2010年9月30日

NEDOと北大、レアアースを使わないハイブリッド車用フェライト磁石モーター開発

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、北海道大学と共同で新構造のハイブリッド自動車用フェライト磁石モーターを開発したと発表した。「次世代自動車用高性能蓄電システム技術開発」の一環で、希土類(レアアース)を使わずに、従来のハイブリッド車用希土類磁石モーターに匹敵する50キロワット出力を実現する磁石の開発に成功した。

 「ロータバックヨーク」という炭素鋼などの磁性体で構成する円盤状の部材をなくした。そしてフェライト磁石と圧粉鉄心を、非磁性の支持部材に交互に組み込み、磁石と圧粉鉄心をそれぞれ分割した新構造の「ロータセグメント形アキシャルギャップモーター」を新たに提案した。

 新構造は従来の構造に比べて、フェライト磁石に不可逆減磁を発生させる磁束が磁石に流れ込むのを抑制できる。さらに突極比を大きくできるため、リラクタンストルクを有効に発生でき、高出力を実現できる。

 NEDOと北海道大学では、三次元有限要素法でハイブリッド車用フェライト磁石モーターとして適切な構造設計を行い、従来の希土類磁石モーターと同じサイズの試作機を設計し製作。実負荷試験を実施したところ、従来と同等の性能を確認することができた。