2025年11月5日
森・日鉄副会長 決算会見/米でGO投資計画/技術投入しマージン拡大
――米国の関税政策による米国市場への影響は。
「関税が施行されてから輸入鋼材は明らかに減っている。海外に出ている米系の自動車メーカーが国内に回帰する動きもある。米国内の自動車メーカーが輸入部品に困って減速している側面もあると言われるが、当社としてはむしろ様子見と考えている。関税が上がったり下がったり、中国との関係もどう決着するのかなど、不透明感が市場をフリーズさせているのが本質と思う。関税の来年度にかけて効果が発現していけば、需要の回復が起こっていくと考えている」
――USスチールの成長戦略についてデータセンター向けの方向性電磁鋼板(GO)の製造を開始すると報じられているが。
「GOの投資を考えている。データセンターの需要が高い背景として電力が重要になっている。送電するトランスに使われる高級なGOを米国で造ることができるメーカーはいないので、USスチールを支えるハイエンドな商品となる。当社としても海外でGOを造ったことはないが、技術をUSスチールに投入してマージンを作っていく」
――USスチールで計画している設備投資について。
「28年までに110億ドルを投じるが、25年は12億ドルを予定している。鉄鋼の設備投資は投入してから効果が出るまでにタイムラグがある。すぐに効果が出るものは取り込んでいるが、効果は今後しっかり出てくると考えている」
――上期の連結事業利益は前回予想から475億円のプラスとなったが、その差異の詳細を。
「前回予想に対し、生産・出荷とマージンはほぼ見通した通りだが、コスト改善は150億円のプラスとさらに前に進んだ。本体海外事業はUSスチールで80億円減り、(USスチールを除く)海外事業は全体で50億円増え、努力している。原料事業の60億円、鉄グループ会社の50億円について中身をみると下期に計上するものが上期に計上されているものもあり、通年でみるとあまり大きくは変わっていない」
――ウジミナスの保有協定株全株のテルニウムへの譲渡を決めた理由は。
「大きな減損を出しているのが引き金となったが、純粋なビジネス判断としてブラジルの市場が今後どうなるかであり、大きな回復は望めないと判断している。減損リスクが再発する可能性がある。23年7月に協定を変え、テルニウムに会社管理を任せていたが、その状態の中では避けられないリスクであり、こうしたリスクを遮断することにした。1958年に日本とブラジルの合弁事業として始まり、私も4年間深く関り感慨深いが、ビジネスとしてはリスクの遮断を決意した。ウニガル、テニガルについてはなんら変わらない。しっかりと利益を上げており、今後も利益を上げ続けると考えており、事業として変わらず続けていく」
――100日計画で50人を派遣している。現場の改善の状況など手ごたえは。
「昼夜問わず働き、がんばってくれている。USスチール側も派遣者が生活や仕事がしやすいよう環境を整えてくれている。双方がよいところを発揮できており、非常にうまくやっている。大きな規模の設備投資を実施するので環境認可の取得や工事の作業員の確保などが課題となるが、USスチールは米国の事情を当然わかっているので、双方で力を合わせていく」
――USスチールの欧州拠点については。
「欧州はセーフガードが発動され、守られた市場であり、大きくは成長しないが縮小していくだけの市場ではないと考えている。欧州の拠点を生かしていく。(欧州で予定する)8億ドルの投資は小さくはなく、高付加価値化やコスト削減のための設備投資を行い、競争力を高める。欧州は脱炭素が大きな課題であり、どううまく乗り切れるか、真剣に考えている。しっかり採算がとれるように脱炭素化を考える。政府の協力を得られ、脱炭素化を得られて事業を継続できるかがポイントになる」
「関税が施行されてから輸入鋼材は明らかに減っている。海外に出ている米系の自動車メーカーが国内に回帰する動きもある。米国内の自動車メーカーが輸入部品に困って減速している側面もあると言われるが、当社としてはむしろ様子見と考えている。関税が上がったり下がったり、中国との関係もどう決着するのかなど、不透明感が市場をフリーズさせているのが本質と思う。関税の来年度にかけて効果が発現していけば、需要の回復が起こっていくと考えている」
――USスチールの成長戦略についてデータセンター向けの方向性電磁鋼板(GO)の製造を開始すると報じられているが。
「GOの投資を考えている。データセンターの需要が高い背景として電力が重要になっている。送電するトランスに使われる高級なGOを米国で造ることができるメーカーはいないので、USスチールを支えるハイエンドな商品となる。当社としても海外でGOを造ったことはないが、技術をUSスチールに投入してマージンを作っていく」
――USスチールで計画している設備投資について。
「28年までに110億ドルを投じるが、25年は12億ドルを予定している。鉄鋼の設備投資は投入してから効果が出るまでにタイムラグがある。すぐに効果が出るものは取り込んでいるが、効果は今後しっかり出てくると考えている」
――上期の連結事業利益は前回予想から475億円のプラスとなったが、その差異の詳細を。
「前回予想に対し、生産・出荷とマージンはほぼ見通した通りだが、コスト改善は150億円のプラスとさらに前に進んだ。本体海外事業はUSスチールで80億円減り、(USスチールを除く)海外事業は全体で50億円増え、努力している。原料事業の60億円、鉄グループ会社の50億円について中身をみると下期に計上するものが上期に計上されているものもあり、通年でみるとあまり大きくは変わっていない」
――ウジミナスの保有協定株全株のテルニウムへの譲渡を決めた理由は。
「大きな減損を出しているのが引き金となったが、純粋なビジネス判断としてブラジルの市場が今後どうなるかであり、大きな回復は望めないと判断している。減損リスクが再発する可能性がある。23年7月に協定を変え、テルニウムに会社管理を任せていたが、その状態の中では避けられないリスクであり、こうしたリスクを遮断することにした。1958年に日本とブラジルの合弁事業として始まり、私も4年間深く関り感慨深いが、ビジネスとしてはリスクの遮断を決意した。ウニガル、テニガルについてはなんら変わらない。しっかりと利益を上げており、今後も利益を上げ続けると考えており、事業として変わらず続けていく」
――100日計画で50人を派遣している。現場の改善の状況など手ごたえは。
「昼夜問わず働き、がんばってくれている。USスチール側も派遣者が生活や仕事がしやすいよう環境を整えてくれている。双方がよいところを発揮できており、非常にうまくやっている。大きな規模の設備投資を実施するので環境認可の取得や工事の作業員の確保などが課題となるが、USスチールは米国の事情を当然わかっているので、双方で力を合わせていく」
――USスチールの欧州拠点については。
「欧州はセーフガードが発動され、守られた市場であり、大きくは成長しないが縮小していくだけの市場ではないと考えている。欧州の拠点を生かしていく。(欧州で予定する)8億ドルの投資は小さくはなく、高付加価値化やコスト削減のための設備投資を行い、競争力を高める。欧州は脱炭素が大きな課題であり、どううまく乗り切れるか、真剣に考えている。しっかり採算がとれるように脱炭素化を考える。政府の協力を得られ、脱炭素化を得られて事業を継続できるかがポイントになる」












産業新聞の特長とラインナップ







