2015年10月29日

第6回ものづくり日本大賞経産大臣賞、JFEスチールと新日鉄住金ステンレスが受賞

JFEスチール、Cr系ステンレス独自鋼種「JFE―TF1」

 JFEスチールは28日、自動車用耐熱ステンレスのクロム系独自鋼種「JFE―TF1」が第6回ものづくり日本大賞の経済産業大臣賞を受賞したと発表した。受賞件名は「環境に優しい自動車づくりに貢献する省資源型高耐熱ステンレス鋼の開発」。高温化する自動車の排ガスに耐えられる排気系部品として、希少金属のモリブデンを使用せず、従来鋼と同等以上の耐熱疲労性と良加工性が両立可能なステンレスを開発・実用化したこと評価された。JFEによる経済産業大臣賞受賞は、第3回から4回連続となった。

 JFE―TF1は、高耐熱性・高加工性を有する省資源型フェライト系ステンレス鋼板。800℃を超える高温下での耐久性および複雑形状への加工にも対応できる加工性があり、エキゾーストマニフォールドや触媒コンバータケースなど自動車の排気系部品に使用される。

 従来こうした耐熱部品には、耐熱性を向上させる特性を持つモリブデンを添加したステンレス鋼板が主に使用されてきたが、レアメタルであるモリブデンは価格が乱高下し不安定であるという課題があった。

 JFEでは銅やアルミニウムという元素の活用により、モリブデンを添加せずモリブデン添加鋼と同等以上の耐熱性を実現。優れた加工性も有することから、従来は2つの部品を溶接により繋ぎ合わせて製造していたものを、1つの部品として加工することで、部品点数や製造工数の削減に寄与する。



新日鉄住金ステンレス・NSSC2120適用実勢例・ダム取水設備C新日鉄住金ステンレス、二相ステンレス「NSSC2120」

 新日鉄住金ステンレスは28日、二相ステンレス「NSSC2120」が第6回ものづくり日本大賞の経済産業大臣賞を受賞したと発表した。受賞件名は「社会インフラを支える世界初の省資源型高性能二相ステンレス鋼の開発」。高強度かつ高耐食性で製作物を軽量化できることから、社会インフラ整備を素材面からのソリューション提供が可能で、製作・施工時の経済性向上により省資源化に寄与することが評価された。同社としては第4回ものづくり日本大賞におけるFWシリーズの内閣総理大臣賞に続き2度目の受賞となる。

 NSSC2120は、窒素を最大限に活用する技術を用い、高強度かつ高耐食という省資源型二相ステンレスの特性に、世界で初めて高い溶接性を付与した省資源型高性能二相ステンレスで、これまでにダムや水門、ケミカルタンカー、大型ポンプ、海水淡水化プラントなど幅広い用途に適用されている。

 窒素はステンレスの強度や耐食性を向上させる一方、他元素とのバランス次第では溶接性や製造性の低下をもたらす。同社は開発に際し、独自の成分設計法で窒素量を最適化することで、省資源型二相ステンレスに高い溶接性を付与するとともに、最適プロセスの開発により、高強度かつ高耐食という特性を有する鋼種の効率で安定した生産体制を構築している。

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