2014年3月3日

東日本大震災から3年 いま、そして未来へ ■(1)青森県 被害は軽微、生産水準戻る/ファブ向け仕事が繁忙/復旧、復興案件乏しく

今月11日で、東日本大震災から丸3年がたつ。仮設住宅や借上住宅で暮らす避難者が、いまだに27万人に及ぶ中、復興過程はこれまでの復旧期から、本格的な再生期へ移ろうとしている。鉄鋼業界でも、製鉄所、工場、事業所などが被災したが、早期に復旧を果たし、今では復興事業に貢献している。震災を風化させないためにも、被災地の現状や課題、これから向かおうとする姿を追った。

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岩手、宮城、福島の被災3県と比べ、比較的被害が軽微だった青森県。異形棒鋼を製造する東京鉄鋼八戸工場では、敷地が海面より3・5メートル高く、津波が1メートルの高さとなり、被害を最小限にとどめた。トランスや圧延ミルモーターが高い位置にあったこともあり、圧延は3月中に、製鋼も4月初めに復旧した。

足元、生産水準は月間平均約2万トンと震災前のレベルに戻っている。ただ、八戸LNGターミナルや北海道新幹線関連など、県内の大型プロジェクトが一段落し、期待されていた消費増税前の駆け込み需要も目立った動きはない。同工場では青森、秋田、岩手の北東北3県に7割近く出荷しているが、「これ以上の需要増は見込めない」(櫻井憲一取締役上席執行役員東北棒鋼事業部長)という。一部南東北や関東向けにも供給しているが、こちらも鉄筋工など職人不足の影響で工事が遅れている。

一方、