2012年10月18日

物材機構、金属酸化膜トランジスタを開発 スマホ低消費電力化へ

 物質・材料研究機構(NIMS)は17日、理化学研究所と共同で、酸化インジウムに酸化タングステンを微量に添加するだけで薄膜トランジスタとして動作するIWO薄膜を開発したと発表した。スマートフォンなどのディスプレーの低消費電力化などが期待される。この研究には住友金属鉱山も協力した。

 開発した材料は、アモルファス状態で制御が難しいガリウムや亜鉛を含まないのが特長。基板を加熱せず低いエネルギーでスパッタ成膜するだけで、均質なアモルファス膜を作ることもできる。このため従来よりも薄い膜厚10ナノで、保護膜なしの構造でも高い特性を有するトランジスタとして動作するという。原料単価の高いガリウムを省けるだけではなく、薄膜原料の量も削減できる。

 ディスプレーの高精細化やタッチパネル化に対応する新材料として、インジウムやガリウム、亜鉛を酸化させ混合したIGZO膜トランジスタの開発が進められている。しかし、金属酸化膜を半導体薄膜としてトランジスタ化するためには、材料の酸素や水分に対する制御が難しく、これらの制御開発が課題となっている。

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