2018年2月9日

三菱マテリアル 品質不正会見 一問一答

会見者
竹内章社長
小野直樹副社長
鶴巻二三男常務執行役員
浜地昭男三菱アルミニウム社長

――電線と伸銅は不正のマニュアルがあったが、今回発覚した3社にもあったか。

小野「今回のアルミでの一部データ改ざんなどは、内規やリストによるものではないと現時点では認識している。立花金属工業とダイヤメットも調査中だが、現在のところそうした存在は確認されていない」

――120拠点で実地での臨時監査を実施するが、なぜ最初からしなかった。

小野「11月始めに書面調査を実施し、内部通報窓口の設置も組み合わせることで不正発掘に十分な有効性を持つだろうと判断した。ただ、ダイヤメットは(書面調査の)対象だったのにもかかわらず(不正が見逃されており)、実地の監査が必要だと判断した」

――なぜアルミや立花は書面調査の対象外だったのか。

小野「電線、伸銅、アルミはすでにデータ改ざんが発覚し、再発防止策が実行されている段階だったので行わなかった。立花はそれ以前にJIS認証の一時停止処分を受け、是正措置を講じていたため対象から外した」

――不適合品を出した会社数は全部で何社になるのか。

小野「電線がシール材218社とメクセルの5社、伸銅が30社、アルミが115社、立花が307社、ダイヤメットが73社で748社ということになる」

――調査を外部にゆだねる考えは。

竹内「いま設置している特別調査委員会には、社外取締役と外部の知見がある方が3人入っている。独立性や客観性は担保されていると考えており、完全な第三者に委ねる考えはない」

――なぜもっと早い段階で踏み込んで調査をしなかったのか。

竹内「品質監査は内部監査部門の経営監査部が中心になり総合監査、テーマ監査の計画を事業年度ごとに策定し、それに基づく監査を継続してきた。電線、伸銅の問題が判明した段階でさらに調べねばならないと判断しグループ全体に展開した。その時々で適切な判断をしたつもりだが、私自身も深刻に重く受け止めている」

――現場から積極的に報告が上がってこなかった。経営トップの責任は。

竹内「問題の早期解決に向け、グループの総力を挙げ真摯に対応していく。お客様の協力を得て安全性検証を速やかに進め、各社の調査委員会の調査結果に基づく原因究明と再発防止策の立案、実行を図りたい。さらに昨年末に取締役会で決議したガバナンスの再構築策は今年から実行に着手しており、迅速かつ確実に取り進めたい。120拠点の監査も早急に進め、二度とこのような事態がないようこれらを全力で進めるのが現時点で私の使命と考えている。(責任については)しかるべき時期に適切な対応をしたい」

――アルミの不正の内規は電線や伸銅のマニュアルと同様に90年代からあったのか。

浜地「まず多くの取引先にご迷惑、心配をおかけしたことをおわびする。内規は一部製品であったことは確認しているが、不適切事例の報告があった後ただちに廃止させた。いつごろから存在したかは分からない」

――なぜ現場が不正に走ったのか。

竹内「いま明確に要因が判明しているのは伸銅のみ。昨年末の調査報告書で5つの原因が挙げられた。仕様書順守の意識不足、シェア拡大を優先、過去にの不適切行為への安易な依拠、損失回避、監査手続きの形骸化だ」

――社長は利益を追求して現場に押し付けたことはないと言っていたが。

竹内「不正行為が始まったのは90年代。当時は指摘のような状況があったのかなと想像しているが、(伸銅は)現在は無理して受注せず、適切な規格に変更する方針で受注の可否を決めていると聞いている」

――現場からモノづくりのプライドがなくなっているのか。

竹内「品質軽視は決してあってはならないし、品質管理は納期や利益より優先と言ってきた。浸透にはさらなる努力が必要だと認識している」

――今回の3社は、電線、伸銅の不正発覚後も出荷を続けていたのか。

小野「遺憾ながら続いていた」

――アルミと立花のJIS不適合品への対応を。

浜地「JISに適さなかったものは出荷を停止し、合致するものだけを出荷している」

――ダイヤメットは過去の品質問題の再発防止に取り組んでいるところで今回の問題が発覚したとしているが、具体的には。

鶴巻「個別仕様の部品という特性上、品質問題も個別に解決してきた。過去の不適切行為には一部データ書き換えもあったが、現在はお客様と全て完了しているので詳細は差し控えたい」

――経団連が新たな問題の報告を求めていたが、なぜ報告しない。

小野「その時点ですでに問題が起こっており、(当社に)報告しろという指示があったとの認識はなかった。仮にそごがあれば、追って報告すべきと考えている」