通
産省が策定中の99年度民間設備投資計画のうち、鉄鋼業(鉄素形材製造業除く)は、約4980億円(65社回答ベース)となり、前年度より約570億円、10%程度減少する見通しだ。また、今年3月時点調査4857億円(61社ベース)との比較では2%強の増額修正となる。
投資目的は合理化・省力化投資や、更新・維持・補修投資が中心で、高炉各社での大型投資が一巡しているほか、長引く不況を映して厳しい経営環境の中、案件を厳選し、投資全体を圧縮する傾向にあり、総じて減価償却費の範囲内で実施されている。2000年度計画については、1800億円程度(49社ベース)で99年度より800億円強下回る。
過去10年間のピークに当たる91年の8031億円(61社ベース)と比べると40%近い落ち込みとなる。合理化や老朽化した設備の更新が高い比重を占めている。
99年度の鉄鋼業の設備投資計画は、前年度と同様に構造改革を推進する中で、抑制する傾向を強めている。生産関連では高炉各社の大型投資は一段落しており、電炉業でも大型更新投資は完了しているため、全体的に減少している状況だ。特に昨年度の生産減や人員減などを背景に、生産能力の増強は大幅に絞り込まれている。
設備投資額の内訳は、普通鋼が約4300億円(前年度比10%弱の減少)、特殊鋼が約470億円(同35%程度の減少)など。一方、2000年度計画は普通鋼が約1500億円(同30%強の減少)、特殊鋼が約200億円(同15%程度の減少)と、普通鋼、特殊鋼ともに減少傾向にある。
投資の新たな傾向としては、廃棄物溶融炉などの環境関連事業への進出を指向、鉄鋼部門の人員や技術を活用する動きが顕著となっているほか、卸電力事業の積極化が見られる。
関
西地区の小棒メーカーは、需給環境の先行き悪化懸念に対応、12月の生産量を当初の計画に比べて平均で10%程度緊急減産するとともに、来年1―3月についても当初計画比15%強の追加減産を実施する方針を固めた。これによって現行の販売価格であるベース2万3000円どころの水準を死守する方針だ。
関西の小棒メーカーは今年5月契約以降、順次製品販価を引き上げてきたが、ここにきて先行きの需要見通しが厳しくなってきたのに加え、主原料である鉄スクラップ価格がH2ベースで1万1000円―1万1500円水準にまでジリジリ上昇、販価との格差が縮小し採算確保が難しくなってきている。
このためメーカーは、来月の生産数量を当初の計画に比べ平均で10%程度落とすとともに、来年1―3月についてはカット幅を拡大、平均15%強とすることにしたもの。特に1、2月は減産幅を多めに取ることで、現行の販売価格を何としても維持する考え。
現在、関西地区の小棒市況は、ベース2万2500円から2万3000円の水準で弱含み商状となっている。今後の需要は公共事業の息切れなどもあって低調に推移する見通しであり、鉄スクラップの値上がりもあって各社とも危機感を強めてきている。
丸
紅は、韓国・現代鋼管の転換社債36億円を引き受ける。3年満期で、25日、丸紅東京本社で調印式を行った。現代鋼管は、栗山工業団地内に建設した冷延工場の事業資金として充当する。丸紅は現代鋼管の社債を引き受けることで、従来から進められている新冷延工場向けの日本からのホットコイル輸出で、一定の利権を確保する道が開ける。同時に今後、現代グループ企業との取引関係の構築が期待されている。
現代鋼管は現代グループの鉄鋼メーカーで、慰山工場で年間100万トン強の鋼管を生産している。これに続き、99年から栗山工業団地内で年産180万トンの冷延工場を稼働させている。この新工場の投資資金が経営を圧迫しており、一方で加工用のホットコイル調達が操業面からも重要なポイントになっている。このため新たに転換社債を発行し、冷延事業の運用資金に充当する計画を進めていた。
丸紅は韓国での鉄鋼事業の将来性と規制緩和による商社としての事業分野の拡大に着目して、今回の現代鋼管の社債引き受けを決めた。これにより、月間数万トンに達するホットコイル供給面で、一定の利権を獲得することが見込まれている。すでに日本からのホットコイル輸出は夏場以降本格化しており、すぐに丸紅の枠拡大という形には結び付かないが、将来の新たな提携関係の構築を含め、関係強化が進む見通し。
現代グループは現代自動車、起亜自動車などを中心に年間500万トン以上の鋼材を消費している一大企業グループ。現代鋼管は、新冷延工場の稼働を契機に現代自動車、起亜自動車向けの冷延コイルの供給を拡大させており、将来は大きな鉄鋼商権に育つと期待されている。丸紅は今回の社債引き受けをテコに、日本商社としてこの現代グループの鉄鋼商権に食い込むことになる。
