2013年11月6日

世紀の大合併から1年-新日鉄住金、世界最強を目指す -10- ■第2部 鉄鋼事業(5)棒線 技術先進性を追求 需要家の工程簡略化に貢献

新日鉄住金は、年産400万トン強の生産量を誇る棒線の世界トップメーカーで、室蘭、釜石、君津、小倉の4製鉄所で冷間圧造用(CH)鋼線や磨棒鋼、スチールコード、オイルテンパー線、普通線材など普通鋼棒線から特殊鋼棒線まで幅広い品種を生産する。旧住友金属工業との合併により小倉製鉄所が加わった形で、特殊鋼分野でのシナジー、地域的な連携によるシナジーの発揮を目指す。海外では中国、タイに棒線二次加工拠点を持つほか、グループ会社の鈴木金属工業は欧州、北米、アジア(中国、タイ)に拠点を置くなどグローバル供給体制を敷く。最大の向け先である自動車産業が海外生産の拡大と素材の現地調達化を推進する中、海外に移転する需要の捕捉を目指し、グループ会社も含め海外拠点における設備能力増強を検討。日系自動車メーカーが進出するメキシコでも、棒線二次加工拠点の新設について今後、検討を進める構えだ。

棒線事業部門の最大のテーマは「技術先進性の追求」。棒線は最終需要家に届くまでの製造工程が長く、加工は複雑なため、需要家における工程の省略・簡略化に貢献する製品開発が、付加価値の源泉となる。需要家の技術的な課題を解決する上でも、素材に求められる役割は大きく、合金添加や介在物制御の工夫、圧延条件の調整など日々、より優れた製造技術の探究にまい進している。

【小倉を軸にシナジー効果狙う】

小倉製鉄所は、旧住金小倉時代から高級特殊鋼の世界ナンバーワンブランドを目指す方針の下、設備投資を行い、09年には介在物を極限まで低減した軸受鋼などの高清浄度鋼と介在物の微細分散で被削性を高めたクランクシャフト用高機能鋼の製造ラインを分離した、新製鋼プロセスを導入した。同じ特殊鋼分野を担う室蘭製鉄所とは、おのおの近い需要家に供給する地域エリア戦略に加え、室蘭の250トン転炉、小倉の70トン転炉というロット特性を考慮した作り分けも行い、生産コスト低減や在庫圧縮につなげる。両拠点の立地はBCPの観点でも強みとなり、有事の際などに代替生産できるよう顧客の認証取得も積極的に進めている。生産品種では、室蘭がばね用鋼線、小倉が快削鋼に特徴を持ち、今後、生産集約などの最適化も図る考え。

立地が近い八幡製鉄所とは、電力や液化天然ガス(LNG)供給やスクラップの融通、船荷の相積みなど提携を深化。地域シナジーの創出にも取り組んでいる。

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