2026年2月5日
日本製鉄 決算会見要旨 次の成長ステージへ 室蘭高炉復旧3月末めど
日本製鉄 岩井尚彦・上席常務執行役員財務担当の決算会見の要旨・一問一答
2025年4―12月期の実力ベースの連結事業利益は4977億円となり、前年同期の6084億円から1107億円減少した。環境は昨年より悪化している。生産出荷、マージンが悪化し、コスト改善を積み上げて国内製鉄事業は打ち返したが、本体海外事業はマージンの圧縮が大きく250億円のマイナスとなり、原料事業も620億円のマイナスとなった。
通期の実力利益予想を前回の6800億円から6200億円と600億円下方修正した。USスチールについては、米国市況は上がってきているものの、足元では大寒波の影響などもあり、市場の見通しに不確実性があることから当期の実力利益への貢献は引き続き織り込んでいない。
北日本製鉄所室蘭地区のトラブル影響をリカバリーするための代替鉄源の対応でコストアップがあり、400億円のマイナス影響を受ける。室蘭地区で12月1日に熱風炉4基のうち1基が損傷した。復旧に時間がかかるとみて高炉を休止している。4カ月休止し、3月の終わりには3基の健全性を確認し、復旧して火入れし、4月にフルアップできる見通しだ。通期の単独粗鋼生産の予想は室蘭の高炉休止の影響で3400万トンと前回から50万トン下方修正した。
中国の過剰輸出に加え、国内外の鉄鋼需要は低迷し、危機的状況が継続している。こうした状況をある程度想定し、現行の中長期経営計画で構造改革を実行し、グループ会社の再編に取り組み、海外では選択と集中をさらに進め、いかなる環境下でも実力利益6000億円以上を確保できる収益構造を構築してきた。現中長期計画の仕上げの年として6000億円以上を確実に達成し、次の成長ステージに入る。ASEAN、インドでの投資に加え、USSを傘下に収めたことで米国に本格参入し、連結事業利益1兆円、グローバル粗鋼1億トンの達成に向かう。
中国は内需がさらに減っていく見通しだが、海外各国が通商措置を発動し、中国からの輸出拡大が限界にきている。中国は粗鋼の減産幅が拡大しており、粗鋼生産の維持が困難になっているとみている。欧米は通商措置などで市況回復の兆しがみられる。日本もサプライチェーンを守るために政府と連携して通商対策を求めていく。
一問一答は以下の通り。
――カナデビアと日鉄エンジニアリングの経営統合に向けた検討を開始した。日本製鉄としての狙いは。
「日鉄エンジはいろいろな構造対策を経て収益基盤を確立できているが、国内市場は主力事業の環境関連施設について成長が望めない。一方で海外は事業成長のチャンスが広がる。カナデビアは海外を主力とし、日鉄エンジは脱炭素関連の事業が強く、親和性がある。資源循環領域や脱炭素化、インフラの強靭化対策など事業を補完し合え、強い体質となる。統合によって売上高規模は業界トップとなり、成長戦略を描いていける」
――USSの業績について25年度は利益貢献を見込んでいない。26年度の見通しは。
「来年度の計画を日本製鉄本社ともに策定中であり、具体的に数値を示すことはできない。25年6月にUSSの買収が成立し、8月にUSSの利益見通しを800億円と開示した。当時のホットコイルの市況はショートトンで950ドルに達し、900ドルレベルで推移すると予想していたが、その1カ月後に政府の政策を注視した買い控えや輸入材の駆け込みによる増加などで下落した。足元は上昇し900ドルを超えており、市況の上昇を前提とすれば収益の回復が見込める。ただ、市場に不透明感があり、環境をよく見通した上で5月に収益レベルを開示したいと考えている」
――USSに100人規模の社員を派遣している。手応えは。
