2011年3月15日

東北、物流機能が喪失 事業再開へ大きな障害

 東日本大震災による東北地区の鉄鋼関連企業は安否確認を急いでいるが、今後事業再開に向けて心配されるのが物流だ。東北最大の貿易港である仙台港は津波の影響で機能を失い、「仙台港に材料のコイルを置かれているが、おそらく使えない。供給を受けようにも陸送も鉄道も遮断されている」(東北地区の薄板建材メーカー社長)。 東北のハブである仙台港が打撃を受けたことで東北全体への鉄の供給が滞り、各地の需要家の事業再開にとって大きな障害となりそうだ。

 仙台港から避難した現地関係者によると、気づいた時には3メートル以上の津波が押し寄せてきたという。日鉄物流の仙台物流センターやJFE物流の東北物流センターが被害を受けたが、14日時点でなお仙台港は封鎖され、企業関係者も立ち入りが禁止されており、状況確認ができないでいる。

 仙台港の鋼材物流量は年間50万トンともいわれ、輸出拠点でもあり、東北の鋼材の一大物流基地となっている。石油コンビナートの火災も発生しており、機能回復の見通しは立っていない。

 建材メーカーや鉄骨加工業者、コイルセンター、シャーリング業者など鋼材の需要家は当面、設備点検を行い、稼働後は在庫している材料で生産を再開するとみられるが、材料手当てが困難になる可能性がある。

 高速道路は緊急物資の搬送車両の通行に限定され、鉄道も運休しており、鋼材を東北に運び入れ、また東北から関東方面に運ぶ手段が断たれている。復旧が早いのは高速道路とみられるが、各社は一般道含め陸送での物流で対応することになりそうだ。

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