2011年3月4日

NEDO、強磁性窒化鉄粉末の合成で新手法 希土類レスへ

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は3日、強磁性窒化鉄粉末の新しい合成手法を確立したと発表した。強磁性窒化鉄は、現在最強とされるネオジム―鉄―ボロン磁石の性能を上回る可能性がある物質。高い磁気特性や再現性を持つ粉末は、これまで生成できていなかった。今回の成果により、希土類を使わない高性能磁石の実現に一歩近づいた。

 NEDOの「希少金属代替材料開発プロジェクト」に取り組む、東北大学大学院の高橋研教授、小川智之助教、戸田工業(株)などによる成果。強磁性窒化鉄は純鉄よりも高い磁気特性を示す一方、希土類や希少金属を含まない。ネオジム―鉄―ボロン磁石に代表される、希土類磁石の代替材料の一つとして期待される。

 鉄化合物の世界トップメーカーである戸田工業が、強磁性窒化鉄に最適な原材料を合成。これを使い東北大学が前駆体の合成技術を開発し、強磁性窒化鉄を高含有する粉末の生成に成功した。グラムオーダーでの高い作製再現性も確認した。 磁石の特性を左右する結晶磁気異方性定数は、強磁性窒化鉄薄膜の実験でこれまでに得られた最高値と並ぶ。

生産性が高く、大気中に取り出しても非常に安定なため、量産化の障壁も低い。 今後は強磁性窒化鉄の生成構造解明や微細ナノ構造制御を検討し、より高性能な磁石材料設計に取り組む。磁石メーカーと連携し、希土類レス磁石モーターの実用化検討も進める。

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