2015年7月8日

明治日本の産業革命遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業 世界遺産に登録

八幡旧本事務所
官営八幡製鉄所(現新日鉄住金)の旧本事務所など「明治日本の産業革命遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」が世界遺産登録された。西洋から非西洋社会への産業化の移転が成功した例として歴史的な意義が評価された。八幡製鉄所などは初の稼働中の資産として登録される。世界遺産登録の重点が非欧米、産業遺産に移る中で、今後は日本でも金属関連などの世界遺産登録が増える可能性がある。

製鉄・鉄鋼などが対象の今回の遺産群23施設のうち、鉄鋼関連は官営八幡製鉄所(福岡県)の旧本事務所、修繕工場、旧鍛冶工場などのほかにも多い。萩反射炉(山口県)、大板山たたら製鉄遺跡(同)、反射炉のあった旧集成館(鹿児島県)、韮山反射炉(静岡県)、橋野鉄鉱山・高炉跡(岩手県)などが対象で、原料炭を供給した炭鉱も含まれる。

世界遺産の中で産業遺産が近年増えているという。欧米圏やキリスト教文化などに偏った登録をより普遍化する取り組みの一環で、経済軸のアジアシフトなどと相まって欧米以外の登録が増えている。日本の案件では過去「石見銀山遺跡とその文化的景観」が登録されており、昨年の「富岡製糸場と絹産業遺産群」は記憶に新しい。今回の八幡製鉄所と三菱重工業は稼働中設備として世界初の登録という。

世界遺産候補として暫定一覧表に記載している案件が次の候補になる。産業遺産関連では「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」がある。観光客の誘致や教育文化的な効果のほか、地域振興にも役立つと期待されており、政府としても関連省庁が連携して積極的な世界遺産登録を目指す。

■鉄鋼関連の主要な施設

韮山反射炉

韮山反射炉(静岡県)



端島炭坑

端島炭坑(長崎県)



三池炭鉱宮原坑

三池炭鉱宮原坑(長崎県)

橋野鉄鉱山・高炉跡

橋野鉄鉱山・高炉跡(岩手県)

大板山たたら製鉄遺跡

大板山たたら製鉄遺跡(山口県)

萩反射炉

萩反射炉(山口県)

旧集成館・反射炉跡

旧集成館・反射炉跡(鹿児島県)