2001.04.19
住 金物産は、2001年度を初年度とする向こう3カ年の新経営計画を策定、18日発表した。「財務体質の強化」を重点課題とし、鉄鋼・繊維・食糧の3分野を核として積極的かつ堅実な経営を目指す。2003年度の単体で売上高8500億円(連結ベース9600億円)、経常利益55億円(同80億円)、当期利益30億円(同40億円)、ROA1・4%(同1・8%)が目標。2001年3月末で1700億円(見込み)ある有利子負債を3年間で200億円削減、従業員数は155人減らし、1100人体制とする。

 00年度までの3カ年計画では、「収益体質の向上」を重点に進めてきた結果、01年3月期業績見通しは、単体で売上高8100億円、経常利益40億円、当期利益0円と当期利益は未達ながら経常利益は当初目標を達成できる見込み。赤字であった鉄鋼部門も黒字に転換する見通し。この間、2332億円あった有利子負債は1700億円と約630億円圧縮、従業員数も1565人から1255人へと310人削減した。

 新経営計画では、こうしたことを踏まえて「積極的かつ堅実な経営」を目標に、それぞれの分野で専門性をさらに高め、営業販売力・収益力を強化する。鉄鋼部門では需要の伸びが見込めないことから人員・組織を見直すことで効率化するほか、医療機器、環境・リサイクルといった新しいビジネスを拡大する。繊維部門ではアジア製品の欧米市場開拓などに取り組む。食糧部門では川下分野への販売強化や加工品の充実を図る。

 この結果、03年度の部門別売上高は鋼材3200億円(同3500億円)、繊維1950億円(同2200億円)、食糧1250億円(同1500億円)、建設・機械などその他2100億円(同2400億円)を計画。

 収益では「不良関係会社の整理・統合をこの2年間でかなり処理した」(幾左田社長)結果、当期利益の改善が見込まれている。

日 本鉄鋼連盟が18日発表した2000年度の粗鋼生産は1億690万5000トンで、前年度の9799万9000トンに比べ9・1%増と3年ぶりに1億トン台を回復した。

 00年度の粗鋼生産を炉別にみると、転炉鋼は7635万4000トンで前年度比11・1%増、電炉鋼は3055万1000トンで同4・3%の増加となった。この結果、電炉鋼比率は28・6%と4年連続の低下となった。

 鋼種別では、普通鋼が8748万5000トンと同8・7%増、特殊鋼は1942万トンと同10・8%の増加。

 熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は9891万4000トンと、前年度の9076万1000トンに比べ9・0%増加となり、2年連続の9000万トン台乗せとなった。このうち普通鋼は8272万トンで同8・5%増と、3年ぶりに8000万トン台を回復。特殊鋼は1619万5000トンで同11・5%増と3年ぶりに1600万トン台を回復した。

 普通鋼鋼材年度合計のうち、条鋼類は2735万トンで同2・2%増、鋼板類は5441万3000トンで同12・2%の増加。

日 新製鋼は、ホームページ内に新めっき鋼板「ZAM(ザム)」専用サイトを開設した。専用サイトでは、ZAMの優れた特長、用途、製造工程などの紹介のほか、「お問い合わせ」コーナーからZAMに関する質問や資料請求ができる。ホームページアドレスはhttp://www.nisshin−steel.co.jp 主な内容は、(1)コストダウン、長寿命などの特長や耐食性、耐疵付性などの特性(2)めっき鋼板の枠にとどまらず、幅広い用途での使用をイラストや写真で紹介(3)東予製造所の最新鋭溶融めっきラインを紹介。また、材質、仕様、特長などについてQ&A形式で説明している。このほか、ニュースリリースや最新情報に加えカタログと技術資料を掲載している。

 ZAMは、鉄骨系プレハブ住宅の構造材をはじめ、交通騒音対策用遮音壁などの道路用資材や農業用資材としても採用されており、同社はすでに月産1万トンを突破している。今後、建材、土木、電力、電機、鉄道、自動車などさまざまな需要分野への用途開発を進め、月産3万トンを目指している。
N KKは18日、三重県湾岸桑名インター線道路の一部橋梁向けに、海岸耐候性鋼板を約2200トン納入したと発表した。鈑桁大型橋梁を中心とした5橋に全量使用され、総橋長442メートル、最大幅員32・2メートル。橋梁での新耐候性鋼の使用量としては世界最大規模。

