2012年8月15日

12年上期回顧と秋口見通し、関西・Ni系ステン冷薄

 上半期の関西地区のニッケル系ステンレス冷延薄板は、前半は原料高を背景としたステンレスメーカーの製品値上げを受けて、流通筋も再販価格への転嫁に注力していた。しかし、その後はニッケル価格が再度下落傾向に転じたことで、マーケットは買い控えや当用買いに徹するなど慎重な購買姿勢が大勢となり、建築関連など自動車以外の需要の回復も遅れたことなどから、市中価格は6月ごろからジリジリと下落。それ以降もロンドン金属取引所(LME)ニッケル価格の軟調に歯止めがかからない状況下で、製品の先安観が依然色濃く残る市中では、秋以降も一段安の懸念が出てくるなど、下値寄りの展開が続きそうだ。

 ニッケル価格は昨年11月から上昇場面となり、本年1月平均価格はポンド8・99ドル、2月平均は同9・28ドルまで上昇。これらの動きを受けて、新日鉄住金ステンレスをはじめ国内メーカーは春先にかけて相次いで製品値上げを表明した。市中では、しばらく市況の下落局面が続いていたことで、流通筋では在庫の評価損が発生し、業績悪化の要因となっていた。ことため、採算回復のためにも、流通筋ではメーカー値上げ分の再販価格への転嫁を目指したが、3月以降にLMEニッケル価格が右肩下がりに転じたことで、それらの機運も払しょく。流通各社の収益は、それ以降非常に厳しい状況が続き、販売量も前年同期比で1―2割程度の落ち込みが続いている。在庫調整を急ぐも、肝要の荷動き自体が鈍化しているため、なかなか進ちょくせず、価格面での競争が厳しくなっていることが市況下押しの要因となっている。

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