2014年11月26日

新日鉄住金、名古屋事故対策まとめる

新日鉄住金は25日、名古屋製鉄所で今年4回にわたり発生した停電事故と黒煙発生に関する「停電事故対策委員会」において、原因と再発防止策をとりまとめた。これを受けて進藤孝生社長ら同社首脳は同日午前に鈴木淳雄・東海市長を、午後からは大村秀章・愛知県知事をそれぞれ訪れ、対策内容等を報告した。



同社は3回目の停電事故発生を受け、事故当日の6月22日に停電事故対策委員会を設置。藤野伸司常務を委員長に社外から4人、社内13人で構成し、これまでに4回開催しており、今回最終報告書をまとめた。

この中では4回の事故停電の全てで、停電範囲にコークス炉で発生したコークス炉ガスを他設備に送るコークス炉ガス排送ブロワーが含まれ、当該設備が停止。そのため非常措置として定められているコークス炉でのコークス炉ガスの燃焼放散を行ったが、不完全燃焼に伴うすす等の黒煙が放散された、としている。さらに4回にわたる停電事故・黒煙発生のそれぞれの状況、原因と対策をまとめている。

一連の停電事故発生に対する取り組みとして、黒煙対策では電源トラブル等での燃焼放散の回避策を実施。電源供給系統を強化し、15年6月完成をめどに2系統化対策を実施している。またコークス炉ガスの滞留回避策としてはフレアスタックを15年7月完工をめどに設置することを決めている。

黒煙抑制対策としては、停電等により蒸気発生設備の移動制約が生じた場合でも蒸気供給ができるよう、ディーゼル発電機と小型パッケージボイラーを設置。蒸気アキュムレータも15年5月をめどに設置する。

また4回の停電事故の直接的原因と事象はいずれも異なるが、半年間に連続して事故を起こしたことは潜在的な課題があると判断。(1)設備/操業変化に対するリスク感性(2)作業に対するリスク感性(3)設備新設/改造時の知識・配慮(4)設備新設/改造時の教育・標準化(5)コミュニケーション――の5点を課題としてあげるとともに、対策の方向性として(1)エネルギー部門のリスクマネジメント機能強化(2)技術スタッフの育成と現場に対する支援強化(3)現場管理者層のマネジメント機能向上(4)業務の基盤となる標準類の整備促進(5)教育訓練の充実――の5点を打ち出した。

これを受けて名古屋製鉄所では、エネルギー部門の強化として、工場への技術スタッフ配置や技術部門に機械/電気系統職位を設置、技術スタッフ業務の明確化・標準化などを実施。また工事案件のリスク管理強化を実施している。さらに現場管理層のマネジメント能力向上および現場対応力の強化も行った。

全社ベースでは本社エネルギー部門の強化や標準化推進に関わる機能強化、設備エンジニアリング力の育成強化を推進。さらなるリスク低減の取り組みとして防災リスク管理機能を強化したり、受配設備の総点検を15年3月をめどに実施するほか、受配電設備に関する製造基盤整備の促進にも努める。

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