欧
州鉄鋼連盟(EUROFER)のヒルゼン専務理事がこのほど来日し、26日、通産省の岡本巌・基礎産業局長と会談した。鉄鋼貿易問題について意見交換し、ヒルゼン専務理事は昨年のような鉄鋼貿易混乱の再発防止のため、経済協力開発機構(OECD)鉄鋼委員会の活用積極化を提唱。これに対し岡本局長は「昨年来の経験から各問題など、あらゆるレベルでの意見疎通の悪さを反省し、情報交換を緊密化することは重要」と述べ、その観点からOECD鉄鋼委員会の活用を従来以上に強めていく考えで一致した。
会談では鉄鋼貿易の混乱を回避するためには、どうあるべきかを議論。ヒルゼン専務理事は日本、米国、EU(欧州連合)の役割を強調、情報交換など各国間での情報の共有化や、意思疎通の向上のためOECD鉄鋼委員会の活用を唱えた。
岡本局長も鉄鋼貿易を円滑に行うためには相互理解を深めていくことは重要な要素として情報交換の活発化を明示。さらに今月初め通産省の奥田真弥・鉄鋼課長が出席して行われた第55回OECD鉄鋼委員会で2国間協議に傾斜する風潮を批判し、同委員会主要国間での情報共有化を提唱した流れを受けて、議論や情報交換の積極化のため、委員会活用に前向きな見解を示した。
新
日本製鉄が主導する日韓タイ3カ国共同の冷延鋼板会社「サイアム・ユナイテッド・スチール社」(SUS、所在地=タイ国ラヨン県イースタン工業団地内、資本金=60億バーツ・約160億円、社長=荒勝彦・新日鉄参与)は27日、ラヨン県イースタン工業団地の本社工場内で盛大に竣工式を開催した。SUSは年間能力91万トン、最新鋭の高速冷間圧延ミルと2基の連続焼鈍ラインを持ち、TMBP(ローモ・ブリキ原板)、GI(亜鉛メッキ)原板、一般冷延の高級冷延鋼板3品種すべての生産が可能で、タイの冷延鋼板需要の増加に対応するとともに、タイの雇用拡大、技術移転による鉄鋼業の高度化を実現するプロジェクトとして期待されている。
SUSは95年10月に設立され、昨年11月に完成し、順調に操業を立ち上げ、操業開始後1周年を迎えた。日本側が新日鉄(出資比率31・25%)、川崎製鉄(8・5%)、住友金属工業(2・5%)、神戸製鋼所(2・5%)の高炉4社と三井物産(3・25%)、三菱商事(2%)、住友商事(1・5%)、日商岩井(1・5%)の大手商社4社の計8社で、韓国・浦項綜合製鉄(3%)を合わせた外資側は計56%。タイ側はタイ最大規模の企業であるサイアムセメント(31・25%)、ブリキメーカーのタイ・ティン・プレート(TTP・10%)とサイアム・ティン・プレート(STP・2・5%)など4社が出資(タイ側計44%)する、3カ国連合の大鉄鋼プロジェクト。
経営幹部は荒社長のほか、会長=チュンポン・サイアムセメント社長、副会長=猪熊研二・新日鉄副社長ら4人。従業員は約800人。
生産能力91万トンのうち、一般冷延鋼板42万トン、GI原板が24万トン、ブリキ用原板が25万トンの内訳。製造可能サイズは板厚0・18ミリ、板幅700―1300ミリ。
竣工式に先立ち26日には、バンコク市内のヒルトンホテルで700人が出席してカクテルパーティーが催された。スタポーン・タイBOI長官、チュンポン・サイアムセメント社長、千速社長のスピーチに続き、株主代表とSUS幹部による鏡開きが行われ、会場を沸かせた。
27日の竣工式には自動車、建築など現地需要家を招待し、タイ政府、日本大使館、株主、建設・機械、船会社など関係者600人が参列し、赤尾信敏・駐タイ日本大使、スワット工業大臣が祝辞を述べた後、竣工式が行われ、SUSの前途を祝した。
神
鋼シャーレックス(本社=尼崎市西高洲町、前田憲幸社長)は年内をメドに、溶断生産管理システムを完成させ、導入する。受注から加工内容の図面拾い、材料の取り合わせ・加工・出荷までをコンピューターで行い、これまで人手をかけていた作業を省力化するとともに、効率化を図るのが狙い。また、NC装備の溶断設備は現在、3基(ガス溶断機、酸素プラズマ、レーザー加工機)だが、既存のフレームプレーナー2基についても、将来的にはNC化を図りたい考え。
同社は神戸製鋼所系の指定シャーで、本社工場にフレームプレーナー2基、NC付きの溶断機3基(ガス溶断設備、酸素プラズマ、レーザー切断機)、小型自動溶断機38台(直線切断機22台、自由曲線切断機6台、円形切断機3台、手動R切断機7台)などを所有している。
