2012年12月14日

日立電線、部分放電の発生を抑制する高PDIV性エナメル線を開発

 日立電線は13日、部分放電の発生を抑える高PDIV(パーシャル・ディスチャージ・インセプション・ボルテージ)性エナメル線を開発したと発表した。誘電率の低い絶縁皮膜を採用することで、絶縁破壊の原因となる部分放電を抑え、モーターの長寿命化、小型化、高出力化に寄与する。

 インバーター駆動モーターでは、サージ(過大な電圧が瞬間的に発生する現象)が起きやすい。インバーターサージ電圧がエナメル線の部分放電開始電圧を超えると、エナメル線同士の間で部分放電が発生して絶縁皮膜を侵食、モーターの絶縁破壊につながる。

 日立電線は今回、低誘電率化した高耐熱材料を絶縁皮膜に採用。ポリエステルイミド系、ポリアミドイミド系、ポリイミド系の3種類の材料で高PDIV性エナメル線をそろえた。特にポリイミド系では、自社の汎用ポリアミドイミドエナメル線と比べて、部分放電開始電圧を13%向上し、絶縁皮膜の薄膜化を可能にした。

 絶縁皮膜が薄くなると、占積率(コイル断面積に占める導体断面積の割合)が高まり、エナメル線の長寿命化だけでなく、モーターの小型化、高出力化にも寄与する。