 納入したのは、三重県が発注した湾岸桑名インター線工事一部区間の5橋梁。位置的には伊勢湾に近く飛来する塩分量が多いため、当初は塗装橋として計画されていたが、98年に竣工した同じ三重県紀南地区の「小阪辻橋」で海岸耐候性鋼が適用された実績を背景に、今回は全面的に使用された。今年10月末に全区間5橋が竣工する予定。

 海岸耐候性鋼は、98年に開発、販売を開始した。従来の耐候性鋼では適用できなかった海岸地域でも、ち密なさび層を形成するため無塗装で使用可能。初期の流れさびが少なく、溶接施工性にも優れている。これまで数百トン単位の受注を重ねてきたが、2000トンを超える大規模な受注は初めて。

 同社では、新耐候性鋼の適用実績が高炉メーカー各社の累計で約1万トン規模と推定しており、今後も橋梁、土木分野や鉄塔などで海岸耐候性鋼板の受注拡大を目指す。
川 崎製鉄は18日、米AKスチール社と自動車用鋼材分野を中心に、戦略的な協力関係の構築を内容とする提携契約を締結した発表した。今年3月から合意に向けて交渉を続けてきたが、このほど最終合意に達した。相互技術協力および相互ライセンス供与、共同研究開発などに取り組み、世界市場で同じスペックの自動車用鋼板の供給ができる体制を整える。

 これまで、川鉄は米AKスチール社の株式の約5%を保有している株主にとどまっていたが、今後は技術面まで踏み込んだ提携関係を構築する。具体的には、自動車用鋼材分野における製品・操業・加工などの相互技術協力、これらにかかわる相互ライセンス供与。また、製品・応用技術・IT関連技術の共同研究開発にも取り組む。

 川鉄はアジアで、韓国の現代ハイスコとの間で自動車用鋼板の分野で提携関係を結んでいる。川鉄と経営を統合することに乗り出したNKKは、独ティッセン・クルップ社と同じ分野で提携交渉を進めている。川鉄とNKKは米AKスチール社と独ティッセン・クルップ社を欧米の軸にして、日本を含むアジア、米国・欧州の全世界で自動車用鋼板体制を整え、自動車業界のグローバル化に対応。仏ユジノール社などと提携している新日本製鉄に対抗する。
関 西地区の大手コイルセンターの大裕鋼業(本社=大阪府堺市、井上作雄社長)はこのほど、海山町倉庫での薄板(コイル)の在庫を止め、同倉庫にミニスリッターを導入、海山町第2工場(堺市海山町)として開設した。今回の海山町第2工場の開設は在庫を本社工場に集約し、一元管理を図るとともに、小口の細かい加工ニーズに対応するのが狙い。 同社は本社工場、小松工場(石川県小松市)、海山町工場・倉庫で薄板を在庫・加工するとともに、関係会社のダイユーで鋼管の生産などを行っている。現在、本体の薄板加工量は月間1万5000トン。

 ただ、大阪地区での薄板の在庫は、本社工場と海山町倉庫などで行っていた。しかし、在庫が分散していることで、入出荷の効率がよくないことや、経費もかかることから、このほど、海山町倉庫の在庫を本社工場に集約した。

 これに伴い、海山町倉庫(建屋面積=約500平方メートル)にミニスリッターを導入し、今年3月から、海山町第2工場として立ち上げた。今後、第2工場では本社工場の2次加工のフォローを行っていく方針。
重 仮設リース業者、協友リース(曽我部満社長)は、長引く建設不況に伴うリース料金の低迷を受けて、今年度、加工込みリースをスタートさせるとともに、新製品「ブルブロック」のリース量を拡大するなど、メーン品種であるH形鋼桁材の単価下落分をカバーし、収益改善を図る方針だ。

