1
2024.12.4
2014年9月10日
環境省の水際対策としては、税関から連絡があったものに対して対応する形式に変わりなく、特に検査強化の方針を示しているわけではない。ただ、環境省は地域の実情に応じた環境政策を展開するため、2005年10月に国内各地に地方環境事務所を設置。地方環境事務所との連携体制が整ってきたことで、結果的に機動力が上がっている。今回はコンテナ船の積み荷検査から発覚したが、バラ積み船も調査対象になる。
また、環境省担当者は「家電リサイクル法に触れないからと言って、一律的に廃棄物でないとみなせるわけではない」と強調する。例えば、家電リサイクル法に触れない業務用エアコンなどであっても、フロン回収の措置など、適切な処理がなされていない場合は廃棄物とみなされ、今回のように通報の対象となる可能性はある。
これまで、業務用エアコン、湯沸かし器などの雑品が金属スクラップとして輸出されてきたが、「家電リサイクル4品目ではない」「有価で買い取れば廃棄物でない」ため問題ないという認識が業者にあった。今後は、有害物質はないかなど、廃棄物該当性についても注意をしていく必要がある。
一方で、環境省担当者は「(廃棄物処理の)認可を得たリサイクルプラントから排出される適正に処理されたものの輸出は、廃棄物処理法の規制の対象にはならない」と話す。廃棄物該当性が問題となるのは、あくまで正規の廃棄物処理フローに乗らない輸出だ。当然、家電4品種は家電リサイクル法にのっとる必要がある。
また環境省担当者は、有価な金属のみで構成されており、市場性があるようなスクラップは廃棄物にあたらないとの見解を示す。だが、その判断基準は画一的でなく、取り扱い筋は難しい目利きが求められる。
輸出関係者からは、「輸出業者への検査を強めても、不適切な排出・回収の流れがある限り、問題はなくならない」との見方が寄せられる。「解体現場から出てくる雑品を買い取った場合、どうしても家庭用エアコンなどが紛れ込んでしまうことはある」(複数の輸出筋)との声もある。こうした認識は環境省も同じで、3・19通知には排出・収集段階での廃棄物該当性を警鐘する意味合いも大きい。
雑品輸出は、集荷競争の過熱と、中国における人件費の高騰で、「キロ当たり2円の利幅があれば良い方」(関東の輸出筋)との声が聞かれるほど、以前ほど利益の取れる商売ではなくなっている。廃棄物該当性に対する判断にコストがかかってくるようであれば、雑品輸出という業態が成り立たなくなることも考えられる。
スポンサーリンク