2026年3月4日
人財戦略を聞く/電炉編/大和工業/代表取締役 常務執行役員/塚本一弘氏/組織風土変革へ理念浸透/全員が海外展開支える「当事者」に
独立系電炉大手の大和工業は、80年以上の歴史で培われた組織風土の変革に挑んでいる。国内の事業基盤と収益の柱である海外展開の強化に向け、全社員を巻き込んだ理念浸透と人事制度改革を進める。塚本一弘代表取締役常務執行役員に人財戦略を聞いた。
――組織風土改革の狙いは。
「2017年に創業家の井上浩行現会長から小林幹生社長に経営のバトンが引き継がれたことが大きな転機となった。新体制の大きなテーマは、創業期の挑戦を次のステージへどう継承するか。創業家の強いリーダーシップがあったからこそ、海外展開を軸に現在の収益基盤が築かれた一方で、組織としては指示待ちの傾向も否めなかった。挑戦の歴史を止めないために個々が自立し、能動的に動く組織へ進化する必要があった」
――具体的な取り組みは。
「課題の一つがグループの一体経営だった。ヤマトスチールや大和軌道製造が分社後、それぞれ独立して成長してきたが、結果としてグループ間に『壁』も生じていた。一体化の第一歩として、各社の人事・総務・経理などのコーポレート機能を大和工業へ統合し、組織の一体感と生産性向上の基盤を整えた。混乱を避けるため段階的に進め、21年に統合を完了した。25年4月には、ヤマトスチール、大和軌道製造の全員が大和工業に転籍し、各社に出向する形態へ移行した。今後グループ全体での人材活用を加速させたい」
――上場企業としての意識も強めている。
「当社は独立系で業界団体にも加盟せず、外部から見えにくい会社だった。上場企業として認知度向上や経営の透明性確保を進めるとともに、IR(投資家向け広報活動)機能を拡充し、マーケットとの対話を強化してきた。人的資本への投資やサステナビリティーの取り組みも含め、企業価値向上を意識した経営を進めている」
――風土改革の柱は。
「創立75周年を機に共通の価値観として『Yamato SP1RIT』を定めた。社員の具体的な行動指針として『Yamato Way』を策定した。就業規則や評価制度にも組み込み、年4回の面談で体現度を確認している。23年に公表した『2030年ありたい姿』の実現に向け、人財戦略は中核に位置付けている。結局は「人」。強い組織をつくるには一人一人が個を磨き、自ら考え、フェアに挑戦を続けるといった循環を組織の中に根付かせることが理想だ」
――人事制度の刷新について。
「25年4月に新人事制度を開始した。総合職、事務職、技能職という従来の枠組みを見直し、社員区分を一本化した。新卒はコース別採用を行いつつ、入社後は社内公募などで柔軟なキャリア形成を可能にしている。また、評価制度は単なる査定ではなく育成が目的。上司と部下の対話を重視し、フィードバックすることで成長を後押しする仕組みに改めた」
――ものづくりの現場への浸透は。
「人事部を戦略課とオペレーション課に再編し、戦略課の下にHRBP(ビジネスパートナー)を導入した。ヤマトスチールなど製造出身者も配置し、現場との橋渡しを担う体制を整えている。技能伝承では動画マニュアルを整備し、暗黙知の形式知化を進めている。多能工化に向けた能力開発や資格取得支援、資格手当の拡充にも取り組む」
――採用戦略は。
「新卒一括中心からキャリア採用との両立へ軸足を移している。特に新卒ではエンジニアに加え、DXやAI活用を見据えた人材確保と育成が鍵となる。新卒は原則全員面接を実施し、AI面接も試験導入している。学歴やスキル以上にカルチャーフィットを重視している。キャリアについては入社後、個の力を発揮してもらえるような環境づくりが重要だ」
――人材流動性への対応は。
「退職者は『卒業生』と捉え、アルムナイ(出戻り)採用を進めている。専用サイトも立ち上げた。人材流動性が高まる中でも、エンゲージメント向上が重要だ。広報強化やスポンサー活動、社内発信を通じて誇りを醸成していく」
――グローバル人材育成は。
「これまで創業家の決断とリーダーシップが海外展開を加速させた。これからは全社員がグローバル展開を支える当事者という意識が不可欠。新卒は今後も原則全員、米国のニューコア・ヤマト・スチール、タイのサイアム・ヤマト・スチールで現地研修を行っていく」
――働き方改革への取り組みは。
「24年11月に本社事務所をリニューアルし、オープンスペースとフリーアドレスを導入した。あわせてリモートワークやフレックス制度も拡充している。服装や髪型の自由化、役職でなく、さん付けでの呼称など、製造現場も含めて、役割の違いはあっても上下を意識しない、風通しの良い文化を目指す」
――求める人材像は。
