2013年5月21日

韓国電炉、20日から一斉に韓国内スクラップを1万ウォン下げ

 現代製鉄、東国製鋼など韓国の大半の電炉メーカーは、20日、21日の両日で韓国内鉄スクラップ購入価格をトン当たり1万ウォン(940円)下げた。国内産の入荷水準が高いのに加え、日本産が月間50万㌧以上の高水準で入荷しているため工場在庫が多目に推移している。特に日本産の契約については、先週までにやや高めの契約を含め5月分の手当てに目途がついた。5月末に再度の値下げもあるようだ。

 韓国の電炉各社は、5月で前月比10%以上の増産が計画されている。主力の異形棒は、政府の大型工事へのテコ入れなどもあり、月間の需要が15%近く増加する。このためメーカーの出荷量も一部で90万㌧説も出るなど高水準が予測されている。H形鋼も、4月比で10%強の生産増が計画されている。この他、電炉製のホットコイルも、東部製鉄のフル化方針で、大幅に増加する。

 こうした中で韓国内ヤード業者のスクラップ出荷量は、予想以上に好調。海外の安値先行から国内電炉が購入価格を下げるごとに逆に出荷状況が改善している。加えて日本産スクラップの契約が順調で5月は最終的には55万㌧を上回る可能性もある。アメリカ産は、納期が長く入荷時で高目になるリスクがあるため最大手の現代製鉄も6月以降分の新規契約を中断している。このアメリカ産の減少分を日本からの輸入増がカバーしている。

 電炉各社の工場在庫は、予想以上に積みあがっており、現代製鉄では海上荷の滞船数が多くなっている。

 増産傾向ではあるが、海外安を旨く活用して韓国内の需給を安定化させており、5月の原料対策には目途がついた格好。このため今週初めの2日間に集中するかたちで各社とも値下げが出そろった。20日からは、現代製鉄、東国製鋼、YKスチール、韓国鉄鋼、POSCO特殊鋼、丸永鉄鋼が1万ウォン下げ。21日からは韓国特殊形鋼が1万ウォン下げ。その他の電炉も足並みを揃え、下げている。

 各社とも日本産の月内納期分と6月上旬分の一部で契約を終了。ロシア材も数万㌧分の契約を完了している。日本産は一部でやや高めに振れているものもあるが、数量の確保を先行させている。これを背景に韓国内のスクラップ調達も一定の下げを見込んで進められるとしている。