2013年10月1日

世紀の大合併から1年―新日鉄住金、世界最強を目指す― ―1― ■第1部 トップに聞く/宗岡正二会長兼CEO 国内製造実力に磨き 生産効率高めコスト面強化

きょう10月1日、新日鉄住金が発足1年を迎えた。日本企業の存在感が低下するなか、産業界の期待を背負い、「総合力世界ナンバーワンの鉄鋼メーカー」を目指す同社は、粗鋼生産規模を世界2位となる約5000万トンに拡大し、株式時価総額も業界で世界トップに浮上。実質的な初年度となる2013年度の連結経常利益は前年比3・4倍の3000億円を超える見通しで、順調な立ち上げをみせている。宗岡正二会長兼CEOに経営統合の手応えや今後の展望などを聞いた。

――発足1年を迎えた。

「想定以上に順調なスタートが切れている。いくつか理由はあるが、政権交代に伴う政策変更と円高修正、これが一つ目。アベノミクスが奏功しており、日本経済は持続的成長が期待できるところまで階段を上ってきた。ムード先行だったが、4―6月の実質GDP成長率が年率3・8%となり、実体経済への好影響が裏付けられ、経営者マインドも変わってきた。二つ目が、自動車など需要産業の回復。需要家各社は、われわれの経営統合の狙いをしっかり受け止め、最適生産体制の構築に伴う供給ミルの変更などを理解し、また原材料価格や為替の変動に伴う値上げの申し入れにも真摯に対応してくれている。三つ目は、新日鉄住金グループとしての一体感。ベスト・フォー・ザ・ニューカンパニーという旗の下で、一致団結して取り組んでくれている。大変満足のいくレベルでこの1年が経過し、これから先も期待できる」

――2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催も決定した。

「非常に大きい。これを成功に導くには、東日本大震災の被災地の復旧・復興を加速し、原発の問題に終止符を打たなければならない。そのうえで空港の拡張、首都高速の老朽化対策、成田―羽田間の鉄道などのインフラ再整備が必要になってくる。鉄鋼業にとっては、短工期、低コストで耐久力のある鋼材や施工法を提案できるかどうかが、チャンスをとらえるカギになるだろう」

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