2001.03.21
ト ピー工業は、豊橋製造所(愛知県豊橋市、桑原頼幸所長・執行役員)の電気炉から出るダイオキシンの排出量を規制値の半分の2・5ナノグラム以下に抑制する。現状でも規制値の5ナノグラムを完全にクリアした4・3ナノグラムで操業しているが、環境問題を考慮して対応を強化。建屋集塵と直引集塵をマッチングさせることで、排ガスを低減。工場建屋内の作業環境の改善にもつなげる。

 豊橋製造所の製鋼工場と大形圧延工場は、今年8月の旧盆前後に2週間(夏休み4日間、定修休暇10日間)。中形圧延工場は7月中旬に9日間の予定。

 このうち、電気炉のある製鋼工場では現状、建屋集塵と直引集塵が別になっているものをドッキングさせる。96年4月に撤去した30トン電気炉の建屋集塵と、現在稼働している120トン電気炉の直引集塵を合わせることで集塵能力を拡充。規制値の半分の2・5ナノグラム以下のダイオキシン排出量を実現する。

 大気汚染防止法の改正では、02年12月1日から既設炉からのダイオキシンの排出量を、1立方メートル当たり5ナノグラム(1ナノグラムは10億分の1グラム)以下に制限。新設炉は0・5ナノグラム以下に抑制することが法律で義務づけられている。

 トピー工業・豊橋製造所の電気炉は既設炉のため、規制値は5ナノグラムだが、現状の排出量は4・3ナノグラムと規制値を前倒しでクリア。8月の改善工事完了後は、2・5ナノグラム以下と規制値の半分に抑制する。

東 京製鉄は19日、同日売り出し、23日締め切りの4月契約について、単価、エキストラとも全品種据え置くと発表した。春需時期を迎え、4月は荷動きが活発化する見込みだが、1―3月と同レベルの減産体制を継続し需給改善に努める。4月契約では現行販価を維持するが、「マーケット状況を見極めた上で、(値上げを)検討していきたい」(安田英憲常務)との意向を持つ。輸出は円安傾向を歓迎し、5、6月積み商談も引き続き積極的に成約していく方針。

 冬場の不需要期が去り、近く新年度予算が成立する見通しなどを踏まえ、「4月以降は引き合いが増える」(同)との認識を示した。首都圏を中心に需要は動いており、春先も同水準の物件はあるという。

 2月契約で薄板品種の大幅値下げを実施し市況に少なからず影響を与えたが、3月に続いて4月契約も据え置き、「出直し価格」の姿勢を堅持。薄板、条鋼品種とも足元、市況は伸び悩んでいるが、「春需に向けてよい環境作りができる」(同)とし、減産および選別受注を続け、市況好転につなげる構え。

 輸出面は、円安から引き合いが増える見込みで、価格重視の方針を変えず選別的に受注していく。鉄スクラップは、メーカー各社の減産が続き、依然弱含みで推移する見通し。

新 日本製鉄は4月から、トヨタ自動車向けに電力販売する。契約期間は、4月から1年間。東邦レーヨンなどの工場で抱える余剰電力を購入、トヨタの東京本社向けなど2800キロワット電力を供給する。

 同社では、東邦レーヨンの静岡・三島工場と旭化成の富士支社から余剰電力を購入。それらの電力をトヨタに販売する契約を締結した。トヨタでは、トヨタ東京本社ビルと豊島区のビル2棟で使う電力をすべてまかなう計画で、電力価格も東京電力より安く設定されるという。

 新日鉄は福岡市庁舎向けにも4月から電力販売をすることになっており、電力小売り事業を本格化している。小売り事業本格参入を狙う同社が、需要の多い首都圏で電力販売契約を結んだことで、さらに電力小売り事業が活発化することになる。
平 鋼主力の関西電炉メーカー、臨港製鉄(中野修行社長)はエネルギーコストの低減、品質向上を狙いに、製鋼および圧延部門で設備の更新増強工事を行う。主に3月末から4月初旬にかけて実施、投下金額は約3億円。

 製鋼部門ではエネルギーコストの低減を目的に、電炉バーナーを効率バーナーにリプレースする。3月30日から4月3日の製鋼定修期間中に、既存バーナー4基のうち1基を効率バーナーに切り替える。そのデータ取りを行いながら今年中には4基すべてを効率バーナーにリプレースする。これによりエネルギーコストの約10%の低減を見込む。