「製品の販売価格が日本より1・5倍ほど高いにも関わらず、利益が出ないのはコストと品質に尽きる。この課題は買収前から認識していたが、あらためて設備に資金を投じていない結果とみている。設備は30、40年前から進化していないが、社員のレベルは高く、設備のメンテナンスをしっかり行い、操業している。今後の投資のラインアップは手元にあるが、歩留まりやエネルギー原単位の改善、省エネなど実証済みの投資対効果が見込め、投資を実行すれば確実にコストと品質は改善する。短期で実行できるかどうかがポイントだが、すでに260の具体的改善施策を順次実行している。それぞれ小さな改善だが、着実に成果は上がっている。ビッグリバー2は12月に(鋳造・圧延連続生産プロセスで)生産新記録を1―3月の目標を前倒しして達成した。成果が上がれば利益が出るので、現場は皆、前向きに取り組んでいる」
――中国の安値輸出が続いている。来年度の鋼材市況をどう想定しているか。
「12月にかけて輸入圧力がますます高まり、国内鋼材市況の下方への圧力に働いた。強粘炭の価格が豪州の豪雨の影響で想定以上に上がり、スプレッドが圧縮されている。需要は弱く、高級品種の注文も減少しているが、来年度についても国内需要は回復が期待できない。土木建築は人手不足や資材高騰の構造的な状況は変わってなく、大型プロジェクトが滞留していて(需要の)ポテンシャルはあるものの実行されず、内需は厳しい状況が続く見通しだ。製造業も回復が見通せない。特に輸出は保護主義の動きが鮮明となり、好転する材料が見出せない。当社として成長のドライバーは海外事業となる。期待しているのはインドと米国。インドは『夜明け前』の状況で、内需は必ず増えていく。能力増強のスピードをいかに上げるかが重要となる」
――室蘭地区のトラブルの復旧の状況は。
「溶銑が減った分は室蘭の電気炉を最大活用する。型銑を入れて溶解して対応している。それでも足りないので、君津地区など他の製鉄所からのスラブ分譲で対応している。グループ会社の山陽特殊製鋼に代替生産をお願いしている。ただ、冷鉄源の溶解や分譲など費用がかかっている。棒線のお客様にご迷惑をおかけしないよう、最優先で取り組んでいる」
2025年4―12月期の実力ベースの連結事業利益は4977億円となり、前年同期の6084億円から1107億円減少した。環境は昨年より悪化している。生産出荷、マージンが悪化し、コスト改善を積み上げて国内製鉄事業は打ち返したが、本体海外事業はマージンの圧縮が大きく250億円のマイナスとなり、原料事業も620億円のマイナスとなった。
通期の実力利益予想を前回の6800億円から6200億円と600億円下方修正した。USスチールについては、米国市況は上がってきているものの、足元では大寒波の影響などもあり、市場の見通しに不確実性があることから当期の実力利益への貢献は引き続き織り込んでいない。
北日本製鉄所室蘭地区のトラブル影響をリカバリーするための代替鉄源の対応でコストアップがあり、400億円のマイナス影響を受ける。室蘭地区で12月1日に熱風炉4基のうち1基が損傷した。復旧に時間がかかるとみて高炉を休止している。4カ月休止し、3月の終わりには3基の健全性を確認し、復旧して火入れし、4月にフルアップできる見通しだ。通期の単独粗鋼生産の予想は室蘭の高炉休止の影響で3400万トンと前回から50万トン下方修正した。
中国の過剰輸出に加え、国内外の鉄鋼需要は低迷し、危機的状況が継続している。こうした状況をある程度想定し、現行の中長期経営計画で構造改革を実行し、グループ会社の再編に取り組み、海外では選択と集中をさらに進め、いかなる環境下でも実力利益6000億円以上を確保できる収益構造を構築してきた。現中長期計画の仕上げの年として6000億円以上を確実に達成し、次の成長ステージに入る。ASEAN、インドでの投資に加え、USSを傘下に収めたことで米国に本格参入し、連結事業利益1兆円、グローバル粗鋼1億トンの達成に向かう。
