2013年3月21日

産総研など、高効率CIGS系太陽電池の製造技術を開発

 独立行政法人の産業技術総合研究所(産総研)と半導体・電子部品製造装置メーカーのキヤノンアネルバ(本社=川崎市麻生区)は18日、有害物質のカドミウムを使わずに、16%以上の光電変換効率が得られるCIGS系太陽電池の製造技術を開発したと発表した。太陽電池を構成するものの一つであるバッファ層の材料や、形成の仕方などを工夫することで、従来課題だった光電変換効率の低さを解決した。

 CIGS系太陽電池は、化合物半導体を発電層に使った太陽電池。化合物半導体の原料は銅、インジウム、ガリウム、セレンで、CIGSの名称はそれぞれの頭文字からとっている。シリコンを用いず、発電層を薄い膜状の化合物半導体とすることで、製造時の消費エネルギーやCO2排出量を抑えることができるため、近年、複数のメーカーによって量産化が進められている。

 今回、産総研とキヤノンアネルバが開発に成功したのは、カドミフリーで、光電変換効率の高いバッファ層(酸化亜鉛にマグネシウムを合わせた物質)をスパッタリングによって形成する技術。従来の形成方法ではバッファ層の下の化合物半導体にダメージを与えてしまい、膜質が悪くなるため、光電変換効率も落ちていた。今回、キヤノンアネルバの協力を得て、バッファ層を作るための器具や、その使い方を見直すことでダメージを軽減。CdSがバッファ層の場合の光電変換効率(17・5%)に近い値を達成した。スパッタリングは量産に適しているため、工程簡略化によるコスト削減も期待できる。