2011年3月30日

高炉、価格交渉にジレンマ 震災で環境複雑化

 高炉メーカーの来年度上期の鋼材価格交渉に、不安定要因が増している。東日本大震災によって鋼材需給がアンバランスになっているうえ、自動車、電気、機械などの主力需要家も、現時点では来年度の生産・販売計画を組み立てることが難しい。

 その一方で、高炉メーカーの4―6月期の原料価格は鉄鉱石が1―3月比約25%アップの171ドル(1トン当たり)、原料炭が同47%増の330ドルなどと、大幅に上昇することが確実。すでに1―3月期でも、多くの高炉メーカーの鉄鋼部門の期間損益は赤字に陥っているだけ、資源高騰を受け、価格引き上げは不可避となる。

 近年の交渉の中で、需要家の資源高騰への理解は深まっているとはいえ、資源上昇、震災復旧、需給不安、電力不足、企業の資金繰りなど、めまぐるしい環境変化の中、さまざまなジレンマも抱えているともいえ、鋼材価格交渉は一段と複雑化の様相を濃くしている。