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リサイクル進展に大きな貢献、日本アルミドロス協議会 創立20周年
「残灰」のイメージ改善

日刊産業新聞 12/05/15
 日本アルミドロス協議会は15日、東京都内で創立20周年記念式典を開催する。協議会の歴史はまさにアルミドロス・リサイクルの歴史そのものであり、20年間にわたる活動は日本のアルミリサイクルの進展に大きな貢献を果たした。協議会は20周年を迎えるにあたり、記念誌を発刊する。協議会の20年間の歩みを振り返る。

 1991年5月、アルミ二次合金地金の製錬工程などで発生するアルミドロスの有効活用や、業界の社会的地位向上、相互親睦などを目的に関係企業15社が参集、業界団体の立ち上げに向け動き始めた。6月には名古屋市内で臨時総会を開催、「日本アルミ鉱滓リサイクル協議会」が正式に発足、全国から25社が参加した。初代会長には松島金属の松島紘史氏が選出された。

 活動方針として残灰(ドロスパウダー)の有効処理方法、需要家への産廃処理費用の別建て請求、加工賃の改善などを取り決め、歴史の第一歩を踏み出した。

 93年11月には、近畿地区の産廃を埋め立て利用する大阪湾フェニックス計画への参加を決定。また、バブル経済崩壊後の不況が深刻化。アルミドロスでも低品位品が逆有償化する懸念が生じ、協議会でも盛んに対応が協議された。

 95年5月18日に開催された第4回通常総会では、副会長の梅原茂雄氏(梅原軽金属工業)が会長に昇格。90年代半ばになると日本国内で環境への意識が急速に高まり、アルミドロスのリサイクルについても、当時の通商産業省が調査に乗り出した。通産省は軽金属協会に調査研究を委託、大阪府立大学の大西忠一氏を委員長とする「アルミニウムドロスの処理とリサイクルに関する調査研究委員会」が発足した。協議会も委員会の調査に積極的に協力、研究会に委員を派遣するなど多くの貢献を果たした。  98年ごろにはダイオキシンが社会的に問題となり、アルミドロス業界でも対応が協議された。2000年4月の第9回通常総会で新会長にスズムラの河合文夫氏が就任。02年4月の第11回通常総会では顧問を務めていた松島氏が2度目の会長職に復帰した。

 04年2月には、アルミドロスからメタル分を回収する過程で発生する「アルミ残灰」の呼称を「ドロスパウダー」に変更。過去には大部分を産業廃棄物として埋め立て処分されるなど廃棄物のイメージが強かった「残灰」だが、このころには鉄鋼用副資材やコンクリート骨材としてリサイクルが普及しており、リサイクル資源である「アルミ残灰」のイメージを改善する狙いがあった。

 協議会の活動としても、会員の見識と知識の深化を目指し、05年ごろから総会時に同業・異業種を問わず工場見学会を行っている。第1弾として同年11月にピアノ製造、ローランドの細江工場、本田技研工業の浜松製作所を見学している。

 08年には愛知県が「再生資源活用審査制度」の施行を決め、有効金属成分30%未満のアルミドロスも対象に含まれた。それを受け、協議会は業界団体が自主管理することで届け出が不要となる要綱第4第2号の適用を県に申請。アルミドロスを扱う業界団体として自主管理方針を定めるなどの対策を講じた結果、自主管理団体として承認されるなど、業界団体として存在感を発揮した。

 09年は前年後半に発生したリーマン・ショックの影響で世界経済が混乱、アルミドロスの発生も激減し、アルミ含有率が低下するなどアルミドロスのリサイクルにも大きな混乱が生じた。

 10年5月に開催された通常総会では新会長にスズムラの鈴村隆広副会長が昇格。11年度から協議会を「日本アルミドロス協議会」に改称することを決定、20周年に向け新体制を整備、今日を迎えている。今後も協議会ではアルミドロス・リサイクルの進化、深化を目指し活動を鋭意継続していく方針だ。

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