2001.02.15
N KKは14日の取締役会で、東京大手町の本社ビルを730億円で三井不動産に譲渡することを決めた。同社グループが中期経営計画の重点課題として掲げている「連結財務体質の改善」の一環として決議したもの。

 これにより、今期の業績見通しは連結剰余金が560億円で、前年度の438億円の損失から一気に998億円改善される。また、借入残高は前期の1兆5370億円から1兆3400億円へと1970億円改善される。この結果、中期経営計画における財務目標の達成にメドをつけた。

 なお、本社ビル売却に伴う特別利益の計上により、同社の今期連結業績は売上高1兆7700億円、経常利益400億円で変わらないが、当期利益として980億円を計上する見通し。

 また、同社は北米における持ち株会社機能を停止し、連結子会社であるエヌ・ケー・ケー・USAを解散することを決議した。

N KK福山製鉄所(所長=岸本純幸専務)は、製鋼段階で取鍋を活用した第2脱ケイ装置を昨年末完成させ、世界初の完全ゼロスラグ操業に移行した。溶銑を転炉に移す間に脱ケイステーションで、Siの比率を0・2%から0・04―0・05%へ下げ、転炉での脱C用の石灰挿入を大幅に低減させた。これにより、転炉の吹錬時間をこれまでの35分から25分に短縮。スラグ処理コストの削減など一連の効果で、最終的には年間110億円のコスト圧縮が可能になるとしている。

 福山製鉄所は、NKKの主力製鉄所。高炉4基、熱延ミル2基体制で、量と高付加価値製品の安定生産という両面で、中心的な製鉄所となっている。計画では「安定的に低コストで1000万トンの粗鋼生産を行う」ため、昨年から上工程を中心としたネック解消投資を実施。内容はPCIの増強、第2脱ケイ装置の導入、加熱炉増設、廃プラの高炉挿入設備の導入―などで、年度内に全面立ち上げを目指している。これにより、特定工程に負荷をかけない通常生産で、1000万トンが出せる一貫製鉄所構築を実現する。脱ケイ処理はこの中核的な設備となるもので、投資効果も大きい。

 溶鋼取鍋での脱ケイ処理は、トーピードカー方式でない利点を活用して、考案された。転炉に溶鋼を投入する前に、取鍋の中でSiを除去する。

 溶鋼中のSi比率は、出銑段階で0・4%程度。従来は転炉で、石灰の大量投入を行い処理しており、これがスラグの原因になっていた。転炉ではP処理に投入される石灰が先にSiと反応するため、余分な石灰が必要となっていた。これをクリアするため、取鍋で事前脱ケイ処理する方法を開発。これにより転炉では、基本的には脱C処理が主体になる。また低Siで転炉に入るため、転炉中のPの比率も0・012%と大幅に下げられる。

愛 知製鋼は14日、従来の磁気センサをはるかに上回るコスト、パフォーマンスを実現する超高感度MI(磁気インピーダンス)センサ=写真=の実用化に世界で初めて成功するとともに、その研究開発・販売を行う新会社、アイチ・マイクロ・インテリジェント(株)を設立したと発表した。新センサは既存センサの約1万倍の感度を有し、今後自動車用各種センサなどの大幅なコンパクト化やコスト低減の推進、さらにITS(高度道路交通システム)など幅広い分野での応用が期待できる。新会社は5年後に売上高30億円以上を目指す。

 この超高感度MIセンサは、東北大学の増木健・名誉教授の発明によるアモルファス磁性ワイヤーと名古屋大学の毛利佳年雄・教授が発見したアモルファス磁性ワイヤーの磁気インピーダンス効果に基づくもので、同社では科学技術振興事業団から委託を受け、実用化を目指してきた。その結果、微小加工技術の開発などにより世界で初めてMIセンサの量産化技術を確立した。現在、設備としては月間数万個のパイロットプラントを持ち、試作品を提供できる体制を整えている。

 新会社は資本金2000万円(愛知製鋼100%出資)。本社を愛知製鋼内に置き、事務所を4月1日に名古屋市天白区植田に開設予定。役員には同社の森田章義副社長が社長を兼務するほか、取締役として大橋正昭会長、柴田雄次社長、本蔵義信電子・磁性部長が就任したほか、MIセンサの原理発見者である毛利教授を近く迎え入れる予定。従業員数は約15人。営業開始は4月1日。MIセンサの応用開発にあたっては、日米欧のユーザーと共同研究を進めていく。
サ ンコール(本社=京都市右京区梅津西浦町14、今勝弘社長)は、本社および本社工場の再生計画の中核となるピックリングライン(洗浄設備)工場の新設ならびにFOP(光通信用ケーブル製造)工場の拡張工事が完成し、このほど本格稼働を開始した。投資総額は約11億円。

 これは、本社工場を精密材料の開発・生産や新製品開発、コア要素技術開発および新製品立ち上げ生産基地として位置付けたうえで、2003年を最終年度とした4カ年の再生計画を進めているもので、その第2段階として、高強度精密材料の前工程設備と、光通信用部品の開発・初期生産工場としての体制が整った。

 同社は精密金属塑性加工技術をベースに、材料からばねおよび部品加工までを行う一貫メーカーで、素材・自動車部品や電子・情報関連部品、光通信関連部品向けに集中特化した技術・製品を事業戦略の基本としている。本社工場のほか、国内に4カ所の製造拠点と海外に5カ所の事業所を有し、00年3月期の売上高は約256億円。

