2017年11月24日

ナンセイ、スクラップ取扱高年間70万トンに引上げ 3年後めど

大手スクラップディーラー・シッパー、ナンセイ(本社=東京都江戸川区、稻福誠社長)はメタルリサイクル事業を強化し、3年後の2020年4月期をめどに鉄を主体とするスクラップ取扱高を前期比約20万トン増となる70万トンに引き上げる計画だ。今期(18年4月期)で横浜市内に2カ所、大阪市内に1カ所の合計3カ所でスクラップ集荷ヤードを新設するほか、現在内装解体の拠点を置く北九州市内や仙台市内、また岡山県内にも集荷ヤードを設置する予定で、「横浜拠点とは別に、今後、関東エリアで拠点を5―6カ所開設していきたい」(稻福社長)考え。

今期は売上高がメタルリサイクル、内装解体、産業廃棄物処理を含めたトータルで180億円弱を、経常利益は8億円弱をそれぞれ見込む。スクラップ取扱高は鉄スクラップを主体に50万トンを想定。前期(17年4月期)は売上高130億円、経常利益6億円、スクラップ取扱高約48万トンとなった。メタルリサイクル事業はベトナム向け輸出が主体で、韓国や中国にも輸出。海外需要家とは直接取り引きしている。現在、国内鉄鋼メーカー向け出荷は実施していない。

同社は国内拠点の拡大を推進している。今期は10月に川崎市営埠頭で集荷ヤードを新設したほか、大阪市内で1カ所、横浜市内で2カ所を追加設置する計画で開設準備を進めている。首都圏以外では内装解体を手掛ける福岡支店と仙台支店の管掌でスクラップ集荷ヤードを開設する計画だ。「内装解体事業を推進しながら、メタルリサイクル事業も展開していく。将来的には国内鉄鋼メーカー向け出荷も行っていきたい」(劉国利・業務執行役員)。沖縄支店では引き続き内装解体を手掛けていく。また、今期と来期でモリタ環境テック製800トンニューギロを関東2拠点で1基ずつ導入する予定。

海外展開も強化する。現在は中国、カンボジア、ベトナムに事務所を設置。これは日本から輸出した雑品を手解体する工場の新設を視野に入れたもの。中国の環境規制強化で同国向け雑品輸出が難しくなるとみており、アジア各国で雑品解体拠点を拡大していく。現在、ミャンマーでの開設を準備中で、「ミャンマーからはバングラデシュやインド向け輸出も可能になる」(劉国利・業務執行役員)という。

ナンセイは今後、M&Aを含めて国内での拠点展開を強化すると同時に、海外への進出を推進していく。