2012年6月22日

住電とソニー、純緑色で高出力の半導体レーザーを共同開発 映像機器に応用

 住友電気工業とソニーは21日、映像表示機器に応用できる、高出力の純緑色半導体レーザーを共同開発したと発表した。世界初となる発振波長530ナノメートル帯で100ミリワット以上の光出力を有し、従来の窒化ガリウム系緑色レーザーと比べて約2倍の高輝度を実現した。既存の赤色、青色半導体レーザーと組み合わせて、鮮やかで美しい映像のレーザープロジェクターなどに搭載できる。

新製品・新技術 両社は今回、半極性の窒化ガリウム基板を採用し、構造設計、結晶成長、加工、電極などの半導体レーザーにかかわる全プロセスに新規技術の導入と技術改良を加えた。半極性の窒化ガリウム基板を使うことで、530ナノメートル帯で必要となる高インジウム組成の発光層を均一かつ安定的に作製できる。

 光電変換効率8%以上も実現した。窒化ガリウム系材料は、結晶構造のひずみなどに起因する内部電界の影響で、緑色領域での発光効率が低下しやすい。半極性基板の採用によって内部電界を抑制できるが、実用化には同基板に適した全プロセスの見直しが必要だった。レーザー構造の最適化、結晶内の不純物制御、電極の低抵抗化などで、レーザーの駆動電流。電圧の低減に成功した。

 今回の開発によって、光の三原色(赤・緑・青)の高出力レーザー光源がそろい、高輝度と広色域を実現するレーザープロジェクターや、小型・軽量・低消費電力を生かした携帯型レーザープロジェクターなど、幅広い用途への活用が期待される。