2016年2月2日

新日鉄住金、日新製鋼子会社化【会見要旨】

――両社長になぜ今か。

進藤社長「世界の鉄鋼需給環境は大変悪くなっている。中国の過剰生産、過剰輸出で市況が悪化している。世界の鉄鋼大手は日本を除きほとんど赤字だ。危機的な状況で両社がどう生き残り、勝ち残るか考えた時に、日新製鋼から高炉1基休止して鉄源を合理化し、競争力ある商品に設備投資を集中したいと話があった。新日鉄住金として競合相手に鋼片を継続供給するには子会社化が必要と判断した。経営環境が悪い中しっかりシナジーを追求したい。両社強みが違う」

三喜社長「環境は厳しくなり、楽にはなっていない。国内だけの問題でもなくなっている。普通鋼の中国の高度成長もピークアウト。これから先を予測し、どうやって行くかを考えると今が良いタイミングということ。鋼片の安定供給だけでなく、日新製鋼そのものの体質を強化できる」

――財務、資本面の効果か。

進藤社長「財務、資本面よりも色々なシナジーがあると思う。操業管理の、技術移転、設備管理の仕方、調達の仕方、安全、防災、環境マネジメントの向上だ」

三喜社長「全くその通りで付け加えることない」

――ステンレスや系列商社は。

進藤社長「具体的な事業は当局の承認を得た後、情報交換する」

――なぜ100%ではないのか。

進藤社長「100%では独立性がなくなる。日新製鋼の強みはきめ細かな営業活動だ。繊細な需要を捉えて細かいマーケティング活動が強みだ。ブランド力も確立している。小回りが利く機動性を高くしておくのがよい」

――日新製鋼の規模では生き残れないのか。

三喜社長「日新の強みをどう生かすか、経営資源をどう生かすかにつきる。進藤社長に挙げていただいたような強みに経営資源を集中していくためにはベストの選択だと考えた」

――ステンレス統合を当局に認められなかった6年前とどう違うか。

進藤社長「事業環境が違う。中国の能力、輸出が伸び、経営環境は大変厳しくなったのは大きな違いだ。当局にも厳しい環境を説明する」

三喜社長「過去の環境と今の環境は説明するまでもなく激変。公取委含めご協力いただきながら進めていく」

――呉の高炉を2本止めることも検討するか。

進藤社長「今は何も決まっていない」

三喜社長「もう1本の高炉に経営資源を集中させるつもりであり、2本とも休止することは選択肢にはない」

――合理化効果は。

進藤社長「日新製鋼においては固定費削減効果がある。新日鉄住金には鋼片供給による上工程の稼働率が上がり固定費削減効果がある。3つ目はグループ全体としては下工程の同じようなプロセスがあるのでグループ全体で効率的な生産追求が期待できる。どれくらいかは当局の承認が得られてから算定したい」

――人員削減は。

三喜社長「人員については増減あるが、さらに効率化向上もあるので、雇用守りながら検討していく。高炉休止による合理化はあるが、いろいろな仕事が他にも戦略的に進める中で出てくる。大ナタを振うということではない」

――検討が始まった時期は。

進藤社長「昨秋ごろから鋼片供給の打診をいただいて、検討が始まった」

三喜社長「我々は構造改革を進め、経営資源の集中を考えてきた中で、今回の決断をして昨秋からご相談させていただいてきた」