 協友リースは86年、大手重仮設業者の川商ジェコスと丸紅建材リースが50%ずつ出資して設立された。H形鋼桁材と挟締金具のリースおよび販売・製作・加工・修理などを推進。昨年は千葉県東葛飾郡沼南町に建設を進めていた本社・沼南工場が完成し、同7月には新本社で営業を開始している。

 同社では、不稼働品といわれるH形鋼桁材などを保有し、出資2社をメーンにリースしていたが、需要減少やリース料金低迷など、重仮設業を取り巻く環境は厳しさを増しており、ここにきて出資2社以外のリース業者との取引も増えている。

 これを受けて、2000年12月期決算では、売上高は11億5700万円と前年度比約12・5%アップ。経常利益は1億4000万円を確保したものの、ゴルフ会員権評価損や固定資産処分損などで1億1200万円の特損を計上し、当期利益は1750万円となった。

 協友リースは今年度、稼働率は回復するものの、リース料金は底ばい状態が続くと予想しており、選別受注を徹底してリース単価の下落を防ぐとともに、採算回復を図る。この一環として、利益率の高い加工込みリースをスタートさせるほか、新製品「ブルブロック」のリース量拡大に取り組む計画だ。

大 阪鉄鋼流通協会・パイプ部会(部会長=奥平喜廣・奥平パイプ興業社長)はこのほど、定例会を開催したが、新年度からの新部会長に中村雅夫・大日鋼業社長が就任することを内定した。5月21日の総会で正式に決める。

 市況報告では、中径角を修正安で5万6000円としたほかは、横ばい推移。高炉各社が4月ロール5月積みから1万円の値上げを表明しているシームレスは、流通各社が市況への転嫁を目指し唱えを上げるため、強含みの市中気配となった。

 ただ、市中の荷動きは東京製鉄がホットコイル値下げを発表して以降停滞ぎみで、さらに3月の流通出荷も前年同月比14・6%減と低調に推移。パイプの需要期となる年度末が例年よりも悪くなり、さらに4―6月は端境期とあって当面、地合いは弱い見込み。今後は5月連休明け以降の需給動向が焦点。

東 京地区の大径角形鋼管(コラム)は12×300×300の一次加工付き価格で、STKR5万7000円、BCR6万7000円中心で横ばい。荷動きの悪い状態が続いているが、H形鋼同様、底値感が出てきた。

 加工納期の受注残は北関東でも浦安でも1―2日と短い。このため加工賃を7000―8000円に下げて仕事を取ろうとする動きもある。だが3月の在庫減少は明らかになってきた。形鋼部会の調査では、3月の在庫量は2月比5・8%減で、契約残は同10・5%減と大幅に減った。4月以降はベースの引き合いが少しずつ出てきている。このため流通は今が底値と認識して現状維持に努める。

東 京地区の縞板は定尺販売が伸び悩み、弱含み推移。市中価格(3・2―4・5ミリ、ベースサイズ)は5万4000―5万5000円。

 縞板扱い業者によると「受注状況を見るとそれほど需要は落ちていない」という。しかし、関連する形鋼など建材製品で引き合いが落ちているため、縞板だけが好調という状況は考えにくい。販売量は定尺の減少を切板が補っている状態。

 東京製鉄の新価格コイルが本格的に流通すると、市況との格差が4000―5000円と広がることが予想される。価格を下げて量が売れる環境ではないものの、一部の安値が市況全体に与える影響は大きく、目先も弱含みの見通し。

大 阪地区の平鋼はベース4万―4万1000円どころ中心で、下値が徐々に広がっている。

 産業機械や工作機械、建設などの需要は依然として低調。新年度に入っても、市中の荷動きは僚品のH形鋼などと同様、盛り上がりを欠く状況。

 3月の流通出庫量も前月比3・7%減の1万1714トンと2カ月ぶりに減少。在庫は2カ月連続で微減に推移しているものの、依然、過剰感が強い。

 このため、流通は売り腰が弱く、需要家の厳しい指し値に応じざるを得ないのが現状。メーカー各社は引き続き値上げの意向が強いが、引き合いがまとまれば4万円割れも散見され、下値がジリジリと広がってきている。