2019年11月5日

日本製鉄、製鉄所組織を統合・再編 来年4月、6製鉄所体制に

 日本製鉄は将来を見据え、製鉄所組織の統合・再編成を決めた。同社の16拠点・12製鉄所・製造所と日鉄日新製鋼の4製鉄所・製造所を社長直轄の6製鉄所体制に2020年4月1日に組みかえ、事業基盤を強化する。日鉄日新製鋼との合併も踏まえて製造現場の効率性・自律性を高め、「つくる力」を再構築する。世界粗鋼生産の半数を占める中国の鉄鋼・原料需給の変動や海外鉄鋼企業の大型化・技術向上など世界的な競争環境の変化に備え、「総合力世界ナンバーワンの鉄鋼メーカー」の実現に向かう。

 ▽宮本勝弘副社長=日鉄日新製鋼の合併について、「完全子会社化しているが、マーケット環境が想定以上に厳しく、効率化、効果を上げるには合併が良いと判断した。加えて、日鉄日新製鋼で大きな災害事故もあり、お客様に鋼材を供給するためにも合併統合が良いとの意図もあった」と説明した。
 製鉄所の再編では、「組織の効率化、製造現場の強化を最大の眼目にしている。再編により各製鉄所の自律性、効率性を上げていく。複数に分散している戦力をより大きな単位で一体化して戦力強化する。業務運営や要員、採用、配置、育成で人材基盤を強化し、技術、技能、ノウハウを共有化してレベルを上げ、意思決定を早くしていく」と趣旨を述べた。また、「各製鉄所を社長直轄としたが、品種事業部長はそれぞれ営業課題を抱えており、そちらにまい進することになる。各製鉄所は大きな範囲になるので、効率化、人の育成や、品種同士のつながりなど、どうやってスピーディに効率を上げていくかが、所長の腕の見せ所となる」とし、今後については「最適生産体制の追求ということで、引き続き体制構築に向けて内外ともに抜本対策を検討中」とした。
 豪雨災害を受けた日鉄日新製鋼・呉製鉄所の生産については「呉の減産は日鉄日新製鋼の粗鋼として45万㌧のマイナスだが、鋼材出荷は日本製鉄で代替生産をしたので連結ではプラスマイナスゼロ。日本製鉄の粗鋼で28万㌧、在庫出荷で対応した。連結の粗鋼でマイナス17万㌧ということになる」と報告した。マーケットについて「昨年からのマイナスも大きく、原料市況高、鋼材市況安も中国が公共投資を増やすということで、生産が高止まりし、原料費が高くなっている。一方、世界の景気後退により、特に海外マーケットが緩んでおり、非常に厳しいと考えている」と危機感を示した。
 広畑製鉄所の冷鉄源溶解を電気炉プロセスへの刷新した意図として「いまのSMPプロセスは、月に6万㌧程度の生産量だが、今度の電炉も同じ量。酸素と石炭を使って溶解していたが、電気で効率的に作っていくことになる。電気炉、2次製錬を含めたプロセスを使いながら、高炉由来のピュアな鉄を使って高級鋼を作っていく。これにより40万㌧のCO2が削減できる。今後とも製造現場にあったプロセスでやっていく」とした。

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