「『Yamato SPIRIT』に掲げる『フェア』であることを重視し、公正に挑戦を続ける循環を社内につくることが理想で、自ら考え能動的に動き、挑戦を続けられる人材だ。組織文化を体現し、持続的成長を支える個の育成を目指したい」(早間 大吾)
――組織風土改革の狙いは。
「2017年に創業家の井上浩行現会長から小林幹生社長に経営のバトンが引き継がれたことが大きな転機となった。新体制の大きなテーマは、創業期の挑戦を次のステージへどう継承するか。創業家の強いリーダーシップがあったからこそ、海外展開を軸に現在の収益基盤が築かれた一方で、組織としては指示待ちの傾向も否めなかった。挑戦の歴史を止めないために個々が自立し、能動的に動く組織へ進化する必要があった」
――具体的な取り組みは。
「課題の一つがグループの一体経営だった。ヤマトスチールや大和軌道製造が分社後、それぞれ独立して成長してきたが、結果としてグループ間に『壁』も生じていた。一体化の第一歩として、各社の人事・総務・経理などのコーポレート機能を大和工業へ統合し、組織の一体感と生産性向上の基盤を整えた。混乱を避けるため段階的に進め、21年に統合を完了した。25年4月には、ヤマトスチール、大和軌道製造の全員が大和工業に転籍し、各社に出向する形態へ移行した。今後グループ全体での人材活用を加速させたい」
――上場企業としての意識も強めている。
「当社は独立系で業界団体にも加盟せず、外部から見えにくい会社だった。上場企業として認知度向上や経営の透明性確保を進めるとともに、IR(投資家向け広報活動)機能を拡充し、マーケットとの対話を強化してきた。人的資本への投資やサステナビリティーの取り組みも含め、企業価値向上を意識した経営を進めている」
――風土改革の柱は。
「創立75周年を機に共通の価値観として『Yamato SP1RIT』を定めた。社員の具体的な行動指針として『Yamato Way』を策定した。就業規則や評価制度にも組み込み、年4回の面談で体現度を確認している。23年に公表した『2030年ありたい姿』の実現に向け、人財戦略は中核に位置付けている。結局は「人」。強い組織をつくるには一人一人が個を磨き、自ら考え、フェアに挑戦を続けるといった循環を組織の中に根付かせることが理想だ」
――人事制度の刷新について。
「25年4月に新人事制度を開始した。総合職、事務職、技能職という従来の枠組みを見直し、社員区分を一本化した。新卒はコース別採用を行いつつ、入社後は社内公募などで柔軟なキャリア形成を可能にしている。また、評価制度は単なる査定ではなく育成が目的。上司と部下の対話を重視し、フィードバックすることで成長を後押しする仕組みに改めた」
――ものづくりの現場への浸透は。
「人事部を戦略課とオペレーション課に再編し、戦略課の下にHRBP(ビジネスパートナー)を導入した。ヤマトスチールなど製造出身者も配置し、現場との橋渡しを担う体制を整えている。技能伝承では動画マニュアルを整備し、暗黙知の形式知化を進めている。多能工化に向けた能力開発や資格取得支援、資格手当の拡充にも取り組む」
――採用戦略は。
「新卒一括中心からキャリア採用との両立へ軸足を移している。特に新卒ではエンジニアに加え、DXやAI活用を見据えた人材確保と育成が鍵となる。新卒は原則全員面接を実施し、AI面接も試験導入している。学歴やスキル以上にカルチャーフィットを重視している。キャリアについては入社後、個の力を発揮してもらえるような環境づくりが重要だ」
――人材流動性への対応は。
「退職者は『卒業生』と捉え、アルムナイ(出戻り)採用を進めている。専用サイトも立ち上げた。人材流動性が高まる中でも、エンゲージメント向上が重要だ。広報強化やスポンサー活動、社内発信を通じて誇りを醸成していく」
――グローバル人材育成は。
「これまで創業家の決断とリーダーシップが海外展開を加速させた。これからは全社員がグローバル展開を支える当事者という意識が不可欠。新卒は今後も原則全員、米国のニューコア・ヤマト・スチール、タイのサイアム・ヤマト・スチールで現地研修を行っていく」
――働き方改革への取り組みは。
「24年11月に本社事務所をリニューアルし、オープンスペースとフリーアドレスを導入した。あわせてリモートワークやフレックス制度も拡充している。服装や髪型の自由化、役職でなく、さん付けでの呼称など、製造現場も含めて、役割の違いはあっても上下を意識しない、風通しの良い文化を目指す」
――求める人材像は。
「『Yamato SPIRIT』に掲げる『フェア』であることを重視し、公正に挑戦を続ける循環を社内につくることが理想で、自ら考え能動的に動き、挑戦を続けられる人材だ。組織文化を体現し、持続的成長を支える個の育成を目指したい」(早間 大吾)
















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