新製品・新技術情報
材料:   ステンレス  ニッケル  チタン    アルミ  その他
形状: 鋼板  鋼管  線材  棒鋼
用途: 自動車  建設
環境: リサイクル  鉛フリー  カドミフリー  処理機械  アスベスト
製品・技術: ボルト  溶接・接合  めっき  加工  超電導  磁石  表面改質  防食  金属粉末  熱処理  電池
2011年 > 新製品・新技術情報バックナンバー
12/22 三菱マテリアル、フッ素排水を効率浄化 新技術開発
12/20 古河電工、超小型コネクター用の高強度コルソン系銅合金条を開発
12/20 機械部品、鋳造と表面処理を同時に 日本ホイストと広島県が技術開発
12/19 JFEスチール、耐食性を2倍に 高機能電気めっき鋼板を開発
12/09 住友金属・タツミ、床組み工法を開発 溶接軽量H形使用
12/07 新日鉄、国内初開発 6インチ炭化ケイ素単結晶ウエハー

三菱マテリアル、フッ素排水を効率浄化 新技術開発  三菱マテリアルは21日、低濃度フッ素汚染排水の効率的な浄化方法を開発したと発表した。酸化マグネシウムとアルミニウム塩の反応で生成される層状複水酸化物に、フッ素を吸着させる。浄化コストは従来の約半分となり、複数の有害元素を含む汚染水への応用も可能となる。

 フッ素化合物は、金属や半導体、ガラスなどの表面処理剤として使用されるが、フッ素は人体に有害なため、水質の規制値として環境基準(1リットル当たり0・8ミリグラム以下)と排水基準(1リットル当たり8ミリグラム以下)が定められている。

 処理方法はこれまで、フッ素汚染排水をカルシウム塩と反応させた上で、フッ化カルシウムとしてフッ素を固定化するのが一般的だった。しかし従来の方法では、フッ化カルシウムが微量に水溶するため、フッ素濃度が1リットル当たり10―20ミリグラムまでしか低下せず、コストのかかる後処理が必要だった。

 今回開発された方法では、酸化マグネシウムとアルミニウム塩が反応して生成する層状複水酸化物に、フッ素を吸着させる。ナノレベルの層状構造を持つ層状複水酸化物は、フッ素の吸着能力が非常に大きいため、少量の凝集剤でも処理が可能となる。酸化マグネシウムやアルミニウム塩は廉価で調達できるため、浄化コストは従来の約半額程度となる。

 また、半導体や電子材料の生産過程で排出されるフッ素排水の浄化にも応用が可能となる。同社の電子デバイス事業所の排水処理に適用した事例では、排水濃度が環境基準の1リットル当たり0・8ミリグラム以下となったことが実証された。

 ホウ素、カドミウム、鉛、ヒ素、セレンなどを同時に除去することも可能で、複数の有害元素を含む土壌汚染地下水などへの活用も期待される。

古河電工、超小型コネクター用の高強度コルソン系銅合金条を開発  古河電気工業は19日、超小型コネクター用の高強度コルソン系銅合金条「EFCUBE―ST」を開発したと発表した。配合と組織制御技術の改善により、従来品と比べ強度が大幅に向上。スマートフォンやタブレット端末などの薄型電子機器に使われる小型コネクター分野で、チタン銅の代替合金としての需要を狙う。

 コネクターを小型化する上で、母材となる条製品には、加工時や使用時の物理的負荷に耐えられる高い曲げ加工性や、ばね性強度が求められる。従来のコルソン系銅合金は、曲げ加工性などに優れるが、強度ではチタン銅に及ばなかった。

 このほど開発したEFCUBE―STは、ニッケルとシリコンの配合を高めたもの。さらに焼鈍、圧延工程の組織制御技術により、結晶組織の方向をそろえることで、チタン銅と同水準の強度(900メガパスカル)を実現した。

 またチタン銅は強度が高い半面、使用時の塑性変形のしにくさを示す低弾性(ヤング率)や導電率が悪くなる課題があったが、EFCUBE―STはこの点でも優れる。  ヤング率はチタン銅の135ギガパスカルに対し、EFCUBE―STは110ギガパスカルで、導電率は3倍。幅広い性能要求に応えられる合金となった。

 価格面では、チタン銅と比べて3割程度抑えられる見込み。現在は大手コネクターメーカーにサンプル出荷を開始した段階だが、量産に入ればさらに価格を抑えられるとみている。

機械部品、鋳造と表面処理を同時に 日本ホイストと広島県が技術開発  広島県立総合技術研究所東部工業技術センター(広島県福山市)とクレーンメーカーの日本ホイスト(同)は、機械部品の鋳造と表面処理を同時に行う技術を共同開発した。特殊な表面処理剤を活用したもので、従来、表面を硬くするために行ってきた電気炉に入れる工程を省くことができる。

 新しい技術は、鋳型クロムを主体とする表面処理剤をあらかじめ塗っておき、その上に溶けた鉄を流し込む。処理剤と溶けた鉄が混ざり合うことで、処理剤を使わない場合と比べて表面が1・5倍程度硬くなった状態で部品を製造できる。処理剤には、ポリビニルアルコールを主成分とする粘結剤を混ぜ込んであり、鋳型に定着しやすくした。

