2012年9月24日

産総研、高耐久性の調光ミラーを開発 Mg・Y系合金薄膜使い

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は20日、独立行政法人産業技術総合研究所が、1万サイクル以上の耐久性を持つ調光ミラーを、マグネシウム・イットリウム系合金の薄膜材料を用いて実現したと発表した。オフィスビルなどの冷房負荷を大幅に低減する窓ガラスの実用化が期待される。

 調光ミラー薄膜層とパラジウムの触媒層の間に中間層を挿入することで、パラジウム触媒層の膜厚を半分以下まで薄くしても、1万サイクル以上の耐久性を維持することが可能となった。また、触媒層の厚さを薄くすることで、透明状態における光学特性が向上。さらに、パラジウム触媒層の上に反射防止膜をコーティングすることで、光学特性が大幅に改善し、これまで最も光学特性に優れていたマグネシウム・カルシウム合金を用いた調光ミラーに匹敵する光学特性を持つ調光ミラーの作製に成功した。

 窓ガラスは外の光を室内に取り入れる役割を果たすが、同時に大きな熱の出入り口として、建築物の断熱を妨げる主な要因となっている。このため、外気温や日射の強さに応じて光や熱の出入りを調整できる窓を使用できれば、生活様式を変えることなく膨大な量のエネルギーの節約が期待できる。