 一方、圧延部門では品質や寸法精度の向上を目的に、第1圧延工場(月産能力2万トン)における仕上げ圧延へのLTC(ローテンションコントロール)装置導入や圧延工程のディスケーリング装置の更新増強。また第2圧延工場(月産能力1万トン)の仕上げ圧延レストバー(圧延機ガイドの保持装置)の更新自動化や冷却床の整備などを行う。大半は3月29日から4月5日の圧延定修期間中に実施するが、ディスケーリング装置の更新増強工事は7月に着工、9月に完成の予定。

ト ピー工業・マイカ部は、00年度の業績が生産量330トン、売上高7億円となり、安定利益を計上する見通しだ。04年度には生産量2000トン以上、売上高50億円と事業規模を7倍に拡大。売上高利益率は10%以上を確保する。化粧品用は国内外への納入が定着、パールマイカは携帯電話向けや樹脂向けが拡大、一般工業用はフィルム向けが伸びる。樹脂向けナノコンポジットの研究にも着手しており、今後は爆発的な需要増が期待される。

 豊橋製造所(愛知県豊橋市)で生産しているのは合成マイカ(雲母)。72年の事業化以来、毎年「倍々ゲーム」で業績が伸びており、01年度は生産量360トン、売上高8億円に拡大、安定利益も確保する。能力を超す操業が続いているため、増産投資も検討していく。

 酸化アルミ、二酸化ケイ素などの原料を小型電気炉で溶融して製造する合成マイカは、白色性や光沢感、発色・透過色に優れているのが特徴。化粧品、自動車塗料、高級紙のほか、樹脂、セラミック、潤滑剤の分野にも用途が広がっている。
輸 入業者筋によると、来期(4―6月)の鋼板類の輸入はホットコイルで月間16万―17万トン(全国ベース)、冷延コイルで月間7万―8万トン、厚板で月間8万―9万トンと、ともに今期(1―3月)見込み並みとなる、との見方をしている。これは為替が円安で推移しているうえ、日本国内の鋼板市況が薄板では国際価格以下となっており、遠国ミルが日本向けを敬遠しているため。ただ、韓国、台湾、中国はヒモ付きを中心に数量の維持に努めており、来期も同数量の日本向け輸出となる方向。

 まず、ホットコイルは来期、ブラジルや東欧、南アフリカなどの遠国物の新規契約がされない見込み。このため、韓国、台湾、中国3国を中心にした輸入となる見込み。

 予測では韓国が月間8万5000トン、台湾が月間7万トン、中国が月間6000トン前後の輸入となる見込み。これ以外に、オーストラリアのBHPがクオーターで1万トン、ニュージーランドのニュージーランドスチールが月間3000トン。この結果、来期のホットコイルの輸入は、トータルで月間16万―17万トンとなるもよう。

 冷延コイルは来期、月間7万―8万トンと今期並みの高水準となる方向。これは韓国のポスコが日本向け輸出で高付加価値化戦略をとっており、その一つの品種が冷延であること。また、韓国の単圧ミルもキャパに余裕があり、日本向けを意識していること。台湾のCSCもヒモ付きを中心に、対日向けの数量維持を図っているため。

 厚板は来期、月間8万―9万トンと、これも前期並みの高水準となる見込み。これは韓国のポスコ、東国製鋼、台湾のCSCが今期並みの対日輸出を予定していること。中国の申皇島、上海第3などもコンスタントに契約されている。さらに、ロシア、ウクライナの敷板がスポットで入る方向に、インド材もクオーターで1万トン入る見込みのため。
神 戸製鋼所加古川製鉄所は、5月中旬からダスト処理プラント「FASTMET」を稼働させ、2001年度中に99・9%の所内ゼロエミッションを達成する。99年5月から取り組んできたゼロエミッション活動「ECOST―21」では、廃レンガなど所内発生品300種類の廃棄物をリサイクル。今後は「FASTMET」導入により、これまでリサイクルが困難だった高亜鉛ダストや低鉄分発生品のリサイクルを徹底させ、99・4%のリサイクル率を99・9%に引き上げる。

 加古川製鉄所は、99年5月から「ECOST―21」として、ECOST―21事務局をベースにQC活動を展開し、これまで未利用発生品300品目の発生品を対象に現場の改善活動を行ってきた。

