2011年3月15日

鉄鋼物流網が計画停電で混乱 複数拠点で出荷停止も

 東日本大震災に伴う電力会社の計画停電などの影響で、鉄鋼物流網が混乱している。新日鉄、JFE、住金などグループ物流各社は14日も社員の安否確認、東日本地区の物流拠点の破損状況、交通ルートおよび出荷・受け入れ状況の確認などの対応に追われている。

 安否確認では地震発生の11日夕に連絡がとれた社員でも、その後の通信混乱などから14日午後に至るも再度の連絡が取られなくなっているケースも多いという。物流拠点ではJFEグループの仙台拠点が破損。また日鉄物流も仙台の物流拠点は現状では近づけず、詳細は不明としているが、津波などで破損しているようだという。

 物流では新日鉄・釜石など複数のメーカーの製造拠点が操業休止・出荷停止に追い込まれている一方、自動車・電気などの需要家の工場も部品調達の不安や節電協力のため操業休止。出荷、受け入れ含めた納入調整に忙殺されている。また東日本地区では各地で交通ルートが遮断されているため、ルート確保も大きな課題。海上物流では日本郵船、商船三井、川崎汽船などの船舶が座礁した。

 一方、高炉メーカーでは社会・経済活動に必要なインフラ復旧、維持にかかわる向け先への供給を優先する考えで、各社ともに現在、対象項目のピックアップ作業を急いでいる。また物流各社も、海上では商船三井が北海道苫小牧港から青森港に自衛隊の輸送協力を行ったほか、陸上でも緊急対応に備えガソリン確保に向けた作業を推進している。