製品を対象にしたもので、安定的輸出に打撃を与える懸念が強い。中国向けローモ輸出も、中国のブリキ国産化の動きに対応して、それまでの輸出がブリキからローモにシフトしたもので、最重要問題である現地合弁会社の操業難のほか、ローモ輸出にも大きな影響を与えている。いずれも正当な根拠に乏しい米中の鋼材輸入規制がブリキ業界を揺さぶっている。
新
都市ハウジング協会は、CFT(コンクリート充填鋼管)柱について、長柱での適用範囲の拡大を進めているが、今年度内には長柱実験結果をまとめ、設計式の検討を行い、来年度には設計指針の改定に織り込む方向。今回の適用範囲の拡大は学校、ホテル、病院、空港など1階部分に大きな空間を設ける場合、径長さ比は6以上となる。これらのニーズに躯体、耐火性能も含めて対応するのが狙い。これが実現すれば、CFT構造の需要はさらに拡大する見通しだ。
CFT構造の物件は1996年から、本格的に出てきたが、これまでの建築物件は倉庫、オフィスビル、物流センターなどが主流だった。ただ、最近の建築物件では1階部分に大きな空間を設定することが多くなっている。
ただ、同協会の「構造技術指針・同解説」における、CFT柱の設計式の適用範囲は径長さ比が6以下で、耐火設計指針は現在、径長さ比が8以下のCFT柱にしか適用できない状況にあった。
このため、同協会では今年度、60Nクラスの高強度コンクリートを充填したCFT柱の長柱の実験を清水建設の技術研究所に委託した。実験は今年6月末に、現在、実験結果のデータ整理と分析を行っている。また、長柱の耐火性能評価は今年度から、新規に研究テーマとなり、今後、パイロットテストを行う。来年度には本格的な長柱の耐火テストをする方針。
小
野建(本店=大分市、小野建社長)は東京の鋼材特約店との取引が増えたことから、東京営業所(東京都中央区日本橋茅場町1―4―6、高牟礼厚所長)が10月から協同組合京橋鉄友会に加入し、東京鉄鋼販売業連合会(東鉄連)メンバーとなった。これで同社は東京に定着する第一歩を踏み出した。また来年4月に同営業所を支店に昇格させ、増員も行う。
同社は大証2部に上場している西日本地区最大手の鋼材特約店。東京事務所を95年10月に開設して以来、この4年間に営業所に昇格し、現在は所長含め男子3人、女子2人、合わせて5名体制で関東から北海道地区まで営業展開している。
営業内容は輸入のホットコイル、厚板、敷鉄板などを、上期(99年4月〜9月)に10万900トン販売し、28億1800万円の売上高を計上している。前年同期に比べると販売量で222%、売上高で173%と倍増している。
東京営業所の販売は関東・信越は船橋、千葉、新潟、東北は塩釜、宮古、秋田、青森、八戸、北海道は石狩など各港湾の営業倉庫を借りて輸入敷鉄板、ホットコイル、厚板などを販売する体制で、この11月からは苫小牧で一般定尺の販売も行うことにしている。
来年4月には支店に昇格し、人員も男子2人増員して営業を強化する。同営業所では「99年度の通期で販売量で20万トン、売上高で60億円を目指す」(高牟礼所長)としている。
住
友金属工業は、製品船積みの効率化を図るため2000年5月をメドに、小倉製鉄所にRO・RO船を導入する。直接製品を乗せたパレットを積み込み、揚げ地でもそのまま降ろすもので、要員と時間短縮に貢献する。RO・RO船は、主にホットコイルなどの板系製品の海上輸送に導入されているが、条鋼・線材を主体とする製鉄所に導入されるのは、小倉製鉄所が初めて。
小倉製鉄所は、月間10万トン前後の生産量。自動車向けの供給比率が高く、輸送の効率化と定時化が物流対策のポイントとなっている。導入されるRO・RO船は、小倉―堺間を定時運航する計画で、月間11往復が予定されている。就航により、荷役効率は、毎時80トンから220トンへ拡大する見込みで、一人当たりの生産性は約7倍に向上するとしている。揚げ地の堺港では、パレットごとに直接キャリアで降ろすことになり、ロスタイムの短縮が図れる。
大
阪府はこのほど、2000年度から2004年度までの5カ年間の「第2期分別収集促進計画」を策定した。それによると新たに段ボール、その他紙容器包装、その他プラスチック製容器包装の3品目が加わり、10品目になった。2000年度の10品目平均の回収率は25%と見込まれているが、最終年度の2004年度には35%に10%上昇する見通し。このうちスチール缶は、98年度で91・2%の回収率だが、2000年度には2万9453トン、2004年度には3万3698トンに拡大する。アルミ缶は、2000年度の1万433トンから2004年度には1万2132トンに増加する。
2000年度からの分別収集対象品目はスチール缶、アルミ缶、無色ガラスびん、茶色ガラスびん、その他ガラスびん、紙パック、段ボール、その他紙、PETボトル、その他プラスチックの10品目で、2000年度の平均分別回収率を25%と設定している。
品目別では、スチール缶が2万9453トン、アルミ缶が1万433トン、無色ガラスびんが3万2513トン、茶色ガラスびんが1万9130トン、その他ガラスびんが8856トン、紙パックが1371トン、段ボールが3万4949トン、その他紙が4250トン、PETボトルが5666トン、その他プラスチックが7283トン。最終年度の2004年度には、スチール缶が3万3698トン、アルミ缶が1万2132トン、無色ガラスびんが3万7135トン、茶色ガラスびんが2万2187トン、その他ガラスびんが1万411トン、紙パックが1733トン、段ボールが3万8304トン、その他紙が6591トン、PETボトルが6560トン、その他プラスチックが5万875トン。特に回収率がアップするのが、その他プラスチックでほぼ6倍の増加となる。最終年度の平均回収率は35%で5ポイントの上昇。
大
阪地区のコラムはベース4万8000―4万9000円どころで足踏み状態。需要の停滞で市中の荷動きは閑散。一部で大型スーパーなどの物件が出てはいるものの、需要家の引き合いは細く、全体を引き上げるまでには至っていないのが現状。
大阪鉄鋼流通協会によると、9月末の入出庫状況は入庫が前月比11・5%減、出庫が同比1・6%増。この結果、市中在庫は同比13%増と2カ月ぶりに増加。夏以降、特約店筋が相次いで新規格のBCR在庫に対応したことも在庫の増加につながった模様。現在、流通筋の加工納期は2―3日と短く、10月も出庫は伸び悩み、在庫は横ばいに推移する見通し。母材であるホットコイルのひっ迫感も解消しつつあり、市況は当面、足踏み状態で推移しよう。
芦田 杏三氏
(あしだ・きょうぞう=元住金物産専務)2日午後6時55分、心不全のため大阪市北区の住友病院で死去、86歳。自宅は大阪府高槻市天神町2―1―3―703(電話0726―81―8130)。葬儀は5日午前11時―正午、高槻市野見町4―4の公益社会館高槻(電話0726―72―5855)で。喪主は妻の美枝子(みえこ)さん。
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