2001.02.01
経 済産業省は31日、鉄鋼各社の2000年度第4・四半期(01年1―3月)鉄鋼生産計画の集計結果を発表した。粗鋼生産は2633万1000トン(前期比104万9000トン、3・8%減、前年同期比93万1000トン、3・7%増)で、第4・四半期としては90年度以来の2600万トン超となる。同省が策定した需要見通し2530万トンを103万1000トン、4・1%上回る。

 環境悪化から減少する輸出に対し、内需は自動車が一定生産を維持するほか、首都圏プロジェクトなどで建設分野の需要が高いレベルにあることで、需要見通し水準より約100万トン増となった。計画通り推移すると、00年度粗鋼生産累計は1億738万トン(前年度比938万トン、9・6%増)と97年度以来の1億トン乗せを記録する。

 前期比では99年度第4・四半期以来、4期ぶりの減少に対し、前年同期比では99年度第2・四半期から7期連続の増加となる。

 今期の生産計画は、不需要期ながら建設、自動車などにけん引される内需が微減にとどまり、2600万トンを超える数値となった。需要見通しとの比較では鋼材で82万トン、鋼塊・半製品で10万トンの合計約90万トンの積み増しがあり、見通しを100万トン上回る。ただ、同省では鉄鋼需要は堅調としながらも、「今後、実需がどう推移するのか見極める必要がある」(鉄鋼課)とし、在庫、輸出動向との兼ね合いによる慎重な生産対応が重要と強調。鉄鋼生産も踊り場を迎えたと見ている。

 普通鋼鋼材生産は1992万7000トン(前期比64万トン、3・1%減)。内訳は国内向け1555万8000トン(同30万6000トン、1・9%減)、輸出向け436万9000トン(同33万4000トン、7・1%減)で、輸出環境は悪化し、各地域とも減少、今後、さらに悪化する公算も大きい。

 普通鋼のうち、H形鋼は135万1000トン(前期比7万7000トン、5・4%減、前年同期比2000トン、0・1%増)。国内向けは125万1000トン(前期比9万2000トン、6・9%減)、輸出向けは10万トン(同1000トン、1・4%増)で市況をにらんだ減産基調となっている。

 小棒は292万9000トン(前期比24万2000トン、7・6%減、前年同期比4000トン、0・1%増)で、首都圏では再開発プロジェクトにより関東地区は堅調なものの、その他地域は減少する。

 一方、特殊鋼生産は409万8000トン(前期比11万4000トン、2・9%増、前年同期比37万8000トン、10・2%増)。国内向けが299万6000トン(前期比1万8000トン、0・6%増)、輸出向けが110万2000トン(同9万6000トン、9・6%増)。

日 鉄商事は鋼材ドットコムのサイト上で登録した販売先数十社を対象に、浦安倉庫(千葉県浦安市)のSNH形鋼の在庫情報を公開する。2月1日以降順次進める。登録した顧客はサイズごとの員数など、実際の在庫状態をもとに画面上で発注できる。既に数社を対象に12月の1カ月間試行運用を実施して機能の確認を終えている。IT技術を活用することで、今後普及が見込まれるSNH形鋼の拡販に結び付けたい考えだ。

 今回からドットコムで買い手登録した販売先数十社に限って、浦安のSNH形鋼在庫のサイズ、長さ、員数を公開する。買い手は画面上で在庫の有無を確認したうえで発注できる。日鉄商事側が単価、数量など注文内容を確認、了承した時点で売買が成立する仕組み。今後未登録の取引先にも登録を呼びかけ、SNH形鋼の販売についてはすべてドットコム経由の発注に移行させたい考え。

 ドットコムを通じて新規の取引先が登録するなど、ITの活用で拡販に結びつく可能性が出てきている。SN材は現状、在庫販売店が少ないため、地域や既存の販売ルートを超えて、需要家に公開する効果があると判断した。在庫の保有をアピールすることで、遅れているSN材の普及を促進できると見ている。SS材については電話、ファクスの販売が定着しているため、今回は在庫情報の公開を見送る。