受注は主に橋梁、鉄骨向けで、月間2200―2300トンの切板を手掛けている。年間の加工内訳としては橋梁向けが約40%、鉄骨向けが約60%。ただ、シャーを取り巻く環境は依然として厳しく、橋梁では大型物件の減少により、明細重量が小さくなっているうえ、鉄骨も建築不振のあおりから、需要が減退するとともに、単価も大きく下落している。同社の加工量も昨年同時期に比べると10%程度の減少となっているうえ、採算面も悪化している。
こうした状況に対応するため、ここ数年、業務の効率化や工場の省力化を推進してきた。今回の溶断生産管理システムもコスト低減と作業の効率化の一環。同システムは昨年から、同じ神戸製鋼所系のシャーの三和鐵鋼(本社=愛知県海部郡)と共同で、ソフトの開発を進めてきたもので、年内には導入を図る。
システム自体はフロッピーで受注した切板の加工内容をCADで処理するとともに、製品の入出荷・在庫状況もコンピューターで一元管理し、加工に合わせた最適な材料の取り合わせも行える。さらに、コンピューター処理した物を工場のNC設備に加工指示を与え、出荷までを管理する。
今後、同社はシステムを活用し、コスト低減をさらに進めていく。また、将来的な課題としては、既存のフレームプレーナーもNC化を進め、工場の加工作業も一段と効率化を図りたい考え。
東
海鋼業(本社=東京都中央区京橋、谷澤清人社長)は、現体制下での事業継続を断念し、今年度末をメドに小形棒鋼事業と塗装鋼板事業の営業譲渡を決めたが、塗装鋼板事業については、新日鉄が100%出資する新会社に譲渡する。塗装鋼板の新会社は、本社所在地や要員体制など概要は未確定であるが、北九州の工場をそのまま活用し、「トーカイカラー」のブランド名を残す形で生産、販売事業を継続する方向だ。
1916年に創業し、小棒とカラー鋼板の2本柱で事業を進めてきたが、バブル崩壊以降の需要減退から小棒市況の低落を受け採算が悪化していた。2000年3月期は3期連続経常赤字の見込みで、さらに50億円にのぼる累損が財務を圧迫し、「このままでは債務超過は免れず、取引先や株主に迷惑をかけずに事業を継続する方策を選択した」(谷澤社長)とし今回の処置となった。
塗装鋼板事業は、カラー鋼板を中心にカラーステンレス、ガルバリウム鋼板などを生産するほか、加工製品や主に新日鉄からの受託加工品を手掛けている。材料はメーンの新日鉄八幡、君津のほか、ステンレスを光から、ガルバリウム鋼板を大同鋼板から仕入れている。販売エリアは名古屋以西で、工場の立地する九州地区の出荷割合は5割弱。バブル期のピーク時で月間4000―5000トンを生産、建築需要の停滞で年々減少傾向をたどっていたが今期は若干回復し、月間3千数百トン規模の生産を続けている。
小棒事業の低迷に対し、塗装鋼板は比較的収益性が高く、バブル崩壊以降も毎期、最終利益段階で黒字を維持している。99年3月期の塗装鋼板部門売上高は44億5000万円(売上高構成比率31・8%)。今中間期は、前年同期比7・3%増の22億5800万円で、うち塗装鋼板が20億5500万円、加工製品6800万円、受託加工品1億3400万円。全従業員数200人のうち、製造部門には150人を配置しているが、小棒にタッチするのが120人、塗装鋼板が30人と、一人当たり生産性は単純換算で小棒の約倍に当たり、新会社移行後もスムーズな事業継続が見込まれている。
なお、小棒を含む鋼材部門の今中間決算は1・7%減の47億1400万円。内訳は小棒が11・1%減の40億7100万円、加工製品が0・3%減の2億900万円、鋳片・その他が大幅増の4億3300万円(前期400万円)となった。
東
京の縞鋼板(4・5ミリ厚、ベースサイズ)は、5万4000円どころ中心で横ばい推移。主力の建築需要が停滞しており、市中の荷動きも10月以降総じて低調。自動車向けも大型車の不振が長期化しており、普通トラック生産台数でみても、上半期の約4万2500台が下半期4万台を下回ると予測されている。工場関係の設備投資が増えない限り、需要回復は難しいようだ。
価格的には、東京製鉄の12月販価値上げにより「これまでよりは売りやすくなった。安値部分は解消していくだろう」(大手縞板扱い筋)。しかし、1―3月にかけての大型物件では、メーカー間の受注競争も激しく、「数量が出ても価格面では下げの材料になる」(同)との懸念が強い。切板加工、定尺販売ともに小口・小ロットが中心。市況は当面、同値圏内とみられる。
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