 本社工場については以前から、移転も視野に入れた形での再生策の検討がなされてきたが、最終的には、京都市内という地の利を生かす形で存続を決定し、昨年5月に世界初の環境対応型高張力鋼熱処理炉の設備設置をはじめとした再生計画をスタートさせたもの。

 今回、第2段階の設備投資として建設された新工場建屋のうち1、2階がピックリングライン工場、3階がFOP工場となっている。

 このうち新ピックリングラインについては、世界的な小型車開発競争における小型高出力エンジン用バルブスプリング向けなど、高強度精密材料の伸線前工程として適用するもので、処理線表面のスケール除去と各種伸線前皮膜処理を行うもの。最新式のコイル振動酸洗・皮膜装置によって処理時間が短縮化したほか、高圧シャワー装置で線表面の不純物の完全除去を実現。処理能力は月間1000トンで、適応コイル重量は最大2トン、搬送機操作は全自動制御。
重 仮設業のリース料金は、ここにきて関東地区を中心に底打ち気配を強めている。2000年度上期比(全品種トータル平均)で5―10%程度反騰している物件も出ており、徐々にではあるが、最悪期を脱する兆しが見えてきた。

 重仮設リース料金は本年度入り後、“底”と言われた前年度をさらに下回る状況で、全品種トータル平均で前年度比10%前後下押しした。

 下期は一転して需要が回復し、受注量は年度トータルで各社ともに前年度並み、またはそれを上回るボリュームを確保。その半面、上期で最低レベルに達したリース料金は採算を大きく割っており、収益改善の“足かせ”となっている。これを受けて、上場4社の2001年3月期中間決算は例年以上に厳しい内容となり、利益は総じて営業、経常ベースで大幅に下落。重仮設業者は、このリース料金の低迷で資力を失っており、新規資材の購入に踏み切れないなど、危機的な状況に陥っている。

 リース料金を適正水準まで値戻しし、採算を回復するため、重仮設業者は、昨年後半から“適正な賃貸料や諸費用の実現”をユーザーに訴えてきた。また、全体の供給量を削減するとともに、在庫管理費負担を軽減するため、ヤードの資材保有量を圧縮。新規資材購入を減らす代わりに、業者間での再リースを増やすなど、各社とも生き残りをかけたアライアンスに踏み切っている。

川 崎製鉄が建設していた99年度群馬県営中山間地域総合整備事業における福岡地区小平川橋梁3工事が、このほど竣工した。同工事は、群馬県館林土地改良事務所から受注した3径間連続方杖ラーメン橋で、工場製作を新日本製鉄と2分して実施、現地工事は、川鉄が全量を実施した。

 同橋は、橋長114b、総幅員10b、鋼重量は206トン、方杖脚の高さ16・58bと13・28bのいわゆる「π」型ラーメン橋。耐候性裸仕様を採用し、雨水がたまらないよう主桁、脚などをボックス構造にすることで、安定錆が出やすいような工夫がされている。

 今回の工事では、河川が深く直接、脚を立てられないため、脚と桁を剛結。脚を傾斜させた方杖ラーメン橋とし、スパン割りを設計強度を自由にコントロールした。また、歩行者が橋上から周囲の景観を観賞できるよう、支間中央部にバルコニーを設置。景観面など意匠性の高いメタル橋の特徴が、最大限発揮されている。

 工事場所は、群馬県山田郡大間々で、99年9月30日に着工、2001年1月31日に竣工した。川鉄の受注金額は、3億5400万円。同社にとっては、上袋倉大橋(50トン、群馬県)、長野支道橋(200トン、農用地整備公団)、灘川橋(1140トン、本四公団、東京鉄骨橋梁とJV)に次ぐ4番目の方杖ラーメン橋となる。
三 星商事(本社=大阪市西区川口3―1―20、山本角夫社長)は販売網の拡大策の一環として、ホームセンター部を設置するなどDIY向けの営業を強化しており、当面の目標として全社売り上げベースの10%達成を目指し、同社事業の柱となる一部門として育成する考え。

 同社は中山製鋼所グループの流通部門として、線材製品や亜鉛鉄板、塩ビ製品、建築資材などの販売を行っており、全国で23カ所の営業拠点を有する。年間の売上高は172億円(前3月期実績)。

 このうち、北九州営業所では以前から地元

大手DIY向け販売を行っていたが、ユーザーニーズの多様化に合わせることで、販売ルートの拡大策を図るためにも、全社ベースでの取り組み体制強化が必要と判断、昨年4月にホームセンター部を設置し、本格的な営業展開を開始したもの。発足後約1年が経過したが、大阪地区でも取引先が拡大するなど、順調な推移を見せている。

 基本的には同事業部が営業を行い、それに応じた形で全国の各営業所がデリバリーを担当する。現在、扱い品種としては数品目に限られているが、今後は売り上げ動向を見極めたうえで、アイテム数の増加を図る。

大 阪地区の 等辺山形鋼はベース3万4000円どころで小じっかり調。

 建築をはじめとする需要の後退で、市中の荷動きは昨年12月末以降、急減。大阪鉄鋼流通協会によると、流通の出荷量は12月末で20%近く落ち込み、「1月はさらに10%近い落ち込みとなりそう」(特約店筋)。今月も荷動きに好転の兆しが見られず、さえない展開となっている。

 ただ、市中在庫はメーカーの減産、引き受け調整などの効果により、横ばい基調を維持。「一部サイズではロール待ちもあり、需給は比較的締まっている」(商社筋)の現状だ。

 このため、下押し気配が強まっている僚品のH形鋼に比べ、市況は小じっかりしている。