2011年3月24日

東北地区、物流まひ状態続く 燃料供給追いつかず

 東日本大震災で被災した宮城県の鋼材物流機能は、依然としてまひ状態が続いている。鋼材流通が物流拠点を構える岩沼市の岩沼臨空工業団地では、震災から12日たった23日も、瓦礫の撤去や津波で進水した事務所の清掃など、復旧に向けた作業が行われている。ただ、被災状況はひどく、復旧にはなお時間を要しそうだ。物流面も燃料供給が追い付かず、被災が軽微だった他の東北地域から引き合いがあるものの、満足に搬送することができない。

 岩沼臨空工業団地では、津波により物流倉庫、事務所が冠水し、機能は停止したままだ。倉庫、事務所内の流木、ゴミ、泥などの撤去作業に追われているが、その量は膨大で「復旧のめどが全くたたない」(商社筋)状態だ。工業団地近くの井戸などからタンクに水をくみ上げ、事務所などを清掃しているが、「泥の量は尋常でなく、先が見えない」(同)という。

 この一方で、被災した仙台地区の鋼材流通にも、近県から引き合いがある。しかし、倉庫内に在庫していた鋼材は冠水。一部の鋼材流通では「鋼材を洗浄し、置き場渡しでも可能なら応じる」といった声もあるが、東北地方では燃料不足が解消されておらず、物流機能は正常化していないため、鋼材の配送は困難を極めている。

 東北自動車道でトラックの通行が可能となったほか、一部では関東から新潟を経由して、東北に資材、燃料などを供給するルートが活用されている。しかし、東北地区での鋼材供給と燃料などの補給ルートの確保は十分できなく、当面は鋼材流通各社とも厳しい対応を強いられそうだ。