 日鉄商事は以前から、鋼材ドットコム上でH形鋼のカタログ販売を実施していた。全サイズのカタログで注文を受け付け、自社在庫やメーカーロール対応などで手配する形態で、必ずしも在庫販売に結びついていなかった。

 SNH形鋼については、98年10月に在庫販売を開始した。この間、引き合いの増加などに対応してサイズの拡充などを進めており、在庫規模は当初の300トンから直近では1000―3000トン規模に増加。規格はSN400B材で、サイズは細幅が200×100―600×200、中幅が244×175―588×300、広幅が150Wと200Wで、7―13bの定尺を1bピッチでそろえている。

韓 国の東国製鋼(本社=ソウル市)は、01年の生産目標として487万トンを設定していることを明らかにした。過去最高の水準で、国内の造船需要の拡大や薄板需要増に対応したもの。金会長は増産による販売拡大とともに「経営環境が不透明であるため、資金の流動化に重点を置く一方で、積極的な輸出拡大とこれに付随した為替対策を強化する」ことも明らかにしている。

 同社は、韓国では仁川製鉄と並ぶトップクラスの電炉一貫メーカーで、99年12月期の売上高は1兆4285億ウォン。年産180万トンの厚板工場を建設したため、生産量、売上高はこのところ急増している。

 今年生産量を487万トンに拡大する方針を打ち出したのは、新設の厚板ミルの操業が安定化し、素材のスラブ調達面で川崎製鉄と提携したことが背景にある。一方でスラブ調達を海外に大きく依存する形になったため、為替リスクが収益に影響する格好となっており、為替管理の強化が打ち出されている。

 東国製鋼は生産体制の整備を背景に、今後市場志向の経営体制に転換する。これと同時に、需要家サイドのニーズに合わせた高級鋼の開発を強化する。

【韓国鉄鋼新聞特約】
高 強度オイルテンパー線トップメーカーの杉田製線(本社=東京都墨田区東墨田)は、2月1日付で、杉田光治社長が会長に、新社長に杉田光一専務が就任した。このほど開いた株主総会および役員会で決めたもの。

 同社は1915年の設立で、本社と千葉県市川に工場を持ち、オイルテンパー線をメーンに、硬鋼線、ピアノ線、冷間圧造用鋼線、特殊用途線などを製造・販売している。昨年、米国ビッグ3対象の品質保証規格QS9000を取得するなど、自動車用部品材料を中心に高付加価値分野への拡販を進めている。

 すぎた・こういち氏=68年、学習院大学経済学部卒業、神戸製鋼所入社。70年に杉田製線工場取締役、神鋼杉田製線取締役副工場長。90年専務取締役、98年に代表取締役専務に就任。東京都出身、44年6月生まれ。

住 友金属工業は、2001年度の厚板販売量を数量増や店売りの値上げ、輸出価格の改善で計画を上回る業績を残すことが確実な00年度並みにキープする方針だ。国内の店売りは横ばい、ヒモ付きは不透明な要因もあるが、輸出は値上げを検討する。中でも新商品開発に注力し、00年度で開発した新製品は01年度で倍増に拡販し、01年度も引き続き開発に取り組む。設備面では、01年秋には鹿島製鉄所・厚板ラインを改良して、拡販につなげる計画。

 00年度は国内のヒモ付きの数量が当初計画に対して増加、金額は微減、店売りは数量、金額ともに増加、国内計では数量が10%弱の増加、金額は横ばいとなる見込み。輸出は数量、金額ともにほぼ横ばい。合計では数量、金額とも計画を若干上回る見通し。国内店売りの価格上昇、アジア向けを中心とした価格の回復などが業績伸長に寄与するが、国内のヒモ付きの価格の下押しだけが解消できなかった格好だ。