 この5月中旬からは、所内に年間処理能力1万6000トンの「FASTMET」を建設し、これまでリサイクルが難しかった高亜鉛ダストなどをリサイクル。脱亜鉛処理工程で粗酸化亜鉛を分離回収するとともに製品である還元鉄は、製鋼工程で活用する計画。

 「FASTMET」導入によって、スラグやレンガ、廃油など月間約30万トン発生する所内廃棄物をリサイクルし、リサイクル率96%から99・9%に引き上げる。

 同社では、環境保全先進企業を目指して製鉄所のゼロエミッション化を推進している。

特に、加古川製鉄所は、所内各所に「エコステーション」を設置して、ビン、缶、蛍光灯、電池などを100%リサイクルできる体制を整えている。それ他、古紙、コピー用トナーカートリッジ、OA機器などの事務用品類のリサイクルを徹底。使用レンガは耐火物原料、鉄分が少ないスラッジ類は景観レンガなどとして活用している。

米 ウォールストリート・ジャーナル紙はこのほど、ブッシュ政権が鉄鋼業界支援のための3年間の鉄鋼輸入制限を検討していると報じたが、同広報官は(輸入制限の)期限についてはコメントを控えている。

 米国の鉄鋼ミルの収益性は、昨年央来の鉄鋼市況軟化と年初来の自動車メーカーの減産などによって急速に低下している。また、ウィーリング・ピッツバーグ・スチールやLTVなど中堅・大手高炉をはじめとする鉄鋼企業のチャプター11(会社更生法)申請が相次いだことから金融業界からの鉄鋼企業への資金供給も一層と細ってきている。薄板、棒鋼ミルともに3―4月からの製品値上げを打ち出しているものの、市況安、需要低迷が中期化した場合、とくに価格競争力の低いミルなどは危機的な状況に追い込まれることになる。

 こうした中、鉄鋼労組、業界団体、鉄鋼議員団などからの資金面での支援、輸入制限などを政府に求める声が一層と高まってきているわけだが、一方で高い競争力を持つAKスチールは、こうした政府支援が市場の競争原理を崩すとして、連邦政府、州政府などの鉄鋼ミルへの援助を批判してきている。

東 京地区の形棒鋼市況はメーカーの強姿勢を受けて商社各社が唱えを上げ、2万7000円どころを強含みで推移。商社のベース2万8000円の唱えに一部理解を示すゼネコンもあり、基調は引き締まってきている。

 ベースメーカー各社が3月契約で1000円の値上げを実施したことで、商社が2万8000円以上での販売に移っている。一部商社を除き、ほぼ足並みはそろってきており、ゼネコンサイドの見方も変わり始めている様子。ゼネコンからの明細は少なく、様子見が続いているが、下旬にははっきりとした反応が見られそう。

 メーカーは4月契約も3月と同様の枠売りを行う意向で、メーカー、商社の引き締めから、目先も強気配が予想される。

東 京地区の中板市況は弱気ムードの浸透で徐々に中心値が下がり、市中価格(3・2ミリ、ベースサイズ)は3万5000―3万6000円と月初めに比べて1000円ほど下落した。

2月後半から先安ムードが加速、販売業者の一部に売り急ぐ動きも出て市況は値下げ局面となった。輸入材を含めて安値コイルについては流通の実態を見極めたいとの見方が強いが、小売価格との格差から下げ圧力となる点は否めない。

 ただ、東京製鉄の価格発表も現状が下限とみられ、高炉メーカー各社も在庫調整の必要性を認識している。流通在庫は増えていない中で、さらに突っ込んだ下げの可能性は低くなってきた。

大 阪地区の平鋼市況はベース4万―4万1000円どころで引き続き軟調。

 機械・建築などの需要は減速。先安を警戒した需要家の買い控えもあって、市中の荷動きは低位安定。流通の出庫量は2月段階で3・8%増の1万2170トン(大阪鉄鋼流通協会調べ)と3カ月ぶりに増加に転じたものの、H形など僚品の不振もあって停滞感は否めない。

 このため、扱い特約店筋の売り腰も引き締まらず、安値折り合いが散見。発注がまとまれば、一部では「4万円割れの安値もある」(特約店筋)のが実態。

 ただ、メーカー各社の減産は比較的足並みがそろっており、ここにきて在庫の増加基調にも歯止めがかかってきている。