2012年4月3日

韓国鉄スクラップ市場、メーカーが抑え込んで下げ

 現代製鉄、東国製鋼などの韓国の電炉メーカー各社は、先週国内鉄スクラップ購入価格を一斉に5000ウォンー1万ウォン(3750円ー7500円)引き下げた。先々週国内の鉄スクラップ購入で採用している特別枠購入(値上げ)の期限切れで実質的に1万ウォンの値下げとなっているため、実質2週続けての値下げ。4月積みでの異形棒値上げが不調になりつつあるため、スクラップ下げで代替した格好だ。これに対し、ヤード業者は日本、アメリカ市場が上昇している中での値下げに強く反発している。市場はメーカー主導で力づくで抑え込まれた。

 ▼3月前半は特別枠で上げ
 韓国電炉は、主要な輸入相手国のアメリカ、日本が市況上昇に向かっても多めの輸入で国内市場の価格上昇をこれまで抑えてきている。特に日本市場からの輸入は、相対的にアメリカ西海岸積み価格よりも15ドルー20ドル安く推移したため強化。日本産のシェアは3月契約分では60%近くまで上昇している。日本市場は、2月に東京製鉄を中心にトン当たり3500円前後の値上げが進んだ。この間も韓国市場は連動しなかった。逆に現代製鉄が2月23日から3工場で1万ウォン下げ。韓国鉄鋼、韓国特殊形鋼、YKスチールが24日から1万ウォン下げ。韓国製鋼が25日から1万ウォン下げている。これと前後して輸入契約を強化。日本市場が実施した3月8日と10日の各500円下げを契機にさらに輸入契約を促進した。同時に国内では特別枠購入(値上げ)の2月28日からの実施で本格的なリスト価格の変更には踏み込まなかった。

 ▼異形棒増の中で期限切れ下げ
 国内の市中発生鉄スクラップが停滞している中で電炉各社は、3月から春節明けの需要も絡み2月比10%前後の増産になっている。スクラップ需要は高止まりしている。

 韓国電炉の主要製品である異形棒は、2月で主要7社の出荷量が55万㌧と1月より10万㌧前後低下。このあと3月は生コン業界の値上げ交渉絡みで実施していた出荷停止が解除されたこともあり、75万㌧まで回復する見通し。このための増産で工場のスクラップ在庫は低下している。この分をカバーするため3月4日まで予定されていた特別枠購入は、大半がその後も継続されていた。この特別枠は3月後半から期限切れで、実質的に値下げとなっている。

 ▼輸入増の中で3月末下げ
 輸入スクラップは、1月の65万㌧(一般溶解用)から2月で85万㌧に増加。3月も当初予想されていた70万㌧台前半から80万㌧台に乗る見通し。場合によっては、85万㌧を上回る可能性も指摘されている。これを背景に東国製鋼が23日から仁川工場で5000ウォン値下げ。韓国特殊形鋼は27日から1万ウォン下げ。韓国鉄鋼、大韓製鋼は28日から1万ウォン下げ。同日には、現代製鉄も3工場で1万ウォン下げている。前後して東部製鉄、丸栄鉄鋼も値下げした。

 こうした中で国内の市中発生スクラップは、自動車、造船の操業率低下で減少している。しかし輸入スクラップの増加を背景に価格はメーカーにねじ伏せられた。ヤード業者は、手持ち在庫薄と海外市場高から先高期待感もあり、出荷を抑制。先々週末の東国製鋼などの特別枠購入の打ち切りは、こうした納入抑制に拍車をかけている。

 ▼ヤードの買値は高値寄り
 大手の口座企業(直納企業)の末端集荷業者からの購入は、生鉄Aで52万ウォン(3万9000円)、重量Aで50万ウォン(3万7500円)、軽量A(日本のH2にほぼ相当)で47万ウォン(3万5250円)と高めに推移している。電炉の先行きの購入価格引き下げは、受け入れが難しい局面になっている。

 異形棒メーカーは、3月末に4月積みでの製品価格の4万ウォン値上げを通告した。ゼネコンは反発。交渉のテーブルにも着いていない。このためスクラップの海外高の中で韓国電炉は、逆に4月入り後の購入価格再引き下げを模索している。流通の意向は、置いて行かれた格好だ。

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