 01年度は国内の店売り向けが横ばい、ヒモ付きは価格面で不透明な部分が残るが、00年度並みを目指す。輸出はマーケットが安定して需給はタイトなこともあることから、若干の値上げを検討する。合計では00年度と同レベルの業績を目指す構え。

 00年度に開発を終えた新製品は01年度に倍増。01年度も引き続き新製品開発に取り組み、リードタイムの短縮、ユーザーのコスト低減に満足できる製品開発を推進する。ハード面では、鹿島製鉄所の厚物精整ラインを今年の秋に改良。同製鉄所の一連の改良投資が完了することで、販売面に貢献することによる業績好転が期待されている。

川 崎製鉄は、薄板を中心とした国内外の環境が急変していることに対処する目的で、2001年度は迅速に生産・販売対応するための社内計画の見直しサイクルを早める。変化に即応できる組織の改正も視野に入れる。

 00年度の鋼材需要は、上期が国内、輸出ともに好調に推移したが、下期からは国内・輸出とも市場が急激に変化した。なかでも薄板はアジア市場で在庫調整局面に突入、国内でも高炉間のシェア競争に加えて、東京製鉄の大幅値下げが影響しそうな気配だ。

 こうした環境の変化を注視して、川鉄は下期の薄板輸出を上期に比べて約20万トン抑制することを決めた。需給改善に取り組むことで、01年度上期は輸出価格を現状より20―30ドル引き上げ、最終的には00年度上期並みの270ドル以上を目指す方針。

 アジア市場での在庫状況、アメリカ経済の動向など、今後も不透明な要因が増えることを想定して、スピーディーな生産・販売対応を強化。計画の見直しサイクルを従来より早める。
2 000年(1―12月)の小棒生産は前年比3・4%増の1224万7000トンと、1200万トン台を回復した。これに対して、出荷は同3・9%増の1231万7000トンと、数量、伸び率ともに生産を上回り、堅調な需要を裏づけた格好だ。結果、期末在庫は前年同期比10・7%の減少となり、在庫率は10ポイント以上低下した。

 小棒生産は前年比3・4%増の1224万7000トン。月間生産が100万トンを割り込んだのは、1月、2月、8月の3カ月のみだった。小棒生産のうち、鉄筋用は同3・6%増の1112万1000トンと、1100万トン台に乗せた。

 小棒出荷は同3・9%増の1231万7000トン。生産を7万トン上回った。出荷が100万トンに達しなかったのは1月、2月、4月、12月の4カ月。小棒出荷のうち、鉄筋用は同4・1%増の1118万2000トンと1100万トン台乗せで、生産より6万1000トン多い。

 この結果、小棒の期末在庫は前年同期比10・7%減の58万3000トンと7万トンの減少。在庫率は前年末の69・4ポイントから59・0ポイントへと10・4ポイント下がった。小棒在庫のうち、鉄筋用は同10・9%減の48万9000トンと、6万トン減少した。

東 京地区の 等辺山形鋼は6×50で3万5000円、溝形鋼は5×50×100で3万9000円中心で強含み。メーカーの追加値上げに備えて、流通は2月中に過去の値上げ分を転嫁する構えを示しており、低水準在庫を背景に上昇圧力が持続しそうだ。

 引き合いは小口が中心で、1月の出庫量は12月比で1割減少する見込み。一方で、溝形でデリバリーに1カ月強の遅れが出ており、市中在庫で100ミリが特に少ない状態が継続。品薄在庫を背景に流通の高唱えが浸透しており、山形で3万6000円、溝形で4万円が30%前後通るようになった。

 メーカーは2月の販価は据え置くが、1―3月で10%などの減産により、3月に1000―2000円程度値上げする意向を示している。当面は在庫補充は限定されるため、需給の窮屈感は解消されず、荷動きが停滞するなかでの上昇基調が続きそうだ。