2025年6月17日

大阪・関西EXPO/食の未来考える 国際交流イベント/日本製鉄「海の森づくり」/藻場再生事業を紹介

日本製鉄など6者で構成する「食のサステイナビリティの追求と最高峰の食の提案」実行委員会は15日、大阪・関西万博で国際交流イベント「おいしさでつながる世界」を開いた。米国や欧州、タイの著名シェフを招き、万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を食の観点から議論した。

日鉄は鉄の製造時に副産物として回収される鉄鋼スラグを活用し、藻場(もば)を再生する「海の森づくり」について映像で紹介した。藻場が大幅に減少する「磯焼け」は漁業にも被害を与えており、同社では鉄鋼スラグと腐植土を配合し人工的に鉄分を供給する「ビバリーユニット」の設置を進めて再生・回復に取り組む。

藻場の再生は海藻が光合成で二酸化炭素(CO2)を吸収する「ブルーカーボン」の取り組みにもつながるという。グリーン・トランスフォーメーション推進本部長の折橋英治常務執行役員は「ブルーカーボンは海藻の生育が鍵。鉄作りを通じて未来を作るサステナブルな社会に向け、おいしい笑顔を作りたい」と話す。

日本の食文化を世界へ発信するための料理人を中心とした学会組織「全日本・食学会」名誉理事長で、京都の老舗料亭「菊乃井」3代目の村田吉弘氏も「年々、漁獲量が減少している。海の中を再生していかなければならない。陸上よりもCO2吸収量が多く、タンパク質も確保できる」と海藻の重要性について語った。

今回のイベントを主催する「食のサステイナビリティの追求と最高峰の食の提案」実行委員会には全日本・食学会、キッコーマン、農林水産省、京都府、日本貿易振興機構(ジェトロ)なども参画する。