2011年3月16日

鉄鋼各社、手探りの生産体制 徐々に復旧需要も

 東日本大震災の影響で東北、関東地方の製鉄設備能力が大幅にダウンしているが、同様に鉄鋼需要も一時的に減少していることから、鉄鋼メーカー各社は手探りの慎重な生産・供給を迫られている。ただし製造業の活動水準が徐々に戻り、被災地域の復旧工事が本格化してくると、需給がひっ迫する品種も出てきそうだ。

 製造業分野では、東北・関東地方にある自動車や電機、造船メーカー各社の拠点が被害を受けている。トヨタ自動車が14―16日、国内すべてのアセンブリー工場の操業停止を決めた。同様に多くの完成車メーカーが、部品調達難などの理由で操業を見送っているが、混乱が収まれば操業は再開される。

 建設分野は需要低迷が続くが、政府が13日に東日本大震災を激甚災害に指定したため、復旧資材の発注がこれから本格化。H形鋼、鋼矢板、プレハブ用鋼材、レールなどの需要が出てくる。

 一方、東北では新日本製鉄釜石製鉄所、東北スチール、JFE条鋼仙台製造所、伊藤製鉄石巻工場、東京鉄鋼八戸工場が操業を停止しており、被害状況からみて、早期復旧は難しい。関東でも住友金属工業鹿島製鉄所が設備損傷により全ラインが停止したままで、操業再開の見込みが立っていない。