2012年8月17日
東芝、ジスプロ不使用の磁石を開発 本年度末に市場投入へ
東芝は希土類(レアアース)の中でも資源量が特に少ないジスプロシウムを使わないモーター用磁石を開発したと発表した。ジスプロシウムを添加するネオジム―鉄―ボロン磁石が一般的だが、これと同等以上の磁力を持つ高鉄濃度サマリウム―コバルト磁石を開発。2012年度末の市場投入を目指す。
希土類の中でもサマリウムを使ったサマリウム・コバルト磁石はネオジム磁石より磁力が劣る。東芝は磁力を高めるために鉄の配合量を従来の15%から20―25%に増やした。その後で焼結時の温度や時間、圧力の最適化などの熱処理条件を工夫し、磁力の阻害要因となっていた酸化物や高銅濃度異相を低減させた。
開発した磁石を搭載したモーターは、ジスプロシウムを添加した耐熱型のネオジム磁石を搭載したモーターと同じサイズで、同等の性能があることも確認。自動車、鉄道車両、工作機械、エレベーターなど、耐熱性が高く、高性能で小型化が求められるモーターに適している。
耐熱性が要求される自動車や鉄道車両に使う駆動モーターや産業用モーターは、耐熱性を高めるためにジスプロシウムを添加する。しかしジスプロシウムは世界最大の希土類生産国の中国でも南部に生産がほぼ限定されているため、日本にとってはジスプロシウムの安定した調達と並び使用量の削減が喫緊の課題となっている。
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