2014年11月27日

新日鉄住金、名古屋事故対策で会見

 新日鉄住金は25日、今年4回にわたった名古屋製鉄所における停電事故・黒煙発生の原因と再発防止対策に関する記者会見を実施。「停電事故対策委員会」の検討結果に基づき、栁川欽也副社長、藤野伸司・常務名古屋製鉄所長、稲葉光延・名古屋製鉄所副所長が、設備面、ソフト面での再発防止策の進展や、名古屋製鉄所で実施した設備総点検について報告した。

 栁川副社長は「4件の停電事故について共通する原因は見いだせなかったが、背景として潜在的課題を抽出し、その改善策を講じた」と、再発防止への決意、具体策を述べ、その後は各質問に応じた。質疑応答の要旨は次の通り。

 ――コークス炉ガスの不完全燃焼により発生した黒煙は有害だったのか。

 「コークス炉ガスは50%が水素、30%がメタン、7%が一酸化炭素で、完全燃焼すれば水蒸気と二酸化炭素となる。今回燃焼が不完全だった部分は煤(炭素)となっており、有害物質は検出されていない」

 ――煤による被害規模は。

 「件数は差し控えるが、個別に対応している」

 ――名古屋製鉄所で実施した総点検(約2000件)の結果は。

 「改善点は3点見られ、対策を実施中。漏電などの重大事故につながるものはなかった」

 ――一連の事故がここに集中した背景は。

 「検討したが、4件の事故において共通した原因は見いだせなかった。起因となる潜在的な弱点として挙げられた設備、操業変化に対するリスク感性や設備新設、改造時の教育・標準化などの課題には、エネルギー部門のリスクマネジメント強化電気供給経路の2系統化など、ハード・ソフト両面での各種対策を講じた。名古屋製鉄所が非常作業に対する標準化において、劣っている点が顕在化した部分も認められ、設備運用などで最も優れた製鉄所の知見を他の製鉄所のシステムに組み込む『トップランナー方式』の強化などで解消していく」

 ――今回取りまとめた報告に対する東海市長、愛知県知事の反応は。

 「東海市長は対策の速やかな実行、市民への丁寧な説明、ハード、ソフトへの対策として社内への第三の視点導入の必要性を指摘。知事は、一連の事故について遺憾の意を示すとともに、地域の信頼回復の1日も早い実現への努力を求められた」