「まさにこれから議論し、考えないといけない。工場現場のオートメーション化が進む中で、機械に置き換えられない部分の人材の評価は当然高まる。AIの出現により、ホワイトカラーの仕事は人間としての付加価値をいかに付けられるかが勝負になってくる。日本では人口が減少しており、AIを活用しない手はない。現在のスタンダードで考えるのではなく、新たなテクノロジーを考慮した上でどのような人を採用するか。教育の仕方や働き方、処遇なども変わっていく中で、世界から優秀な人材をどう引き付けられるかは大きなテーマだ」
――外国人労働者の力も必要になる。
「人口が減った分を海外人材に置き換えるということではなく、若くて熱意あふれる海外の若者に日本で働いてもらうことは、経済的な意味のみならず、日本の世界的な位置付けという観点でもしっかり取り組むべき話だ。安いから使うとか、汚れ仕事は外国人労働者にとか、そういう発想ではいけない。海外の人々も日本が魅力的かを結構シビアに見ている。日本の良いところをしっかり見てもらうことで、海外との関係が深まる。そういうことを念頭に置いて考えるべきことだろう」
――経済安全保障の取り組みの重要性が増している。
「官民で協調して取り組まねばならない大きな課題の一つが経済安保だ。例えばレアアース(希土類)は特定国に供給依存しているのが現状で、脆弱性が高い。他国に依存し過ぎない『自律性』と、日本がいなければ困ると思ってもらう『不可欠性』をともに高めないといけない。特に日本のように資源に乏しい国は、世界から見てここは日本に頼らざるを得ないというような部分をどう作り出すかが大切。レアアースに関しては、上流の資源開発だけでなく、使用量をなるべく少なくすることやリサイクルも必要になる。多少コストをかけてでも供給源の多様化を進めるのも重要。その過程で、官民がしっかり目線を合わせることが大事だ」
――今後は国産レアアースも出てくるか。
「オーストラリアやフランスで、日本企業が参画するレアアース開発プロジェクトが進む。数年以内に足元の国内需要の相当程度は、日本企業が開発に関わった鉱物が入ってくるのではないかと思う。そうなった時に、それを国内でちゃんと使ってもらわないといけない。安いからこっちというような判断がされてしまうと元に戻ってしまう。これは日本だけで取り組んでも仕方なく、有志国の中で枠組みを作っていく。コストをみんなで分担しながら供給ルートを複線化することを国際的にも進める。首相や閣僚の会談でも共通の話題となっており、複線化のための枠組みをみんな築こうというところでは目線がそろってきたと感じる」
――国内での希土類精錬の実現可能性をどう考える。
「鉱種や時間軸にもよるが、そういうことも考えることは大切だと思う。ただ、現在の技術でそのまま行おうとすれば価格面での課題にぶつかり、技術開発とセットで進めていく必要がある」
――国はJOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)の出融資などの機能を拡充し、アフリカなど新たなエリアでの資源開発も推進する考えを示している。民間企業の資源投資をさらに呼び込むには何が必要か。
「新たなマーケットに進出することは、民間企業にとって一定のリスクがある。鉱山開発はただでさえさまざまなリスクを伴う。ソブリンリスクの大きい地域へ出ることに一定のちゅうちょがあるのは間違いない。それをカバーする仕組みをいかに作るかは、われわれ政策当局が考えないといけない。一定の仕組みができれば、その中で力を発揮してもらえる民間企業があると思う。それができれば国主導で開発を行うより効率的。そのためにJOGMECの役割を一歩、二歩と進めている」
――政府はヤード規制などにより、リサイクル資源の不適切な海外流出を食い止める取り組みも進める。
「そういう仕組みを作ることは重要で、それが絵に描いた餅にならないようにしないといけない。最も効率的なやり方など、これも官民で知恵を出し合いながら進めていくべき課題だと思う」(正清俊夫、田島義史)