2012年11月30日

JFES、高伸び型ハイテンを開発 780MPa級が車体骨格部品に初採用

 JFEスチールは29日、従来に比べ伸び特性に優れた強度590―980メガパスカル(MPa)級の自動車骨格部品向け高伸び型高張力合金化溶融亜鉛めっき(ハイテンGA)鋼板の開発を完了し、このほど780MPa級ハイテンGA鋼板が乗用車の骨格部品に採用されたと発表した。780MPa級の高伸び型ハイテンGA鋼板が採用されたのは同社としては初。

 自動車の車体強度や耐衝突特性を支える骨格部品に使用される鋼板には、軽量化を目的とした高強度化ニーズが高まっている。一般的に鋼板の強度が上がると、プレス加工に必要な延性が低下するため、高強度鋼板の伸び特性向上が課題となる。

新製品・新技術 JFEは独自のプロセス技術を導入し、新しい成分設計に基づくハイテンGAを開発。従来はプレス加工が難しく、延性不足による割れなどが生じることから、車体骨格部品への採用は590MPa級にとどまっていたが、新技術の導入で伸び特性を平均値で約2割向上させることを実現。780MPa級を積極的に適用することが可能となった。車体の軽量化・薄肉化に大きく寄与するとともに、骨格部品の強度向上やプレス品質の安定化にも貢献する。

 高伸び型ハイテンGA鋼板に高潤滑GA鋼板「JAZ」の機能を加えた新商品も開発した。980MPa級では伸び特性(El)が同強度の従来ハイテンGAの15%から、母材ベースで2―3ポイント、JAZの表面処理の潤滑性で2―3ポイント高まり、約20%に向上する。現在は同商品の1180MPa級の実機試作段階に入っており、ピラーやメンバー、下回り部品への採用が期待できる。