2014年3月12日

中国・河北省、大気汚染改善を本格化 鉄鋼生産能力6000万トン削減へ

「河北省政府は2017年までに鉄鋼生産能力を6000万トン削減し、60万人以上の直接・間接的就業員のために毎年200億元(約3400億円)の社会保障金を支払う」。北京で開催中の全国人民代表大会でこのほど、同省政府代表団の陳国鷹・環境保護庁長がこう報告した。

陳庁長は「河北省は歴史的に産業構造が偏重し、汚染度とエネルギー消費が増大してきた」と説明。鉄鋼の能力削減によって直接・間接税収が500億元以上減る見通しだが、環境汚染の影響が深刻化しており、「産業の高度化と環境の改善を実現しなければいけない」と強調した。

陳庁長によると、同省の12年のエネルギー消費量は石炭換算で3億200万トン、窒素酸化物176万1000トン、二酸化硫黄134万1000トンに及び、それぞれ全国で2位、1位、3位。鉄鋼と建材、電力の3業種による石炭消費は同省の全石炭消費の89・6%を占め、全国平均の20%を大きく上回る。

陳庁長は国務院による「大気汚染防治十条措置」の下に鉄鋼やセメントなど能力過剰産業の削減計画を定め、大気汚染物質の削減を図ると言及。全人代では同省の張慶偉省長や王昌・工業情報化庁長も老朽化した製鉄所の閉鎖を強化し、能力削減に努める方針を示した。粗鋼年産量1億8000万トンと国内粗鋼の2割強を占める中国最大の鉄鋼生産地であり、汚染大気発生源の代表地である河北省の取り組みは、中国の鉄鋼業改革の試金石となる。