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更新日: 2017年8月24日

中国、規制は廃プラから金属に 「雑品は中国へ」時代終わる 国内回帰、選別が鍵に

中国、規制は廃プラから金属に 「雑品は中国へ」時代終わる 国内回帰、選別が鍵に

中国当局は今春以降、深刻化する環境汚染や健康被害を抑止するため、廃プラや金属スクラップなどの輸入ライセンスを保有する全企業を対象に一斉取り締まりを行った。廃水・廃油処理や防じんなどの環境対策を行っていない企業が次々と摘発され、即日、事業停止が通告され、翌日の新聞には企業名と違反理由の一覧が掲載された。現地に詳しい業者によると、3万2000社のうち6600社が罰則の対象になったという。

ドキュメンタリー映画「Plastic China(プラスチック チャイナ)」。2016年に上映され、中国当局が廃プラスチックや古紙、一部の金属スクラップの輸入を停止する発端になったと言われている。舞台は、廃プラのリサイクル工場。幼い子供を連れ、四川省から出稼ぎにきた家族とオーナー一家の日常を描く。中国の環境汚染や劣悪な労働環境の実態が全世界に伝えられ、国の恥とばかりに中国国内で現在、上映が禁止されている。

87%と27%――。ここに2つの数字がある。一連の取り締まりで逮捕、罰金、事業停止などを受けた企業の割合で、87%は廃プラ業における割合。一方、金属関連は27%にとどまった。映画の影響か、廃プラに対する当局の姿勢がどれだけ強いものだったかうかがえる。「法令違反や環境対策に不備があるかを調べる査察ではない。特定のリサイクル業の何パーセントを廃業に追い込むかを先に設定し、実施したのだろう。地方政府から操業許可を受けていても罰せられたケールがあった」(関係筋)。

例外ではない金属スクラップ

摘発された企業の割合が廃プラに比べて少なかったとはいえ、金属リサイクルに対する風当たりも強まっている。従来から輸入禁止品だったにもかかわらず混載で取引されていた黒モーター(コンプレッサー)と基板は、ここにきて徹底的に排除されており、混入が疑われる雑品は現地の主要な受け入れ港である台州や寧波で全量がヤードに広げられ、詳細に調べ上げられている。

黒モーターは、本体を割り、外側の鉄と内部の銅線などを取り出すことで価値を上げてきたが、ケース内に溜まった油分が適正に処理されてこなかったため規制の対象となった。

19年以降は、被覆電線や家電線などの雑線も対象となる見通しで、当局の方針によっては規制開始の時期が早まる可能性もある。

現地の受け入れ港の現状

台州は数年前に、選別業者が新しい工業団地に移転しており、摘発された企業は少なかった。ただ、整備が遅れている寧波周辺は、輸入ライセンス保有業者の4分の3に当たる30社以上のスクラップ業者が違反対象となり、地域住民が働く場所を失うなど地域経済にも影響を与えている。

雑線や黄銅系スクラップがメーンの天津は、輸出業者がシップバック(返送)を懸念し入船が大幅に減少しており、検収が比較的緩やかな広州に行き先を変えているという。ただ、込み黄銅や込み銅、1号銅線など金属分が高いスクラップは、今後も輸入が規制されることはないとの見方が強い。

新たな仕向け地を模索する

廃プラ同様にダスト(ゴミ)の混入が多い雑品は、さらに規制が厳しくなる見通しで、「当局が輸入ライセンスを更新しないケースも出てくるだろう」(雑品輸出業者)。日本側で輸出許可が下りても、受け入れ側のライセンスが失効すれば当然、取引は成立しない。新たな仕向け地として雑品や基板はマレーシアをはじめとするアセアンが候補に挙がっているが、「受け入れ可能な数量は知れている」(輸出筋)。

日本は以前、被覆銅線を剥線して残った被覆ビニールを中国に輸出していたが、足元は廃プラ規制の影響で中国向けはほぼストップしており、インドやパキスタン、アセアンに向け先が変わりつつある。輸出できないものは産廃処理され、ナゲット加工業者の負担増となっている。

日本に拠点を置く雑品業者の反応と今後

これまで中国に雑品や雑線を輸出していた業者は、本国の状況に困惑しながらも「いつかはこうなると思っていた」と口をそろえる。すでに輸出以外に国内の販売ルートを確立している中国系業者は、「輸出品目の入荷を減らし、今後は国内売りをさらに強化する。輸出商材も、同業者が買わなくなれば流通価格が下落し、国内選別で採算が取れるようになるかもしれない」と、さらなるビジネスチャンスを狙う。

黒モーターの流通価格は、以前はキロ60―70円だったが、足元はキロ20―40円に下落しており、国内選別や他国向けにシフトしつつある。ただ、国内の銅スクラップユーザーである伸銅・電線メーカーや鉱山の買い気が長期低迷しているため、スクラップ供給量の増加をユーザーが受け止められるかは不透明だ。「流通価格が安くなればメーカーが使う量も増えるだろうという期待は強い」(扱い筋)。

日本は戦後、混合スクラップや機械くずをそれぞれの単一素材に仕上げる「手選別」を強みにしていた。しかし、2000年以降、中国が台頭するにつれ、現地ユーザーが遠別前のくずを買い取るようになり、いつしか良い物は国内、手のかかる物は中国という図式が出来上がった。老舗のスクラップ問屋は、「今回の件で手選別や機械選別が見直されるだろう。スクラップ業が本来の姿に立ち返る機会になる」と語る。

(石橋 栄作) ...
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