中国は内需がさらに減っていく見通しだが、海外各国が通商措置を発動し、中国からの輸出拡大が限界にきている。中国は粗鋼の減産幅が拡大しており、粗鋼生産の維持が困難になっているとみている。欧米は通商措置などで市況回復の兆しがみられる。日本もサプライチェーンを守るために政府と連携して通商対策を求めていく。
一問一答は以下の通り。
――カナデビアと日鉄エンジニアリングの経営統合に向けた検討を開始した。日本製鉄としての狙いは。
「日鉄エンジはいろいろな構造対策を経て収益基盤を確立できているが、国内市場は主力事業の環境関連施設について成長が望めない。一方で海外は事業成長のチャンスが広がる。カナデビアは海外を主力とし、日鉄エンジは脱炭素関連の事業が強く、親和性がある。資源循環領域や脱炭素化、インフラの強靭化対策など事業を補完し合え、強い体質となる。統合によって売上高規模は業界トップとなり、成長戦略を描いていける」
――USSの業績について25年度は利益貢献を見込んでいない。26年度の見通しは。
「来年度の計画を日本製鉄本社ともに策定中であり、具体的に数値を示すことはできない。25年6月にUSSの買収が成立し、8月にUSSの利益見通しを800億円と開示した。当時のホットコイルの市況はショートトンで950ドルに達し、900ドルレベルで推移すると予想していたが、その1カ月後に政府の政策を注視した買い控えや輸入材の駆け込みによる増加などで下落した。足元は上昇し900ドルを超えており、市況の上昇を前提とすれば収益の回復が見込める。ただ、市場に不透明感があり、環境をよく見通した上で5月に収益レベルを開示したいと考えている」
――USSに100人規模の社員を派遣している。手応えは。
「製品の販売価格が日本より1・5倍ほど高いにも関わらず、利益が出ないのはコストと品質に尽きる。この課題は買収前から認識していたが、あらためて設備に資金を投じていない結果とみている。設備は30、40年前から進化していないが、社員のレベルは高く、設備のメンテナンスをしっかり行い、操業している。今後の投資のラインアップは手元にあるが、歩留まりやエネルギー原単位の改善、省エネなど実証済みの投資対効果が見込め、投資を実行すれば確実にコストと品質は改善する。短期で実行できるかどうかがポイントだが、すでに260の具体的改善施策を順次実行している。それぞれ小さな改善だが、着実に成果は上がっている。ビッグリバー2は12月に(鋳造・圧延連続生産プロセスで)生産新記録を1―3月の目標を前倒しして達成した。成果が上がれば利益が出るので、現場は皆、前向きに取り組んでいる」
――中国の安値輸出が続いている。来年度の鋼材市況をどう想定しているか。
「12月にかけて輸入圧力がますます高まり、国内鋼材市況の下方への圧力に働いた。強粘炭の価格が豪州の豪雨の影響で想定以上に上がり、スプレッドが圧縮されている。需要は弱く、高級品種の注文も減少しているが、来年度についても国内需要は回復が期待できない。土木建築は人手不足や資材高騰の構造的な状況は変わってなく、大型プロジェクトが滞留していて(需要の)ポテンシャルはあるものの実行されず、内需は厳しい状況が続く見通しだ。製造業も回復が見通せない。特に輸出は保護主義の動きが鮮明となり、好転する材料が見出せない。当社として成長のドライバーは海外事業となる。期待しているのはインドと米国。インドは『夜明け前』の状況で、内需は必ず増えていく。能力増強のスピードをいかに上げるかが重要となる」
――室蘭地区のトラブルの復旧の状況は。
「溶銑が減った分は室蘭の電気炉を最大活用する。型銑を入れて溶解して対応している。それでも足りないので、君津地区など他の製鉄所からのスラブ分譲で対応している。グループ会社の山陽特殊製鋼に代替生産をお願いしている。ただ、冷鉄源の溶解や分譲など費用がかかっている。棒線のお客様にご迷惑をおかけしないよう、最優先で取り組んでいる」














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