2015年9月4日

神戸製鋼所、神戸製鉄所火力発電所の詳細発表 2基稼働で計270万キロワット 既存インフラを有効活用

 神戸製鋼所は、神戸製鉄所で計画している石炭火力発電所プロジェクト「神戸製鉄所火力発電所(仮称)」の詳細を明らかにした。上工程の加古川製鉄所への集約化に伴う第3高炉跡地の活用策で、発電規模130万キロワットの微粉炭火力方式・超々臨界圧発電設備を設置。1基目を21年度、2基目を22年に度に稼働させて関西電力に供給する。新規2基が稼働すると、2002年度から稼働している既存2基(合計140万キロワット)と合わせ270万キロワットの発電事業者となる。

 神鋼が計画している発電所は、17年11月休止予定の第3高炉跡地(約20万平方メートル)に、微粉炭火力・超々臨界圧発電設備(65万キロワット×2基、受給最大電力122万1000キロワット)を設置する。着工は18年度半ばで、20年に試運転開始を予定。国から公表されている火力発電設備導入時の基準BAT(Best Available Technology)に即した最新鋭の発電技術を採用するほか、高炉の跡地や港湾設備等、既存のインフラを有効活用して、安価な電力を大量かつ安定的に供給できる体制を構築する。

 都市型発電所として、高水準の環境対策を行い、高効率の排煙脱硫装置や排煙脱硝装置、電気式集塵機など国内最高レベルの排ガス処理設備を導入。地元の神戸市と締結している県境保全協定を順守し、ばい煙排出濃度や排出量等の情報については、従来通り灘浜サイエンススクエアや灘浜ガーデンバーデンの地域交流施設の環境モニターで公開する。

 また、電力需要地である神戸市および阪神地域に近接した立地であるため、遠隔地に設置する場合に比べて送電ロスが大幅に低減。4号機まで全てが稼働した場合、地域の電力自給率も大きく向上し、神戸市におけるピーク時使用電力(想定約200万キロワット)を100%賄えるとともに、阪神地域の電力自給率向上にもつながる。

 同社が現在進行中の中期経営計画(13―15年度)では、収益の安定と事業の成長に向けた布石として、電力供給事業の拡大を掲げており、足元の神戸製鉄所(神鋼神戸発電所)での事業規模は、売上高800億円、経常利益150億―180億円で推移している。今後は、神戸製鉄所での新石炭火力発電所建設に加え、栃木県真岡市での140万キロワット級のガス火力発電の建設および営業運転の開始などを計画しており、「電力供給事業における収益の安定化でグループ業績に寄与するとともに、ベース電源として安価な電力を大量かつ安定的に供給することで、地域経済のさらなる安定・発展に貢献していきたい」(北川二朗・執行役員電力事業企画推進本部長)としている。