 従来は、鋳物部品を造った後、表面を硬くするために電気炉に入れて熱処理を行ってきたが、部品の形状が複雑な場合、熱処理を施しても、想定した硬さに達しない場合があるという。新しい技術だと、鋳型に処理剤を塗っておくだけで、複雑な部品にも対応できる。産業機械や自動車の部品の加工を対象としている。電気炉工程が不要になるために製造コストの削減につながる。

JFEスチール、耐食性を2倍に 高機能電気めっき鋼板を開発  JFEスチールは16日、高機能電気亜鉛めっき鋼板「エコフロンティアJX」を開発したと発表した。従来に比べ2倍の耐食性、加工工程削減につながるプレス成形性の大幅向上など実現した商品で、環境汚染物質を含まない環境対応のクロメートフリー鋼板「エコフロンティア」シリーズの一つとしてラインアップし、冷凍ショーケースやモーターケースなど、高度の耐食性と成形性が必要とされる部品への用途拡大を図る考え。

新製品・新技術  従来の電気亜鉛めっき鋼板では、厳しい耐食性が要求される水周り部品などに使われる際、耐食性を確保するため鋼板表面の化成被膜を厚くして対応するが、ただ表面の導電性の低下を招くため、スポット溶接性やアース性が低下するという課題があった。

 今回の「JX」はこうした課題を克服するため、08年から開発に着手。現在のエコフロンティアシリーズの主力使用品である「JN」(07年度に大河内記念技術賞などを受賞)で培った、被膜成形技術による腐食抑制のための酸素バリア性と、自己補修性に新たな開発を加え、商品化につなげた。

 主な特徴は亜鉛めっき層の表面に緻密な特殊ナノ分子層を形成させる「eNano技術」を新開発し、腐食因子である酸素と水の透過を抑え、薄膜で導電性を維持しながら従来材料に比べ2倍の耐食性を実現。またさまざまな摺動条件に適用可能な新規潤滑成分を添加し、プレス成形性を大幅に向上、これまで需要家でのプレス工程で必要だった塗油およびアルカリ脱脂工程そのものの工程削減も図れるという。さらに被膜損傷防御性を高めたため、密着性や耐食性の点で使用が困難とされていた冷蔵庫・洗濯機など、意匠性の高い塗装下地用部品にも適用でき、使用領域が広がる。

住友金属・タツミ、床組み工法を開発 溶接軽量H形使用  住友金属工業と建築金物メーカーのタツミ(本社=新潟県三条市)は8日、木造軸組み建物の2階床面を支える新しい床組み工法として、溶接軽量H形鋼を使った「スマート・ビーム床工法」を共同開発したと発表した。7月には日本建築センターの評定を取得し、このほど第1号物件を北海道帯広市で建設した。

 木造軸組み工法の梁材は、小さな角材を貼り合わせて造る木質材料である集成材が使われるが、「スマート・ビーム床工法」は集成材梁と溶接軽量H形鋼梁の両方を使う工法。

 木材は経年変化を引き起こすが、スマートビーム梁は鋼材であるため、経年変化がほとんどない。加えて建物基礎、柱、梁などの構造躯体(スケルトン)と、壁・水回り・配管・配線など内装・設備(インフィル)を分離したスケルトンインフィル住宅が増加傾向を示す中、設計自由度の高いロングスパンの床組みなどに適用しやすいという特徴を持つ。さらに断面強度が高く、梁せい(上端から下端までの寸法)を低くできるため、北側に起きる影を意識した対応(敷地北側の有効活用や天井高さ調整)を取りやすいという利点などもある。

 今回、日本建築センターの一般評定認定を取得したことで、設計者が個々に構造実験などにより、接合部の安全を証明する必要がなくなると同時に、耐震性能を満たしたことが証明されたことになる。これを受け、両社は関東の工務店を最初のターゲットとして「スマート・ビーム床工法」の提案を積極的に進める方針。

新日鉄、国内初開発 6インチ炭化ケイ素単結晶ウエハー  新日本製鉄は6日、技術開発本部先端技術研究所が、6インチ口径の炭化ケイ素(SiC)単結晶ウエハーを、国内で初めて開発に成功したと発表した。世界では米国・クリー社に続いて2番目。

新製品・新技術  SiCウエハーは、シリコンウエハーに比べて、デバイスでの電力変換損失を半分以下に抑制するほか、耐電圧性や耐熱性に優れ、高電圧・高温で使用されるパワーエレクトロニクス分野に適した材料。現在、口径3インチと4インチが主流だが、電気自動車やハイブリッドカー、高速鉄道などで用いる高性能パワー半導体デバイスの量産・普及には、6インチウエハーがキー材料で需要家ニーズも強い。

 新日鉄では、独自に開発した昇華再結晶法によって、07年に高品質4インチウエハーを開発し、量産化技術を確立。昇華再結晶法は超高温での化合物結晶成長であり、プロセス制御が難しく、結晶口径の拡大に伴い、結晶欠陥や熱負荷による、結晶割れが発生する傾向が大きくなることが課題になっていた。

 新日鉄では数値シミュレーション技術をベースに、6インチ大口径化に適した超高温設備機構や、プロセス操業条件を開発し、大口径の結晶成長における結晶欠陥や結晶割れを抑制し、12月で開発・製造に成功した。

 6インチ化で、家電用インバーター、IT用電源などSiCデバイスの生産効率が向上し、デバイスの製造コスト低下が期待できる。また、大電流・高電圧を制御する大面積デバイスの製造が可能になり、さらに広い分野で適用が可能になる。