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小中学校校舎を鉄骨造に
建替え潜在需要700万トン
S造校舎が少ないのは、軽量鉄骨によるS造は、プレハブでもろいというイメージが発注者に根強いためだ。「S造=軽量鉄骨」が定着したのは、70年代に第二次ベビーブーム世代の需要を見込んだ、軽量形鋼による画一規格のS造校舎の大量生産促進活動が展開されたことにも原因がある。当時は千葉県で27校に採用されるなどの実績をあげたが、日本人のプレハブに対する嫌悪感や、振動、騒音、千葉県東方沖地震での倒壊例などから需要は伸び悩み、その後も全国で2―3%と低水準を続けている。 このため01年4月、日本鉄鋼連盟が中心となって「次世代学校施設推進委員会」を発足させ、複合性、オープン性など鋼構造の良さを生かした学校施設整備のための調査を始めた。同年9月には日本鋼構造協会や学識経験者が「鋼構造による学校施設説明委員会」を発足させ、構造、設備計画の観点から技術検討を実施。双方の委員会で今年6―7月をメドに、研究成果をまとめる予定だ。 ▼鉄筋コンクリート造(RC造)と同等の性能・価格 研究会では、S造のプレハブイメージを払しょくし、重量鉄骨による校舎の需要創出を目指している。関係者によると、重量鉄骨ならば耐火被覆されているため防災面でRC造に劣らず、また強度や振動、騒音も、設計上の注意を払えばRC造と同等にでき、価格もほぼ同額になるという。 小中学校の増改築の潜在需要自体は大きい。耐震基準を満たさない校舎が多いためだ。公立小中学校非木造建物の建築年別保有面積によると、71年の新耐震基準制定前に建てられた校舎は23%。なかには阪神大震災で全壊した例もあるため、文部科学省は「71年以前の建物は弱いと検証された。原則として改築、耐震改修整備を行う」との見解を示した。81年には建物形状の特性に対し耐震性を確認する設計基準が設けられたため、72―81年の校舎42%には改築か、せめて耐震改修整備を施すべきだとした。つまり65%と過半数の校舎に対策が求められている。▼建て替え潜在需要は約700万トン これらの建て替えに伴う鋼材の潜在需要を、業界関係者は約700万トンと試算する。うち半数が鉄骨とすれば、小学校のような低層建物の場合、1平方メートルで約120kgの鉄骨が使われることから、建て替え時期でみて毎年数十万トンの需要を見込む向きもある。これが現実化すれば現在の年間700万トンの鉄骨需要の約1カ月分に相当する量が増えることになる。 予算面でも期待は大きい。文部科学省の補助金「公立文教施設整備費・学校施設整備費」は、公共投資10%以上削減の方針にもかかわらず、02年度予算は、二次補正予算分を合わせ1712億4500万円になり、前年度実績を5・7%上回った。補正前の予算の内訳でみても、S造化に対応する「危険建物改築等」に76億6600万円、「地震補強」に188億1400万円がついており、これらに310億円の二次補正分が加わった。 S造とRC造のどちらを採用するかは性能、コストなどから検討されるが、先にみたように、設計でRC造と同等の性能にすることも可能でコストも大差ない。そこで最近は、S造のメリットを積極的に用いた校舎もみられるようになった。 東京都国分寺市に昨年竣工した私立早稲田実業学校の校舎は、新日本製鉄が設計・施工した延べ床面積3万2122平方メートルの地下1階、地上3階(中高等部は2階)のS造(写真)。鉄骨量と担当ファブは、初等部が850トンで大川トランスティル、中高等部が2500トンで大川トランスティル、白川、イシハラ。初等部の工期は00年8月―01年9月と、工期の短いS造で今年4月の開校に間に合わせた。 ▼自由な設計で複合施設に対応 S造の校舎には、柱を細く少なくして広い空間を確保したり、間仕切り壁を自由に動かして教室の大きさを変えられるなどのメリットがあるため、昨今の複合施設の増加にも対応できる。複合施設とは、小中学校と福祉施設や社会教育施設などを組み合わせたもの。少子高齢化に伴い、世代間のつながりの重視や、空いた教室を開放する意向から、年々需要が高まっている。 小中学校の校舎にどの構造を採用するかについて文部科学省は「建物の形状や施工条件で変わってくるため一概にいえない」と、判断を各自治体に委ねている。土地の名士であることも多いファブリケーター各社が役所への働きかけを進めるなど、鉄構業界全体がS造校舎の採用に取り組めば、鉄骨需要が創出される可能性が高まる。 |
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私立早稲田実業学校の校舎(鉄骨造を生かして随所に吹き抜け空間を配置している)
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小中学校の増改築の潜在需要自体は大きい。耐震基準を満たさない校舎が多いためだ。公立小中学校非木造建物の建築年別保有面積によると、71年の新耐震基準制定前に建てられた校舎は23%。なかには阪神大震災で全壊した例もあるため、文部科学省は「71年以前の建物は弱いと検証された。原則として改築、耐震改修整備を行う」との見解を示した。81年には建物形状の特性に対し耐震性を確認する設計基準が設けられたため、72―81年の校舎42%には改築か、せめて耐震改修整備を施すべきだとした。つまり65%と過半数の校舎に対策が求められている。