2010年6月2日

JFEスチール、さび安定化剤開発 VOC発生8割減

 JFEスチールは1日、環境負荷の小さい耐候性鋼の水系さび安定化補助処理剤「カプテンコートAQUA」を開発、発売したと発表した。従来の有機溶剤を含有した処理剤と異なり、水を溶媒の主成分とする。従来製品の「カプテンコートM」に比べ、揮発性有機化合物(VOC)発生量を80%以上削減。従来製品と同等の性能に環境対応を加え、耐候性鋼の販売強化にもつなげていく。

 従来製品などに含まれる有機溶剤から発生するVOCは、光化学スモッグや、粒子状浮遊物質の元になるとされ、環境省は2010年度までに00年度比30%削減を目標としている。「カプテンコートAQUA」は、VOC削減課題を解決する新しいタイプのさび安定化処理剤で、環境調和性、良好な外観保持、優れた施工性を特長とする。

 耐食性鋼は、表面に緻密なさび層を形成することで耐食性を高める。塗装が不要であるため、国内鋼橋の約3分の1(09年度実績は48万トン中14万トン)が採用している。 さび安定化補助処理剤は、こうした無塗装耐候性鋼構造物で、初期流れさびを防止し、保護性のあるさび形成を補助する。JFEは1999年に「カプテンコートM」を開発。発売後11年間で橋梁の鋼桁など300件以上の採用実績がある。

 さびの原因の塩分透過を抑制する樹脂と、特殊流れさび防止成分を配合した独自の塗膜構造で、優れたさび防止機能を発揮し、保護性のあるさびを形成。良好な外観を保持する。単層(1回)塗りであるため、施工も容易だという。