2018年7月9日

西日本豪雨災害 鉄鋼・金属 業界 輸送に深刻な影響 物流寸断 需要産業、操業停止も

広島市から呉市に向かう道路での土砂崩れ
西日本を中心とした記録的な大雨を受け、鉄鋼・金属業界、需要産業の活動に大きな影響が広がっている。中国地区の自動車・部品メーカーの操業が一部停止しているほか、高速道路・主要国道の災害通行止めが発生し、特に鋼材や加工製品の輸送面に深刻な影響が出ている。また、浸水被害が一部工場で確認されている。

広島県内では呉、尾道など各地で断水が発生。呉地区では、日新製鋼呉製鉄所や淀川製鋼所呉工場が工業用水の制限対象となっている。また、断水や従業員の交通確保が難しいため、一部メーカーやコイルセンターで10日の操業を休止する企業もある。

JFEスチールの西日本製鉄所(倉敷地区・福山地区)と倉敷地区内にあるJFE条鋼水島製造所では、降雨状況から一時操業を落としたが、通常操業に復帰した。

自動車メーカーでは、マツダが9―10日の本社工場(広島県府中町)と防府工場(山口県防府市)の操業を停止。ダイハツ工業は、関西と九州の4工場で9日昼の操業を休止した。三菱自動車は操業を再開したが、10日以降の稼働を検討する可能性がある。岡山県笠岡市の自動車部品工場では土砂崩れによる人的被害が出ている。

鉄鋼・金属製品では、陸上輸送と自動車生産サプライチェーンへの影響が心配されている。製品輸送、部品供給への影響は長期化する可能性もある。流通・コイルセンターでは、対象先への出荷を一時見合わせて、現地の輸送事情など状況把握に努めている。

中国地区に在庫拠点を構える特殊鋼流通大手では、大きな被害はなかったものの、需要家の生産停止の影響や、交通悪化による従業員の通勤困難など通常営業を懸念する声も聞かれている。

西日本の鉄鋼製造拠点の多くは、直接的な被害は確認されていないが、物流面の影響は予想を上回る可能性がある。電炉では、陸上・海上とも製品デリバリーが乱れ、製品倉庫・鉄筋加工などからの二次輸送も遅れているほか、鉄スクラップ入荷にも一部影響が出ている。

九州地方では、福岡県内の鋼材加工拠点で一部浸水被害が出たほか、冠水の影響で一時操業を休止する工場があった。

高速道路だけでも、山陽道の福山西―広島間約80キロメートルや広島呉道路・東広島呉道の全域で災害通行止めとなり、尾道道、松江道の一部、九州は東九州道、九州道、四国はしまなみ海道、高知道の一部で通行止めとなっている。

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